日下部保雄の悠悠閑閑

カヤバ モータースポーツ×iceGUARD 7 Winter Driving Park 2025

今年はカヤバラリーチームが参加して、超豪華なゲストを呼んでくれた

 2025年のWinter Driving Parkは予定どおり長野県立科の女神湖で開催できた。いつもより少し遅い2月5日の日程で氷の厚さを心配していたが毎日神棚にお祈りしていたご利益があったのか、女神湖に寒波がやってきて今シーズン最高のコンディションになった。

 今年はカヤバ モータースポーツ部の応援もあってiceGUARD 7を履いた2台のFFヤリスを用意して、ショックアブソーバーにサステナルブオイルに替えたものとノーマルの比較試乗を行なうプログラムも入れることができ、参加者にも乗ってもらった。

 加えてカヤバ社員だけで構成するカヤバ ラリーチームの運転訓練も行なわれ、特別ゲストには片山右京さん、奴田原文雄選手、新井大輝選手が加わり超豪華なインストラクター陣となった。もちろんいつもの森岡史雄君や斉藤邦夫さん、そして里見乃亜君にもインストラクターとして加わってもらった。

女神湖はしっかり厚い氷が張って22台のクルマが氷上を舞うように走った。遠くは京都からもいつものメンバーが参加してくれた

 右京さんは実は氷の経験はあまりない。たしかにF1やパリダカドライバーとしての右京さんは知っているが氷のイメージはないな。ご本人も謙遜していたがさすがにあの鋭い反射神経は健在で氷でも電子制御をうまく使いながらコントロールしていた。さすがです。もちろん超一流の現役2人のライン取りやクルマの姿勢作りはさすがラリードライバー。見ていてほれぼれする。

 今年全日本ラリー3年目となるカヤバ ラリーチームのドライバー石黒君は奴田原選手から特訓を受け、新井大輝選手や片山右京さんから技術だけでなく競技に取り組む姿勢なども教わり、得ること盛りだくさん。あり過ぎて迷わなければいいんだけど。

ゲストインストラクター。左からおなじみの奴田原選手、いつも変わらない笑顔の片山右京さん、天賦の才を持った新井大輝選手(天賦の才を持ったドライバーがスポンサーを熱烈募集中です)

 そして注目のサステナルブオイル。極低ミュー路でどの程度効果があるのか。装着スタッドレスは氷だけでなく路面変化に強いiceGUARD 7。

 カヤバのサステナルブオイルは春から秋まで経験済。路面の追従性がよく、応答性や乗り心地、そして車種によっては音にも影響を与えることはノート オーラ 4WDで仕様を変えながら確認している。

 早朝の女神湖はもちろん氷点下。氷の上ではさら爪先からはいあがってくる冷気に体が硬くなる。氷の上はコンマ0.1~0.2ぐらいの摩擦係数。平板に見え氷も実は結構凹凸もありサスペンションは微小に上下する。

サステナルブオイルを入れたヤリス。サステナルブオイルとはショックアブソーバーの作動油の名称で石油に依存しない環境に優しいオイルだが、それだけではなく性能にもいい影響を与える

 サステナルブのよいところは、ピストンが上下する瞬間に起こるオイルの追従性だと思っているがその美点は極低温の氷でも変わることがなかった。

 ノーマルと比べるとステアリング応答性がよく手応えがある。また反応が早いためにタイヤのグリップ範囲の中で姿勢を整えられドライビングに余裕が生まれる。さらに氷の凹凸での追従性がよいのでバネ上の動きも落ち着いている。

 タイヤのグリップ限界が上がるわけではないのだがタイヤをうまく使えると言った方がいいだろうか。

 一定の運転条件で比較するのは慣れても難しいが、氷の上で標準車と評価する珍しい体験ができたことが大きい。

 サステナルブオイルも万能ではないが、サスペンションとタイヤの関係を少し勉強できた。

 さて肝心のWinter Driving Parkは早朝から14時半まで、皆さん飽きることなく練習を繰り返し、午後には氷はピカピカに磨かれたほど。走行ラインはまさにブラックアイス。曇天で氷が溶けだすことはなかったのも幸い。

 特にハンドリング路は例年より長くコースが作られてタイトコーナーも多い。攻略するのはなかなか大変で、何度もラインを変えたりブレーキポイントを変えたりして運転の面白さを満喫してたのがうれしい。

 神様、ありがとうございました。また来年も開催できるように頑張ります。

女神湖ではないが奴田原選手のドライブするGRヤリスラリー2。コ・ドライバー席に乗せてもらい雪原を疾走中。感激!
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。