日下部保雄の悠悠閑閑
ダイハツ・ミライースのラリー車
2024年3月18日 00:00
ダイハツに吹く風は今も向かい風だが、全日本ラリーの第1戦、三河湾ラリーで楽しいダイハツ車を発見した。ダイハツの最廉価車、ミラ イースのラリー車である。
ミラ イースは軽量ボディと燃費のいいエンジン+CVTのエコカーとしてデビューした。東日本大震災の年の夏に燃費競争をしたのが懐かしい。現在のミラ イースも軽量ボディで燃費のよさからカンパニーカーとしても人気がある。そのミラ イースを使ってラリー車に仕立てたのがDGR。モリゾウさんの「もっといいクルマ作ろうよ」の声の下、ダイハツで誕生した社内組織でカスタムパーツなどのサポートする少人数で素早い動きが強みの集団だ。
モータースポーツ活動はダイハツらしくコペンやロッキーでラリーをしていたところに昨年起こった不正問題。みんな下を向いているんじゃないかと思ったが、今年のオートサロンで出会ったダイハツドライバーの相原さんはいつもの元気を取り戻していた。
それが三河湾ラリーのミラ イースだった。軽自動車は1メーカーで多くの車種をそろえているがプラットフォームの種類は少ない。つまり車種間でパーツの互換性があるためミラ イースにはないモデルも作れることになる。
サービスパークで会った相原さんはいつもの元気でミラ イースのラリー車を紹介してくれた。エンジンはミラ イースにはないコペンのターボエンジンに、ミラ イースにはない5速MT。駆動方式はFF。これだけでも十分楽しそうだ。
サスペンションはオリジナルのレイアウトのまま車高調整式のショックアブソーバーとスプリングを組み合わせている。
今のラリーは大部分がターマック。サスペンションストロークはそれほど必要ないかわりにブレーキはノーマルの片持ち式から6ポッドに変更されていた。久しくラリーから離れている身としては4ポッドでもいけそうだが、今のラリーはいかにブレーキに負担をかけていることか。もっともFFなのでリアは負担がかからないためドラムのままだ。タイヤもADVAN NEOVAの165/55R15で競技用タイヤでないのがエコだ。
車重は6点式ロールバーも入れて700kg強に仕上がっており、軽さが命の競技車にとっては大いに魅力的だ。
しかしポンつけでできるほど競技車は甘くない。エンジンルームの熱対策には苦労しているようでAピラーの前には熱気を逃がすエアダクトを追加している。エンジンルームでは効率的にフレッシュエアを取り入れる簡易式ダクトを取り付ける一方で熱対策にいろいろ工夫を施されている。
ラリーでは低速で負荷のかかるコースでエンジンルームに熱がこもったのかトラブルが出たようだったが、開発は始まったばかり。きっと近いうちに問題を解決してくれるだろう。
ミラ イースに期待するのはラリーコンプリートカーでも200万円以内という想定価格やD-SPORTの扱い店では割賦販売も可能(?)というだけではない。もしキットで販売できれば中古のミラ イースと組み合わせて格安なラリーカーを作ることだって可能かもしれない。
三河湾ラリーでもコース幅は狭く、全長の長い3ナンバー車は苦しそうだった。軽自動車なら強みを発揮できるチャンスもありそうだ。
2輪駆動で軽量ボディ! 限られた出力! 考えるだけで楽しい。DGRの皆さん、そして相原さん、夢を運んでください!