日下部保雄の悠悠閑閑
F1日本GP
2026年4月6日 00:00
モータースポーツシーズンが開幕した。F1は今年からルールが大幅に変わり、モーターとエンジンの出力はほぼ同等。エンジンは1.5リッターV6ターボで変わらず、圧縮比が18:1から16:1に低くなり(それにしてもすごいな)、100%カーボンニュートラル燃料(一体いくらするんだろう)になった。エネルギー回生も可能で、ドライバーは複雑なエネルギーマネジメント能力が必要とされそうだ。スリップから抜け出して前車を抜くというだけでは通用しない世界。マンセルの時代が懐かしいです。
日帰り観戦だったので「のぞみ1号」で向かったものの、7時台の名古屋駅で初めて見る光景に一気に目が覚める人の多さである。
サーキットではHRCの渡辺社長からF1に復帰したホンダレーシングの体制と、初戦から頻発している謎の振動について説明があった。外からわかるほどの車体振動でバッテリまでやられてしまうのは想像がつかないが、そもそもレーシングチームみたいな会社がオールホンダとして臨むのだから遠からず強者の一角にその名があるに違いない。
また、今年過去最高の観客動員数を記録したのは、日本でも若い層にレースが広がっているからとの話を聞いた。世界的にF1ファンは増えているらしい。グランツーリスモやシミュレーターの普及でレースを身近に感じることができるようになったのも影響が大きいと思う。一方、インディカーやNASCARなど独自のレースを確立し、F1人気はイマイチだったアメリカも女性を中心にファンが急速に増えているというのも意外だった。情報の垣根がますます低くなっている。
さて久しぶりの鈴鹿サーキットは見慣れたはずの鈴鹿ではなかった。サーキットというよりも渋谷みたい……。人の多さなら他の観光地にもあるが、サーキット特有のコンクリートやガソリンの匂いや音がない。ここでF1が行なわれるのがにわかには信じがたいほどだ。そして巨大なグランドスタンドから見た光景は13万人といわれる観客。その中の1人であるにもかかわらず圧倒された。
久しぶりのF1は静かだった。グランドスタンドでも耳栓が欲しかった時代もあったが、シグナルが消える瞬間でもサーキット全体が楽器のように鳴り響くことはなかった。
しかし今はスマホのおかげで観客も多くの情報をリアルタイムで得られる。レースへの没入度は格段に深化している。
レースはエネルギーマネジメントの駆け引きで、いたるところで攻防があったが、燃費レースのようでちょっと複雑な思いがよぎった。結果はご存知のようにメルセデスのアントネッリがポール・トゥ・ウィンで中国GPに続いて2連勝。強いものは強い。19歳の若者の才能はどこまで伸びるのか。
われらがアストンマーティン・ホンダは初めてアロンソが完走して振動問題も抜け出せそうな気配。ここから始まるアストンマーティン・ホンダである。Aramcoのスポンサーネームが入るPowered by Hondaはグリーンメタリックが爽やかで美しい。やっぱり来てわかることも多く、新時代が始まったGPを観戦できたことは大きかった。
帰路の名古屋駅はすさまじい混雑で改札にも近寄れない。早朝の嫌な予感が的中したが、なんとか予定の「のぞみ」に乗ることができた。驚異的な人の波に外国からのお客さんはビックリしたんじゃないかと余計な心配をしてしまった日本GPだった。






