日下部保雄の悠悠閑閑

GLCとマイバッハ

GLC。ベースグレードになるCORE。基本装備は共通で安全装備に手ぬかりはない

 メルセデス・ベンツの試乗会でGLCとマイバッハに乗ってきた。他にもメルセデスAMG GT 43クーペ(適度なパワーと秀逸なハンドリングを持つスポーツカーだ)や、EQB(取り回しのよいSUV EV)をはじめ、多くのメルセデス車が用意されている。

 GLCは輸入SUV販売第1位という実績を持つ。高い支持率はメルセデスへの信頼感とそれに応えるメルセデスらしい作り込みにある。走らせるとメルセデス特有のドッシリした直進性とCクラスらしい軽快感を合わせ持った扱いやすさと安定性は信頼の源だ。

 最近加わったのはエントリーモデルの2.0リッターディーゼルターボの220 d 4MATIC Coreで基本装備はそれほど変わらず、シートが本革から合成皮革になるぐらいだ。

GLCのインテリア。ドイツ車らしい高級感は変わらない

 インフォテインメントも第3世代となり音声認識も「Hi Mercedes」といういつもの呼びかけを必要とせずにそのままリクエストすればOKの機能もある。ホーム画面に関連メニューが出ているのも操作しやすい。内装はドイツらしい高級感の演出もさすがです。

 それにエンジン出力は必要十分で特に高速クルージングでは本領発揮で中間加速も優れている。

 試乗したSUVクーペの価格は866万円。標準モデルでは819万円。セダンが754万円なので65万円ほど高い。人気があるのも分かる。

GLCの運転席から。雨の試乗となったがしっとりとしたキャビンからのながめは落ち着く

 もう1台はメルセデス・マイバッハ EQS 680 SUV。マイバッハと言えばメルセデスの最上級リムジン。今時の流れでリムジンにもSUVがある時代。マイバッハにも登場していたとはビックリ。とにかく大きい。2m超えの全幅とハッチバックで全長5135mmある。これをシステム出力955Nmのトルクで3tのボディを走らせるから迫力だ。もちろん前後モーターを持つ4WD。118kWhのバッテリからWLTCモードで640kmの航続距離を走る。

マイバッハ EQS SUV。巨大なSUVリムジンに圧倒された

 アクセルのひと踏みで離陸するんじゃないかという加速だ。しかしマイバッハはやっぱり威厳を持って粛々と走るのがふさわしくEQSもそれに応える。さらに静粛性はさらに上をいく。さすがに台形タイヤのロードノイズは耳に入る。

マイバッハ EQS SUVのタイヤは、アメリカ製のCOOPERタイヤ。ZEON CROSSRANGEのネーミングでメルセデス専用タイヤだ。サイズは275/40R22。デカイ

 試乗したというよりも、同じ試乗枠の瀬在くんに甘えて後席に乗せてもらった。大感謝の瀬在くん!

 試乗車はファーストクラスパッケージで白の本革の左右独立シートだ。センターコンソールと、たぶんエアコンなどを操作できるスマホ台があるので予想したほどの広さではない。リムジンにお決まりの冷蔵庫付きで冷たいものも飲める。残念ながら何も入ってなかったけど。

ラゲッジルーム。大きなリアゲートが開くサマは迫力。開閉ボタンは手の届くところにあるので大丈夫

 しかし“ドン”と座っていられない性分で何とも落ち着かない。いろいろ試したく備え付けのスマホをタップしたがウンともスンとも応答しない。最初に聞いておくんだった。後席の貴人は余計なことをせずショーファーにリクエストせよということか。

 価格を見ると車両本体が2790万円。試乗車のオプション込みだと3452万3000円。軽い眩暈がした。

日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。