日下部保雄の悠悠閑閑
鳥
2025年3月3日 00:00
わが家の近くを歩いていると電線の上からカラスが鳴いてくる。適当に返事をすると(危ない人だと思われそうだ)さらに首をかしげながらこちらを見ている。振り返るとヒョイと離れる。また歩き出すとまだこちらを見ている。われながらヒマだなと思う……。話しかけられているのは錯覚で仲間に何かを知らせているのかもしれない。よく通る鳴き声は遠くまで届いて仲間に何かを知らせているに違いない。
カラスはいたずらものだ。ベランダで日光浴させていたパワーストーンを持ち去られたことある。どうやらキラキラするものに反応するらしく、私ではないが取材車のルーフにキーを置いていたら持っていかれたという話も聞いた。困った取材者は状況をメーカーに話しても信じてもらえなかったとか……ボクは信じるけどね。
上野にある国立科学博物館で開催された「鳥」展を見に行った。最終日も近い土曜日だったので混雑は覚悟していたが案の定………。
まず入場するための整理券の列に並ぶ。もらった券に記載されていたのは16時半だった。1時間半以上ある!
しかしその待ち時間も隣にある科学館本館の「日本の歴史」を見学することができ、実は退屈しなかった。しかし余った時間をスタバでのんびりしていたのが間違い。入場するまでに約20分もかかってしまい「あれ、17時までじゃなかったっけ?」。
さてやっと入れた会場は入場制限の効果とレンタルした音声ガイド(ナビゲーターはレイザーラモンRGさんと高柳明音さん)のおかげで素人にも内容が理解できた。
入り口には2600万年前に生きた史上最大の鳥、「ペラゴルニス・サンデルシ」が出迎える。翼間長7mもあり恐竜時代の名残りはでかい。零戦の翼幅が32型で11m。こんなのが大勢飛んでいたらすごいだろうなと妙に感心する。くちばしからは歯が見えるが骨の一部でいわゆる歯ではないらしい。あっけに取られて写真を撮り忘れた。
鳥は空を飛ぶために徹底した軽量化が施されて、骨も極力軽く中空、骨には軽量孔もあり、空を飛ぶのは軽さが一番だ。飛行機も出力の限られた時代から軽量化との戦いだ。
ところで地球上で一番早い動物はハヤブサ。急降下の最大速度は300km/hになるというからすさまじい! こんなのに狙われたらたまらない。そのハヤブサはワシの仲間とだと思っていたが、実はスズメに近いというのも初めて知った。小型の俊敏な猛禽はかっこいい。
一方、猛禽類のフクロウ。ジッとしているかと思うと突然真後ろを向いてギョッとさせられることがある。驚かそうとしているわけではなく、夜でも見える大きな目は眼球を回すことができないので、首ごと振り向くのだと初めて知った。
写真でしか見たことがない話題のシマエナガもスズメの仲間で剥製はホントに小さく愛らしい。人気者になるわけだ。ところでひと昔前まで東京であれほどチュンチュンうるさかったスズメもあまり見なくなってしまい心配だ。
のんびり説明を聞きながらアチコチと展示を見ていたら「蛍の光」が流れてきた! まだ3分の1ほど残っている。慌てて音声ガイドを飛ばしながら出口まで来た。
最後の案内は小鳥たちが言語を持っているという紹介だった。鳥の名前、肝心なところは聞き漏らしたが、危険な蛇が木を登ってきたときの鳴き方と降りたときの鳴き方、間違った情報を伝えたときの謝罪(?)の鳴き方は違うらしい。それだけでなくもっと複雑な情報も伝えることができるという。確かに言語と言えそうだ。
さてはカラスが話しかけたように感じたのは仲間だと思われたか、こっちがカラスに近かったのか……。今度は聞く耳を持ってみよう。







