日下部保雄の悠悠閑閑

新型CX-5

新型CX-5は兄貴分のラージプラットフォーム群の流れを汲んだ伸びやかなデザイン

 CX-5はマツダにとって重要なモデル。世界130の国と地域で販売され、グローバルでは年間33万台、累計500万台に上る。国内ではマツダ車の4分の1を占めるヒット作だ。

 第3世代のCX-5は2.5リッターガソリン・マイルドハイブリッド1本にしぼられる。低速トルクはモーターのサポートで、回転の伸びはガソリンエンジンのよさを融合したユニットだ。

 デザインはマツダのラージプラットフォーム群にも通じる伸びやかさがある。ボディサイズは4690×1860×1695mm(全長×全幅×全高)でワンサイズ大きく、ホイールベースも115mm長い2815mmになった。後席分には+70mmが与えられ、ヘッドクリアランスもタップリした余裕の後席になった。ラゲッジルームもベビーカーが縦に入る前後長を持ち、隣に中型スーツケースも収まるといった利便性が大いに高まった。

リアエンドはCX-5のハイライト……だと思う

 インテリアはマツダらしい清潔感のあるデザイン。15.6インチの大型センターディスプレイを上級グレードに導入して華やかだ。ステアリングスポークに設けられたACCやオーディオスイッチが整理されており操作しやすい。ここは操作系の特等席だけに、よく使うスイッチは整理してさらに集約してほしい。

後席+70mmの余裕はこれだけ広いレッグルームをもたらす。つま先も前席のレールを広げたことでしっかり入る
荷室はベビーカーを縦に入れ、隣にスーツケースを収納できる。日常の使い勝手にこだわる、という具現化

 マイルドハイブリッドは60.5Nmのモーターアシストで期待以上だった。発進時にもたつかない加速力があり、Gグレードの1670kg(FF)/1740kg(4WD)の重量に対して軽快な加速感があった。十分なパワーユニットだと思う。

 トランスミッションは従来通りのトルコン6速AT。変速も滑らかだがアクセル開度によっては躊躇するときがあるのは今後の課題だ。

 さて燃費だが、体感ではアクセルオフでのコースティングがかなり伸びた。データでは約10%の燃費改善を図ったという。FFでのWLTCモード燃費は15.2km/L。余裕のある排気量で燃費を改善するマツダのコンセプトに則ったパワーユニットに仕上がっている。

 新型CX-5の美点の1つは室内の静粛性。まず風切り音はAピラーやドアミラーまわりの風の流れを整流し、吸音材を効果的に配置して耳障りな周波数が抑えられた。前後席の会話は速度にかかわらず明瞭だ。ロードノイズも同様でアスファルト路面の一部では音質が変わるが、後席でも静かだな、と感じた。

装着タイヤはブリヂストン・アレンザ。サイズは225/55R19と大径。新工法ENLITENを採用

 乗り心地ではピッチングを抑えて姿勢変化が少ない。荒れた路面でもサスペンションの追従性がよく、2代目では後輪からくる硬さがあったが、かなり改善され角の取れたものになった。大雑把に言えばバネをソフトにして、ショックアブソーバーの応答性を向上させたことが大きい。特にショックアブソーバーはサイズアップされて余裕がある。

 これまでのCX-5のハンドリングは質を変えて新型にも受け継がれた。一言で言えばステアリング応答性は穏やかに、ライントレース性は正確に、である。特に感じたのはコーナリング中の凹凸での接地力が高く、ステアリングに伝わるキックバックも小さいことで安心感が大きく向上した。乗り心地とハンドリングの両立である。

 とがったところが丸くなって質的向上を上手にまとめたのが新しいCX-5だと感じた。そうなるとマツダらしいとがった個性をもっと見たくなる。あまのじゃくだな。

今になって初代CX-5を見ると、デビュー当時は大きいと思ったが、今ではコンパクトSUVに感じる
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。