日下部保雄の悠悠閑閑

連休中の楽しみ

石神井川の水上公園。小川を上手に使って子供たちの憩いの空間を作っている。柵の向こう側は川まで下りられる公園です

 ゴールデンウイークはのんびりできましたか? こちらはゴミ箱のような自分の部屋を整理したり、たまりにたまった原稿に手を付けたりして休日が過ぎ去る毎日でした。唯一、休日らしかったのは孫のヒップホップダンスの見学がてら浦和までぶらぶら散策したぐらい。

 浦和までは電車で1時間以上かかるがTシャツでも過ごせるほどの散歩日和。軽装の家内と途中下車自由の気ままな小旅行を試みる。

 メトロが麻布十番のホームに滑り込んだとき、なんの脈絡もなく「よし降りよう!」お昼の時間だ。蕎麦が頭に浮かんだが、飛び込んだのはコンクリート打ちっぱなしのメキシカン風の何やら不思議なお店。蕎麦と全く違うだろ! と思ったがなぜか惹かれるものがある。店内は他国籍の人も多くいかにも麻布十番らしい。メニューを見て決めればいいやと気楽に構えていたら、カウンターの向こうから何にするかたずねられる。どうやらベースを注文してそこにトッピングしていくらしい。もたもたしているといろいろアドバイスしてくれる。丸めて渡してくれたのはおにぎり2つ分ありそうなギュと詰まったブリトーだった。

 呆然としつつかじりつくと野菜を中心としてプロテインタップリ。すぐに栄養バランスの優れたものを食べられるいかにも今風だ。

 満足、満足。食べきれなかった分は持ち帰ることにしてお店を出た。領収書を見て初めてFRIJOLES(フリホーレス)というチェーン店だと知った。家内は気に入ったらしく、「覚えておこー」とのたまう。

 また南北線で王子までアシを伸ばす。最初からここは行ってみようと思っていたのは飛鳥山公園。もうすぐ1万円札になる渋沢栄一邸がある広大な公園だ。

 サクラトラムを横眼に見て飛鳥山公園に行くつもりが、何とも涼しげな風情のある石神井川に出た。チョロチョロ流れる小川を整備して作られた格好の水上公園で子供たちが歓声を上げてビチャビチャになって遊んでいる。ソフトクリームをなめながら眺めているだけで休日感満杯だ。北区の子供を大切にする自治体の方針がこんなところにも表れているようだ。

 ふと横を見ると丘に張り付くように階段がある。城郭のようだがそれほど険しくない。道標には王子神社とある。早速上ってみる。王子神社……鬱蒼とした森の中にたたずむ古式然とした社を妄想していたが、上ってみるとあっけないほど普通に明るい神社だった。

 ありがたくお詣りして御朱印をいただいてきたが、子育てなどにご利益があるそうだ。そしてキツネさんはどこにもいなかった……。

王子神社は子育てにご利益のあると言われるだけあって明るい神社でした。キツネはいなかったけど

 飛鳥山公園は最終の無料のケーブルカーに飛び乗れて飛鳥山に上った。公園は大きく広い。モデルさんを撮影しているかと思うと、遠くから子供たちの歓声とバンドの演奏が聞こえる。ロックバンドの横を抜けて北側にある渋沢栄一の記念館群に向かう。お札にちなんだ紙の博物館や渋沢資料館、旧渋沢庭園、旧住宅だった青淵(セイエン)文庫、憩いの場だったのだろうと勝手に想像した晩香廬(バンコウロ)を駆け足で眺めて、次回の楽しみにしてJR王子駅から京浜東北線で南浦和に行く。

飛鳥山公園の旧渋沢邸にある図書館。晩香廬。きっと渋沢栄一が静謐な空間でくつろいだんだろうと勝手に想像しています
飛鳥山で迎えてくれた花壇。モデルさんが撮影してました

 さいたま市文化センターにたどり着いてから、孫が出るまで2時間ぐらいあるが、圧倒的に女の子たちが多い。小学校低学年から中学生ぐらいまで子供たちが約4分のヒップホップダンスを踊り切る。こんなに多くの子たちが踊りに打ち込んでいるのを見たのは初めてだ。EDC(Everybody Dance Club)の発表会はテンポよく進行していく。

 発表会だから練習量や個人差も大きいと思うのだが、子供たちのパワーに圧倒された2時間だった。孫ですか? 想像以上にキレキレのダンスを披露してくれました。

キレキレのヒップホップダンスを披露してくれたのは帽子の子です
季節がよくなって散歩に連れてけと騒ぐ最近のムク
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。