まるも亜希子の「寄り道日和」

フトコロもデカイ!キャデラック「エスカレード」

ドーンとド迫力のキャデラック・エスカレード。426PS/623NmのアメリカンV8エンジンが唸ります。でも、ドアを開けるとシュッと自動でステップが出てきたり、クラフトマンシップあふれる上質で丁寧なインテリアに包まれたり、お姫さま扱いしてくれるSUVでもあるのです

「Hi,Mercedes!」と話しかけると起動する、AI搭載の対話型インフォテイメントシステム「MBUX」が話題の新型「Aクラス」に試乗した時のことです。根っからの文系ということもあって、もともとITとかAIとかそういう世界は苦手な私。でも、MBUXはソッチ系の知識なんてなくても、話せばいいというのが画期的。すごく使いやすくて、こりゃクルマと人の新しい付き合い方だなぁ、いろんな魅力が広がるなぁ、などと感心していたのです。

 ところが、それ以上に驚いたものがありました。なんと新型Aクラスのセンターコンソールボックス内には、次に出るiPhoneが採用するのではと噂されている、最新のUSB規格「USB Type-C」のポートが早くも装備されていたのです。

 実は、試乗の時に私はその新規格のUSB Type-Cというものの存在を知らず、自分の「iPhone X」をUSBケーブルで充電しようとして「あれっ?」。ポートが小さくて、挿し込めない。試乗前に渡された装備品袋を見ると、USBを使うためのアダプターケーブルが入っていて、わざわざそれを使わないといけないなんて、どうなってるんだ? しかもオプションで買えってか? と半ばキレ気味に(笑)。いや~、知らないって怖いですよね。早とちりをしてしまい、大変申し訳ありませんでした、メルセデス・ベンツの皆さま。

 今はまだ、USB Type-Cに切り替わっているものは少ないので、PCなどいろんな電子機器を新型Aクラスの車内で使おうとすると、ちょっと不便かもしれないですけど、今までのUSBと比べると圧倒的にメリットが多いとのことで、出始めたらあっという間に浸透するような気がします。一歩先を見据えるという姿勢は、MBUXだけじゃないということが分かって、ますます新型Aクラスに感心したのでした。

 そんな一件があったので、その後に試乗するクルマにどんなジャックやポートが付いているのかが、もう気になって気になって仕方がない今日このごろ。で、ここ1週間で乗った15台ほどのクルマの中で、「これはスゴイ!」と驚いたのが……、キャデラック・エスカレード!

キャデラック「エスカレード」の2列目シートに個別に備わるプライベートモニター。足元にもいろんな差込み口があるのですが、USBやHDMIなどさまざまなポートに加えて、今ではすっかり見かけなくなった3色端子のジャックまであってビックリ。ここまで揃っていれば、電子機器をしょっちゅう買い換えなくて済むし、物を大切に使うという意味でも心強いかもしれませんね

 何がスゴイって、ありとあらゆるものが取り揃えられているのです。さすがにUSB Type-Cはまだないのですが、スマホのワイヤレスチャージング、USB、コンセントにHDMI。今じゃすっかり見かけなくなってしまった、3色端子のジャックまであるじゃないですか~。「これ、今どき何をつなぐんでしょう?」という20代カメラスタッフの疑問はさておき(笑)、古いものから最新式まで、もう何でもドンと来い。そうですよ、もしかしたら昔のビデオカメラをつないだり、ファミコンをやったり、ここでしか見られないものがあるかもしれないじゃないですか。5m超えのボディもデカイが、なんでも受け止めるフトコロもデカイ! さすがエスカレードだわ~と惚れ惚れしてしまったのでした。

エスカレードにはおもてなし機能もたくさんあって、これはセンターコンソールに備わる冷蔵庫。ラゲッジには、電動で3列目シートが倒したり復帰したりできるボタンもあって、とってもママ想い。「気は優しくて力持ち」なエスカレードにすっかり惚れてしまいました

 それにしても、いろんなものが猛スピードで変化していく時代に、クルマには何が必要で何が不要なのか。開発中に時代の先を見据えて、見極めるのって本当に難しいでしょうね。これからは、そんなところにも注目していきたいと思います。

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツ参戦や安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。17~18年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。女性のパワーでクルマ社会を元気にする「ピンク・ホイール・プロジェクト(PWP)」代表。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦している。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968など。ブログ「運転席deナマトーク!」やFacebookでもカーライフ情報を発信中。