日下部保雄の悠悠閑閑
新しくなったKYOJO CUP
2025年5月26日 00:00
女性だけのワンメイクレース、KYOJO CUP。2024年まではヴィッツのエンジンを搭載したVITA-01で行なわれており、最初こそ接触も見られたがKYOJO CUPを育ててきた関谷さんがレースごとにマナーやテクニックのレッスンをするきめ細かいケアで、今ではプロフェッショナルなレースになっている。
VITAは手軽でランニングコストが低く、日本はもちろんアジア圏でも広く使われているが、2025年からはF4よりも少し小さいKYOJO専用の本格的なフォーミュラに変更された。車体は台湾で制作されたKC-MG01。サイズはホイールベース2753mm、全長4150mm×全幅1506mm。エンジンはアバルト製1.4リッターターボで出力は176PS。これに12kWのハイブリッドシステムが加わる。車両重量は635kg。レースではセッティングできるのはスタビライザーと空気圧、それにブレーキバランスだけ。ウイングやバネ、ショックアブソーバーの減衰力は変えられない。
富士スピードウェイでのRd.1、DRYの決勝で両レースを制した下野選手が1分45秒台を出している。
マシンも面白いがレースのシステムも非常に管理され車両はすべて主催者で保管。レースのときだけ貸し出され、練習車は別に用意される。マシンは27台あり20台がレース車。残りの7台はスペアカーだ。
年間15セットのブリヂストン製スリックタイヤと油脂類、保険、メンテナンス費用も含めて年間経費は1100万円。安いか高いかは価値観によるが頂点を目指すドライバーには合理的な金額だと思う。応援してくれるスポンサーと出会える道も開かれ、国内レースとして1戦あたり319万ほどの賞金もが出るのも画期的だ。
KYOJO CUPのプロモーションは女子ゴルフにも似ている。そして世界の女性レーシングドライバーの登竜門となるのを目指している。Rd.1も5名の出身国の異なるドライバーが参加する。
そしてこれまでのVITAにはKYOJOクラスが設定され、KYOJYO CUPへのオーディションが開かれる。KARTも同じシステムが導入され、モータースポーツを目指す女性にとっては大きなチャンスに違いない。
フォーミュラでもまれてきた下野選手はこの条件の中でも一日の長があり予選からスプリントも独走だった。日曜日のファイナルも同様の展開だったと聞く。最初のフォーミュラレースは無事終了(土曜日のスプリントしか見られなかったのが残念)。
このユニークなレースに挑む選手の中に知ってる顔がいた。タイヤの勉強会のスタッフで来てもらった永井歩夢選手だ。キビキビとよく動いてくれる子だなと思っていたがラリー、レースの経験があるという。何気なくウェットハンドリングを走ってもらったら滑りやすいコースをどんなクルマでも適格に走らせて速かったのにビックリ! 適応性が高くドライビングの基本がシッカリして安心して見ていられる。フンワカした雰囲気からは想像できない。
KYOJYOの合同テストのタイムを見ると適応力の高さが伺いしれたが、Rd.1では後半タイヤがタレてペースが落ちてしまったと反省しきり。シリーズはまだ始まったばかりで残り4戦も応援してます。