日下部保雄の悠悠閑閑
時代に沿って変わりゆくロータス
2024年8月26日 00:00
ライトウェイトスポーツカーの盟主と言えばロータスだった。ケータハムにつながる走るためだけにあるクラブマンレーサーで世に知られ、続く軽量/高剛性(当時としては)のXボーンフレームを使ったエランで当時のスポーツカーマニアは胸を躍らせた。
創業者であり天才デザイナー、コーリン・チャップマンの黄金時代から紆余曲折を経て今はジーリー傘下にある。とはいうものの、ロータスはロータス。これまで培ってきたスポーツカーメーカーの矜持は今も変わらず、開発生産拠点も同じく英国にある。
さて、過日借りだしたロータスの原点ともいうべきケータハム 170Rはスズキのターボエンジンを積んでマフラーはサイド出し、ウインドシールもないという、クルマは腕っぷしで走らせるというスポーツカーの原点みたいなクルマだった。
そして今年の暮れに日本にやってくる最新のロータス、Emeya(エメヤ)はロータスとしては第2弾のBEVになるGTカーだ。すでにELETRE(エレトレ)というBEVのSUVがラインアップされていた。完全なリサーチ不足だ。
4ドアのロータスって考えてもいなかったが、その歴史上初めてのオリジナル4ドアセダンということになる。大きい、地上高が低い、高価は苦手意識があって近寄らなかったので、いかにこの分野に疎くなっていたか改めて思い知った。そして、ためらっているうちにロータスはスーパーカーメーカーに成長していた。
バッテリは102kWhという大容量。それにともなって重量は2480kg(英国数値のようでドライバー1名、75kgを含んだ数値)という重さ。ボディサイズも5139×2005×1459mm(全長×全幅×全高)と超ハイパフォーマンスモデルらしくビッグだ。さすがにアルミモノコックでも重い。駆動方式は巨大なトルクを受け止めるモーターによる4WD。
エメヤは3種類のグレードがあり、基本モデルと装備を充実したエメヤ Sは総出力450kW/710Nm。トップエンドのハイパフォーマンスモデルとなるエメヤ Rでは675kW(918PS!)/985Nm(!)で、0-100km/hは2.78秒で走りきるという。標準モデルでは4.15秒。Rの重量は2575kg(ドライバー込み)だがこの強烈なトルクには100kgほどの重量増は歯牙にもかけない。ホイールベースはミニバンにも匹敵する3069mm。後席のあるロータスだけでも驚きだが広くて豪華だった。
ロータスは変わっていく。2028年までにすべて電気で走るラグジュアリーブランドを目指すとしているが、エメヤを見るとなるほどと思う。
一方、いつも旧車レースで乗せてもらっていたエランが恋しく思うのでした。