日下部保雄の悠悠閑閑
モントレーへの旅
2024年6月17日 00:00
モントレーに行ってきた。
と言っても、群馬県安中を舞台にした全日本ラリー選手権のモントレー2024である。今年からドライバー/コ・ドライバーも社員で固めるKYB号の陣中見舞いとKYBのブースで提供される「親子が安心できる場所」の応援だ。
キャロッセの創業者、加勢裕二さんの誕生の地である安中は、まだ関越道が全通していないころ何度か遊びに行った。もちろん加勢さんに会うためだ。「ラリー・チームやまびこ」のラリー仲間と走りに行ったのはすべてダートだった林道。
後に“グンスぺ”と言われるラリーの手練れたちで、みんな元気よい。そんなラリーにどっぷりつかった若者が主催したのが「やまびこラリー」で、モントレーの前身である。当時から絶好の林道と「観せるラリー」を目指してギャラリーステージを設定するなど、その心意気は今につながるものがある。
しかも今年は初めて国道を封鎖してSSとした画期的な試みが行なわれた。碓氷峠の旧道だ。今は便利な碓氷バイパスや関越道が通り、約130ものカーブがある旧道はあまり使われなくなったが、スキーに行くのも軽井沢に行くのもよく通った峠だ。イニシャルDの舞台になっている聖地でもあるらしい。
もちろん観戦に行きました。道路の電光掲示板に「旧道ラリー開催のため通行止め」の文字を見たときはホントに感慨深かった。日本のラリーもここまで来たのかという思いだ。若くして亡くなった加勢さんが元気だったらどんな思いを持ったことか。
観戦ポイントはかつて信越線が走っていた名勝「めがね橋」近くのヘアピンだ。遠くからラリー車特有の音が山に響いてくる。トップカテゴリーのJN1はラリー専用ナンバーをつけたラリー2車両。今年からGRヤリス・ラリー2が走り、急速に台数が増えた。注目は群馬出身の新井大樹選手のシュコダ・ファビアR5。2023年までコバライネンが乗っていたクルマ。メンテナンスしながら2024年はすでに2勝している。シュコダはラリー2の人気車種で安定した性能を持っているうえに実戦のデータが多いのが強みだ。
一方、勝田範彦選手やADVANカラーの奴田原文雄選手のヤリスはまだ最初のシーズンでセッティングに苦労しているようだった。KYB号はJN2を改造したJN1車両で、基本的にはGRヤリスの発展型。まずは絶対完走というのが今年のテーマでその目標は守られている。
碓氷峠は下り9kmを2回走る。なかなかブレーキが厳しそうだ。勝田選手はいつものようにスーと入ってきて滑らかに加速する。新井大樹選手はブレーキの使い方が素晴らしい。直線的に入って強いブレーキをかけてコーナーに入る、その速度感がぴったりですごい。やはり逸材だ。
KYB号も最初の方のSSで片輪を溝に落としたようだが、無事に走っている。なかなか健気である。頑張れ!
DAY2はKYBブースのお手伝いでずーっとコーヒーを淹れていたが、ホントにたくさんの人が来てくれた。子供たちもタトゥーシールを貼ったり、缶バッヂを作ったりと楽しそう。それにご親御さんのうれしそうな表情を見て報われた思いだ。
優勝はぶっちぎりと言っていいほどの走りで新井大樹選手。勝田選手も順当に入賞したが、療養中のコバイライネン選手の代わりに久しぶりの国内スプリントラリーに参加している田口勝彦選手もベテランの味をシッカリ発揮したのは立派。
みんな碓氷峠をそれぞれの思いで走ったに違いない。
今回の往復に乗ったのはホンダのステップワゴン。e:HEVのAIRグレードはシンプルで好きだ。便利なのはフォールダウンするサードシート。ワンタッチで収納でき荷室が広く使えるのはキャンプにもぴったり。幅のあるコールマンのラゲージカートが余裕で横に収まった。ワイパーレバーの先についている左右を見る広角カメラも便利で狭い道から出るときに便利だった。
運転はミニバンなのでそれなりだが、どのシートも余裕がある広さはなかなかだ。不思議なのはAIRグレードだとハイブリッドでもUSBチャージャーが1つしかないことだったが、上級のスパーダになると3列ともついていた。AIRでも標準装備にしてほしかったな。
高速道路も含めた燃費は3人乗車で荷物を満載した状態で約16km/L。個人的には条件を考えるとまずまずだと思ったがいかがだろうか。愛着が湧いた長距離ドライブだった。