日下部保雄の悠悠閑閑
人とくるまのテクノロジー展、雑感
2024年6月3日 00:00
公益社団法人自動車技術会が主宰する「人とくるまのテクノロジー展」。2024年も駆け足で回ってきた。年々出展社が増えてスペースも拡大している。テクノロジー展の主体は部品メーカーで普段は直接見えない自動車産業の原動力が分かる。初日は特に来場者数が多かったので盛況だった。
最初に入ったD館では多くの部品メーカーを横目で見ながらいすゞにたどり着いた。エルフのEVトラックを展示しており、ラダーフレームだけにバッテリやパワーユニットの位置関係がよく分かる。
乗用車メーカーが入る会場にはトヨタ、ホンダ、日産、三菱自動車、マツダ、スバル、スズキがあってにぎやかだ。OEMは車体も持ち込んだ展示なのでスペースも広い。トヨタはクラウンセダンのHVとFCEVのカットモデルで2つのパワートレーンのレイアウトが分かりやすかった。
一方のホンダはCR-VのFCEVがサラリと置いてあった。人だかりがすごくなかなか近寄れない。ホンダのFCEVの歴史はクラリティから始まって長い。
三菱自動車はアイデア募集というユニークな作戦。確かにどこのメーカーも開発リソースが不足しており人材確保に躍起だ。
スズキは例のメタンから作るバイオ燃料で走るインド製のアルトの展示で、地に足を着けたスズキの活動は感心する。
マツダはロータリーの活路を見いだしてMX-30推し。そして日産は次世代の個体電池へのロードマップを示してBEVの先駆らしい展示だった。わずか3年ぐらい後に走り出す。
OEMのそばにあった太陽誘電というメーカー。認知度アップにライト付けボールペンを配っており、その光に吸い寄せられてブースに行く。そっけないデザインの電気自転車が置いてある。永久機関のように1000kmも走るという。モーターを前輪に付けたのがミソで、シンプルに回生が取れるので充電ができ、航続距離が長い。重いバッテリを持って充電する回数が減らせるというわけだ。多機能メーターには電池残量以外に発電量や人間の消費カロリーを表示して「環境」と「健康」に優しいとうたっている。確かに自転車の使い方は目的地に着いたら帰ってくる。上れば下るわけだ。エネルギーを全部回収なんて虫のいい話はないが確かに充電回数は減るだろう。で、前輪をモーターアシストするのでドライバビリティはどうなんでしょう?
太陽誘電はコンデンサなどに強みがある電子部品メーカーで、制御コントローラーに強みがある。ちょっと面白そうだ。
隣にあるのは自立式ロボット自転車で名をはせた村田製作所。タイヤのサイドウォールにタグを埋め込み、それを読み取ることでタイヤの管理ができる技術を展示していた。タイヤ製造時にタグを埋め込み、通信でタイヤのデータ管理ができる。そのタグが走行中のストレスにも耐えられるなんてすごいと思ったら、ダンロップではトラック用タイヤで採用しているという。物流業界では結構画期的なことではないだろうか。ほかにもいろいろと紹介があったが、ここはプレゼン力も高いと感じた次第。
人とくるまのテクノロジー展、チョイっとかじっただけだけど見応えありました。