日下部保雄の悠悠閑閑

人とくるまのテクノロジー展

人とくるまのテクノロジー展。横浜で開催されたあと、7月に名古屋でも行なわれます

 日本自動車技術会が毎年開催する「人とくるまのテクノロジー展」は、ティア1や2、3にあたる企業が多く参加し、BtoBの技術を一堂に見るには絶好の機会だ。

 パシフィコ横浜の会場は幕張メッセやビッグサイトに比べるとコンパクトだが、ブースを細かく分けて効率よく展示している。

 3日開催の最終日に行ったせいか来場者が随分多く、みなとみらい駅から会場まで人の波が絶えない。5~6年前より女性の数が増えたような気がする。人の多さに眩暈を起こしそうだ。

 どのブースもちらっと見ただけでは正直分からないが、好奇心を刺激することは間違いない。

 アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故があとを絶たない。近年の新型車では障害物を検知してアクセルが開かない機能を持っているが、既販車に取り付けるのはなかなかハードルが高い。自動車技術展で見かけたのはアイアクセルと言う商品。シンプルなメカ機構で、急アクセルを踏むとリンク機構でアクセルを解除し、合わせてブレーキが穏やかに効くというものだ。作動時はブザーとインジケーターでドライバーに知らせる。ほとんどの場合フルアクセルにすることはないという前提で開発されており、装置のON/OFFチェックは可能だ。

アイアクセル。実用に即したメカ機構でアイデア商品だと感じました。既販車にも装備できるので絶えない踏み間違い事故が減るとよいです

 シミュレータ的なものに乗せてもらったが、少なくとも違和感はなかった。構造変更申請も必要ないので町の整備工場でも取り付けられる。聞いたことないメーカーだな、とよく見るとNGKが販売元だった。約20万円と言う価格だが、クルマを買い替えるのはちょっと、と言う層には関心がもたれるだろう。

NITTERA(ニテラ)ってNGKの日本特殊陶業のことでした。英文商号で2022年に改名したそうです

 見慣れたHKSのロゴを見つけた。HKSは昔大変お世話になった。英国RACラリーでの三菱エンジンはパワフルで頑丈、並みいるワークスカーに勝るとも劣らないパフォーマンスで素晴らしかった。ナビゲーターシートに座っていても硬質な回転フィールを思い出すと今でもうっとりしてしまう。

 で、今年のHKSの展示は電池交換タイプのバッテリフレームの展示だった。HKSも業態変化が進み、開発能力を活かして多様な分野に進出している。その1つが2tのEVトラックで、コンビニなど決まったルートを周回する商用車向きだ。すでに他業種と協業して試験運転を始めているという。ところでHKSの内燃機関の技術は急速に注目を集めている合成燃料にも活かせるに違いなく、近い将来にそんな展示を見ることができるかもしれない(希望的観測です)。

HKSは今年50周年を迎えたんですね。歴史は積み重なっていく

 ラリージャパンを応援しているFORUM8も出展していた。これまでどのような会社かおぼろげながらしか知らなかったが、ドライビングシミュレータなどのパッケージソフトの開発を行なうエンジニアリング会社で発展著しい。複雑な動きをするラリーカーもシミュレートできる高い技術のアピールにはラリージャパンはいいと理解した。中国出身のエンジニアの熱心な説明を聞き、なおさら親和性を感じた次第。

 東京R&Dや戸田レーシングなど懐かしき名前も出展しており、業態の柔軟な変化にちょっと嬉しかった。あっちこっち行ったり来たり、人酔いするロートルにとってはヘトヘトになった時間だが面白かった。じっくり見ると3日かかりそうだ。取材したCar Watch編集部のみなさん、お疲れさまでした。

東京R&D。幾多の試作車を作ってきたレーシングファクトリーですね
トラッドなスポーツカー。R&Dにとってはお手のものですね
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。