まるも亜希子の「寄り道日和」

夫が購入した「初代ロードスター」

夫がいきなり購入してきたユーノス・ロードスター。当時、特別仕様車として発売された、真っ赤なインテリアが決め手だったようです。助手席に娘を乗せて、2人だけでドライブに行く楽しみもできたと、ロードスターライフを満喫しております

 数か月前に、いきなり夫が「初代ロードスターを買う」と言いだして、ア然とした話はもうしましたでしょうか? これからどんどん子供にお金がかかるので、年に2~3回しか稼働せずに維持費ばっかりかかっていた、ドリフト練習車を処分してくれと言ったら、なぜかそうなりまして。意味分からないですよね。

 まぁ、今さら夫婦ゲンカのタネをほじくり出すのもナンなんで(笑)、そこはもういいんですが、なにせエアコンも付いていないクルマ。夏の間はとてもじゃないけど暑すぎて乗れず、ようやく最近になって気持ちよく乗れるようになりました。

 だからでしょうか、夫は夜な夜な1人でガレージにこもり、何やらロードスターをイジっている時間が増えました。もう20年以上前のクルマですから、あちこちガタがきてるのは承知の上で購入したんですが、やっぱり乗っていると目について直したくなるんでしょう。内装を磨いたり、フリマアプリで中古パーツを探して幌をリフレッシュしたり、もはや大きなプラモデル状態。これなら「ドリフト練習車の方がお金かからなかったんじゃ?」疑惑が浮上中です(笑)。

 とはいえ私も、初代ロードスターはクルマにまったく興味がなかった中学生のころに、憧れていたこともあるクルマ。すっごく久しぶりに乗ってみると、ボディは小さくていつもの道がめちゃめちゃ広く感じるし、地面に近くて駐車場の発券機には座ったままじゃ届かないし、目の前に止まった「フィット」がビックリするほど大きなクルマに見えるし、なんだか“スモールライト”でクルマごと小さくされたみたいな感覚を覚えました。

 近代的な機能としては、カーナビがないのはもちろんBluetoothもUSBもないので、運転中はひたすら古いカーオーディオのラジオを聴くのみ。電話がかかってきてもスルーするしかないので、貴重な仕事のオファーを逃しているかもしれません(笑)。まぁでも、こうした不便さをひっくるめて、懐かしい味として楽しむのがいいんだろうなぁ。こういう古きよきカーライフも、後世に残していかないとね。そんな風に思っていたんです。

 ところがですよ。先日、夫の誕生日だったのでプレゼントのリクエストを聞くと、パイオニアのカーオーディオがいいと言うじゃないですか。amazonで注文したら翌日に届いて、またガレージにこもってしまいました。で、翌朝になってどこかへ出かけた夫から、携帯に電話がきたんです。「オレだけど、聞こえる?」って、オレオレ詐欺みたいな語り出しですがそうではなく(笑)、なんとロードスターのBluetoothにつないで電話をかけているとのこと。「いや~、これ便利だわ~」とご満悦の様子で、帰宅早々に「ホラ見てよ!」と自慢されたのが、すっかり今ドキな感じに変身したロードスターのインパネでした。

新しいオーディオを設置した車内は、こんな感じです。ここに大きな液晶モニターをつけるのは難しいけど、スマホならスッキリしてていいですよね

 なんでも、スマートフォンとリンクしてカーナビや音楽、アプリケーション操作や音声通話ができるという、カロッツェリア「MVH-7500SC」をセットしたんだとか。専用のクレードルにスマホを設置してつなぐと、カーナビの目的地設定も音声でできちゃうし、LINEのメッセージを読み上げてもらうこともできるし、もちろん音楽もいつものお気に入りを聴くことができて、一気に運転中のストレスが解消されたと言うのです。

 それを聞いて、「機能が古臭いのも1つの味として楽しむ」なんてのは、しょせん第三者のキレイごと。たま~にしか乗らない私の夢物語なんだわと思い知りました。頻繁に乗る人にとっては、運転感覚が古きよきものであっても、通信やエンタメ機能は最新式が欲しくなるものなんでしょうかね。1つ、勉強になりました。

 そしてもう1つ。スマホとリンクするオーディオは、フォルクスワーゲン「up!」が採用したりして、最新モデルにぴったりの装備というイメージだったんですが、それだけじゃないですね。インパネに空きスペースがなく、視界を妨げたくないロードスターのように、大きな液晶モニターを設置する場所がない旧型車にも相性抜群。お値段もなかなかお手ごろなので、同じように旧型車の不便さに悩んでいる人がいたら、これはオススメですよ~。

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツ参戦や安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。17~18年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。女性のパワーでクルマ社会を元気にする「ピンク・ホイール・プロジェクト(PWP)」代表。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦している。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968など。ブログ「運転席deナマトーク!」やFacebookでもカーライフ情報を発信中。