日下部保雄の悠悠閑閑
雪の旭川から飛んだ、カヤバラリーチームのシェイクダウン
2024年2月19日 00:00
冬の北海道に来ると青い空と白い雪のコントラストに魅了される。すべてが柔らかい曲面は目に優しく、冬の青く澄んだ空もすべてが溶け込んでしまいそう。
風のない氷点下の雪原に立つと凛とした世界に圧倒される。もっとも上下ヒートテックとダウンに手袋、サングラス着用の完全武装の上の話で、暖房の効いた部屋に戻るとチョコレートのように身も心もとろけてしまう。
さて雪原の照り返しは目に厳しくサングラスは手放せない。もともと眩しがり屋でサングラスは必需品だったが、白内障の手術をしてからはさらに涙ポロポロで、日差しの強い日は都内でもしょぼしょぼして目が開いてるんだか閉じてるんだか分からない状態に。
これまでいろいろなサングラスを使って助けられたが、ここ10年ぐらいは偏光サングラスのTALEXを使わせてもらっている。いろいろなレンズがあって好みに応じて選べるのでプロショップに行くといろいろ試せ、偏光レンズのアドバイスも聞ける。
偏光レンズのよい所は雑光と呼ばれる余分な光をカットしてくれるので目の負担が激減することだ。今使っているのは外から見てうっすら目が見えるほどのレンズでオールマイティ。気が付くと室内でもサングラスをかけっぱなしのことも少なくない。光の反射が厳しい積雪路はマストで今年の北海道もずいぶん助けられた。
曇天になると雪道は陰影がなくなり壁と道路の境目が見えなくなる。偏光レンズでも見えないものは見えない。少しの凹凸から道路を見極められないか……もしそんなレンズがあったら冬の道路はさらに安全になるだろう。黄色や赤のような明るく見えるレンズも効果があるかもしれない。偏光レンズと組み合わせたらどのように見えるのか面白そうだ。
さてこの冬も長く付き合ってもらった雪道ともそろそろさようなら。舗装道路でのラリーシーズンが始まる。2月の中旬、カヤバラリーチーム(KRT)がスポーツランド山梨に集まった。
KRTは昨年から全日本ラリー選手権(JRC)に参戦しているが、ユニークなのは奴田原ラリーチームの協力を得ているとは言え、チーム運営からメカニック、そしてラリークルーまですべてカヤバの社員であることだ。
そして今年はいよいよJN1、全日本ラリー選手権のトップカテゴリーにステップアップする。本来はヤリス・ラリー2を使う予定だったが、さすがに手に入れるのは難しく、JN2車両、つまりGRヤリスをJN1規定に合わせて改造して参加する。ラリー2と比較するとタイムは落ちるが、それでもかなり速いラリーカーだ。
さて、そのJN1マシンを託されるのは、昨年地方選手権などで経験を積んだドライバー/コ・ドライバー。もちろん全日本の大舞台に参加するのは初めて。全日本はベテランぞろいで高いレベルで拮抗しているので、カヤバの新人は多分期待と不安で一杯ではなかろうか。
山梨ではそのJN1のシェイクダウンが行なわれた。自分の役割はシェイクダウンのドライバーではなく(ちょっと乗ってみたいけど)、前日のKRTのドライバートレーニングだ。正確な運転ができれば、車両の評価もしやすくなるというコンセプト。
ドライバーや評価者を短時間で養成するのは難しい。普段は他の業務に携わっているが、クルマが好きで走るのも好き、それもモータースポーツが好きでカヤバラリーチームの応募に手を上げた選抜メンバーだけに、まだまだ粗削りだけど、今回のわずか3回目の訓練で予想よりはるかに早く進化してビックリ。実戦でも普段の業務にも役立つとうれしい。
まだまだアマチュアだけど、黄色いラリーカーを見かけたら温かく見守ってください。全日本の猛者たちに揉まれてたくさん吸収するんだよ。