日下部保雄の悠悠閑閑

新型フォレスター

フォレスター Premium S:HEV EX。ボディカラーはデイブレイクブルー・パール。気持ちよく快適にロングドライブができた

 三浦半島と房総半島を直結するルートが東京湾フェリー。久里浜~金谷間をわずか40分で移動できるメリットは大きい。その金谷港のすぐそばにBAYSIDE KANAYAがある。海に面した滞在型リゾート施設で、何もせずに過ごすにもいいところだ。

 スバルが試乗会の起点としたのはここだった。試乗車はフォレスターの1.8リッターターボとストロングハイブリッド。高速道路からワインディング、郊外路とバラエティに富んだコースを途中で景色を眺めながら2時間ほど走った。また、オフロードは採石場跡にコースが設定されていた。

 メリハリ感のあるデザインは好感度が高く累計受注はすでに1.5万台を超え、ハイブリッドの納車待ちは1年以上。しかし増産体制が整い順次解消されつつあるという。

e-BOXERストロングハイブリッドのエンブレム

 さて新型フォレスターのボディサイズは4655×1830×1730mm(全長×全幅×全高)で、従来モデルよりちょっと大きい。ただしホイールベースの2670mmは変わらない。狭い日本の道でも扱いやすいサイズだ。

 ハンドルを握って最初に感じたことは安心感。ボディ剛性が高くサスペンションが正確に動くような印象で心地よい。

 ハンドリングも素直で乗りやすい。ハンドル応答性がスッキリとしてコーナリング中の姿勢も前後バランスがよく、安定性が高いのが新しいフォレスターの特徴だ。ターボは軽快感があるのに対し、ハイブリッドはどっしりした感触という違いがある。

 2種類のパワートレーンでターボは低回転からトルクがあって素早い加速が得られる。個人的にはもう少し穏やかなトルクカーブの方が乗りやすいと感じるほど。Iモードでも結構俊敏だがSモードにするとさらにメリハリが利いた走りになる。高回転の伸びはスバルらしく爽快だ。

 パドルシフトも備えるリニアトロニックCVTとフラット4エンジンのマッチングもよく、市街地からワインディングロードまでエンジン回転との乖離は感じなかった。高周波のエンジン振動もトランスミッションケースの剛性アップでほとんど感じられない。

 一方、ストロングハイブリッドも完成度が高くて滑らか。270Nmのモーター出力と2.5リッターエンジンの相性がいい。軽くスタートし、途切れのない加速は気持ちがいい。パワー感はターボに及ばないもののハイブリッドの人気が高いのも分かる。スバルの縦置き4WDとしたストロングハイブリッドの完成度は高い。

 装着タイヤはターボは225/55R18、ハイブリッドは235/45R19を履く。前者は高速道路での直進性が甘いが、後者は重量の関係もあってハンドルのスワリがよい。またタイヤの周剛性が高くて路面からの当たりは強めだが、突起乗り越しではバネ上の動きは小さい。

キャンプ仕様のX-BREAK Adventure Style Package。ガラリと変わった印象になる
湖畔のフォレスター。なかなかサマになっている。これだけのキャンプ用品を運べる積載量ということか

 採石場跡のグラベルコースは凹凸が大きい。しかしフォレスターにとっては物足りないほど容易でボディ剛性の高さはウネリ路でもラリーカーのように正確だった。もっとタフなコースで試してみたくなったのはフォレスターの余裕からに違いない。

鋸山周辺の地形。房総半島の来歴が分かりそうな激しい地層。タモリさんの好物かな……
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。