日下部保雄の悠悠閑閑

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー

東京ポートシティ竹芝ポートホール前に置かれた10台の10ベストカー

 12月7日は日本カー・オブ・ザ・イヤーの表彰式。今年はCOTYの投票方式が従来と異なって3台に10点、4点、2点と投票する方式になった。これまでは1台に10点を選んで残りの15点を4台に配分する方式だった。選考委員の各車の思い入れに応じて残りの4台が採点をされていた。これによって10点を獲得したクルマより、満遍なく票を集めたクルマの点数がそれを上まわるという現象が起きた。これを是正しようというのが新しい投票方法だと理解している。今年のプリウスが高得点で独走したのは新しい配点方法の効果の表れだ。白黒ハッキリさせるという意味では成功だったと思う。

 個人的には60名いる選考委員は個性ある配点で投票が面白く、配点悩みが表れながら点数がバラけ、結果的に毎年納得のいくイヤーカーが選ばれていた、と思っている。それが60名という選考委員の数の妙味だ。

 予想していたとはいえ、プリウスが前半から満点を集めて抜け出したことから、賞レースとして盛り上がりに欠けたと思うのは不謹慎ですね。

 実行委員が熟考を重ねた上での配点はまだ始まったばかり。これからも塩胡椒に香辛料を振りかけながらバージョンアップしていくのだろう。変革を厭わない実行委員会に期待している。

大賞はプリウスに輝きました。皆さんうれしそう!

 自分もプリウスに10点を投じた1人。ハイブリッドとPHEVをそろえ、燃費に特化するというプリウス誕生以来の目標を変えずにグローバルカーに成長した今、あのスケッチ画から抜け出したような先鋭的なデザインはすごい。日本のイヤーカーとして胸を張れる存在だ。

 2022年の軽自動車タイプのBEV「サクラ/eKクロスEV」の受賞に続いてHV/PHEVの小型車、プリウスの受賞は日本のCO2に対する立ち位置を表しているようだ。

 毎年、悩みながらも評点を入れている選考委員は忖度どころではない。悩んだ末の結果に今ごろは皆ホッとしているに違いない。

インポート・カー・オブ・ザ・イヤーはBMW「X1」。あらゆるパワートレーンを搭載可能なプラットフォームもBMWらしい
こちらはデザイン・カー・オブ・ザ・イヤーの三菱自動車「デリカミニ」。表情が硬いけどデリ丸。の真似してるんでしょうか?
テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤーは日産「セレナ」。シリーズHVのe-POWERは発電専用の新開発3気筒エンジンとモーター駆動の滑らかさが評価されました

 いつの間にか12月も半ば、政界も何かザワつき、誰が得をするんだろうというインボイス制度の導入にてんてこ舞いさせられながら年の瀬は過ぎていく……。あ~もっと時間が欲しい!

 あ、ところで1月の女神湖は17日に開催予定です。湖の氷結にヤキモキしながら毎日神棚にお祈りしています。

ムクよ、何を思う?
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。