日下部保雄の悠悠閑閑
マイチェンしたCX-60
2025年3月10日 00:00
マツダの推進する縦置き直列6気筒を搭載するラージプラットフォーム群の先兵を務めたCX-60。マツダの挑戦に大きな注目を集めた。SKYACTIV-D技術やエンジンのモジュール化が進んだとはいえ大排気量ディーゼルエンジンやFRレイアウトはマツダのこだわりと技術への自信だ。
ディーゼルの燃費のよさとフラット路面での乗り心地、機敏で素直なハンドリングはCX-60の美点だ。そして今回のマイナーチェンジはシャシーに集中している。
一番のポイントは課題だったリアからの突き上げで、これまでは荒れた路面での上下動でどうしてもバタバタとする傾向があった。
それが、マイナーチェンジ後のCX-60は衝撃が緩くなっていた。変更点はリアではスプリングレート、ショックアブソーバーの減衰力、バンプストッパー、外されたリアスタビライザーという大胆な改良になった。
リアサスの大きな変更に合わせてそれに合わせてフロントもショックアブソーバーの減衰力とナックルアームの取り付け位置が変えられた。
結果、従来のCX-60と基本的なサスペンションの動きは変わらないが、ここまで変えるとフィーリングには大きな違いがある。
ハンドリングはキビキビしたものから、マイナーチェンジ後のステアリング応答性は舵の効きともに穏やかで、コーナーでのロール姿勢もリア寄りで大きくなったが前後バランスの取れたものだった。
大雑把に言えばリアのサスペンションストロークを増やして乗り心地が角の取れたものになり、ハンドリングはSUVらしい少しゆったりしたものになった。
少し動き過ぎる感があるものの荒れた道での柔らかい乗り心地は好まれるのじゃないだろうか。
一方、トルコンレス8速ATは変速時に時折顔を出していたショックがかなり滑らかになり、これまで苦手だった曲がりくねった急坂でのショックも小さくなってブラッシュアップされたようだ。
CX-60は富士山の麓にある裾野市の周辺コースで堪能した。雄大な富士山に向かって走るのは気持ちがいい。左右に大きく広がった景色は伸びやかでCX-60によく合っている。心地いいワインディングロードも緩いロールと収束のよさに好感度が上がる。マイチェン前の俊敏な動きもマツダらしいスポーティな味付けだったが、新しいCX-60はよりSUVらしい伸びやかな動きになった。
試乗車はFRのXD SPグレード。中心価格帯のXDに加えられたスポーティに装ったグレードで433万4000円。LクラスSUVとしては買い得感のある価格になっている。
印象的なクルマだったのでコラムにも出演してもらった。