日下部保雄の悠悠閑閑

タイに行ってきた

バンコク国際モーターショーのプレスパス。プレスデイにもらいました

 バンコク国際モーターショーに行ってきた。タイでは毎年4つのモーターショーが開催されており、その中でもっとも大きいのが今回行ったモーターショーだ。バンコクのモーターショーは新型車のお披露目もあると同時にトレーディングショー、つまり販売会の側面も持っている。それも販売台数の2割以上をモーターショーで売り上げるというから各メーカーもかなり力が入る。各ブースの裏側は商談スペースになっており、営業社員が多数待機すると同時に販売に必要な書類を効率的に用意する窓口も備わる。

 近年、東南アジアに進出している中国車はタイでも急激に増えている。もともと価格が安いうえに税制の優遇もあってまさに爆発的な増加だ。日本でもおなじみのBYDもごく普通に見る。例えばドルフィンはもちろん、日本にはこれから導入されるフラグシップのシールもよく見かける。またMGもご存知のように中国資本に買収されて、今やコンパクトからセダン、ミニバン、スポーツカーに至るまでに何でもそろっている。

英国の名門スポーツカーメーカーのMGは今は中国資本で息を吹き返した。タイでもバラエティに富んだ車種をそろえている。スポーツカーも復活した

 これら2ブランドだけでなく、中国車は得意の電気を武器に今回のモーターショーでも名刺代わりの出展を含めて6社以上が進出していた。日本車王国だったタイ市場が一気に様変わりしていた。毎年日本車の独壇場だったモーターショーのブースも中国車の勢いに押されてスペースも限られているように見える。

GWM。長城汽車のBEV。これ見るのは初めて

 ただバッテリEVも無敵ではない。インフラが追い付いていないのは日本以上で、充電スポットが限られている。またタイでは自動車による移動が一般的。年末の里帰りで、電欠した車両もあって人気に陰りが出ているという。

 そして走行距離の多さも特徴的だ。日本だと年間5000kmも走らないクルマが多いが、タイでは0がもう1つ付く年間4~5万kmというのも珍しくないらしい。そして最初の車検が7年目なので、15万kmぐらいで買い替えるユーザーも多いという。

 それだけ走っても中古車価格は高値で安定しており、買い替えも容易だ。しかしICEやHEVでは大抵の相場感が分かるが、BEVはまだ走り始めたばかりで価値の算定が難しい。こんな理由でICEやHEVに回帰する人たちも増えているという。

 価格は決定的な購買理由だが、タイの人たちの電気という新しい流れに敏感なのはビックリだ。

トライトン。AXCR用のラリー車、現地チームの支援で参加する。

 三菱自動車が今年投入したタイ生産のエクスパンダ―HEV(アウトランダーPHEVのバッテリを1kWhにしてエンジンを小さくしたFFと考えると分かりやすい)はタイミングもよく好調だという。このレポートは別の機会に紹介するとして、タイのマーケットも激戦区になり日本車安泰とはいかなくなってきたようだ。

手前はエクスパンダ―HEV。向こうはパジェロスポーツ。いずれも三菱自動車の人気車種
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。