まるも亜希子の「寄り道日和」

歌舞伎座で再挑戦した歌舞伎鑑賞に大満足

こちらも歌舞伎座ギャラリー内にて、ミニミニ歌舞伎舞台で役者気分(笑)。見得を切ったつもりなんですが、まったくできていませんね~。でも、こういうスペースがあると、とっつきにくいイメージだった歌舞伎がすごく親しみやすくなりますよね。モーターショーもこういうところはぜひ見習うべきだと思いました

 市川海老蔵さんがアウディ「Q7」に乗っていたとか、片岡愛之助さんがアストンマーティン「ヴァンキッシュ」に乗っていたとか、歌舞伎俳優さんはクルマ好きが多いということで、勝手に親しみは感じていたのですが、歌舞伎鑑賞とはなかなか縁のなかった私。実は、高校1年生の時に授業で国立劇場の歌舞伎に行ったものの、まったく引き込まれることなく開始5分で爆睡してしまったのです。

 それから月日はン10年が流れまして、いつか歌舞伎鑑賞に再挑戦したいなぁと思っていたところ……。ひょんなことから、女性ジャーナリストの先輩・飯田裕子さん、2輪&4輪月刊誌「ahead」編集長・若林葉子さんが大の歌舞伎好きということを知り、それならぜひ連れてって~!いろいろ教えて~!と弟子入りを志願(笑)。数か月前からどの演目にするかを吟味しつつ、せっかくなら歌舞伎座に行きたいとチャンスをうかがい、ついに「三月大歌舞伎」を鑑賞してまいりました~。

 まずは地上の歌舞伎座正面で待ち合わせ。平成25年4月に建て替えが終わって、歌舞伎座と歌舞伎座タワー(オフィス棟)による複合施設「GINZA KABUKIZA」に生まれ変わったそうですが、この建物はなんと5代目なんですね。明治22年(1889年)に建設された初代歌舞伎座は、意外にも洋風の外観だったそう。それを純和風に建て替えたのが明治44年(1911年)の2代目。でも、大正10年(1921年)に漏電による火災で焼失し、3代目は大正13年(1924年)に完成。そして3代目歌舞伎座も昭和20年(1945年)の東京大空襲で焼失し、昭和26年(1951年)に開場したのが4代目。それが老朽化のため2010年に取り壊され、現在の5代目歌舞伎座となったわけですね。

 外観は4代目の建物の面影を残していますが、中身は最新技術が駆使されているそうで、確かにフロアはバリアフリーだし、東京メトロの東銀座駅からエスカレーターやエレベーターで直結。非常階段を利用した自然換気をはじめ、太陽光発電による電源の確保やLED照明の採用、雨水の再利用など、さまざまな省エネ設計によって以前の半分程度の電力で興行できるようになったというのもすごいですよね。また、災害時には約3000人が3日間待機できるだけのスペースと食料の備蓄があるそうで、そうした配慮も素晴らしい。もし銀座にいる時に災害に遭ったら、歌舞伎座を目指そうと思いました。

 さて、待ち合わせをした私たちはまず地下に降り、東銀座駅を出るとすぐに広がる「和」の雰囲気あふれるショッピング街「木挽町広場」を散策。3つの演目の合間には20~30分の長い休憩があるので、まずここでお弁当を買って席で食べるのがいいと、先輩2人の教えに従います。スイーツやお茶、着物、かんざし、文房具などなどいろんなお土産屋さんも並んでいて、天井から吊り下がる歌舞伎座の大提灯はド迫力。歩いているだけで、町娘気分でウキウキしちゃいます。ついついいろんなお土産を買っちゃいましたが、エスカレーターのすぐ横で売っていた、豆大福がものすご~く美味しかったですよ。

ちょっと奮発した1等席は1階でした。両脇の桟敷席、花道の真横の席でも観てみたいな~なんて夢が広がります。1冊1300円のパンフレットは読み応え十分!

 そしていよいよ入場すると、100ページ以上ある分厚いパンフレットを購入。ここに演目のあらすじなど解説が載っているので、開演までに予習するんだそう。さらに、初心者なら絶対に借りた方がいいとのことで「イヤホンガイド」もゲット。

 なるほど、いざ開演してみると、演目の流れに合わせてその時代背景とか、役者さんの気持ちとか、歌舞伎の型と呼ばれる動きなど、いろんなことを教えてくれるので、すごくよく分かって面白い! 解説者が男性、女性と演目ごとに変わるので、色々と違う小ネタを披露してくれるのも面白かったです。

 ン10年ぶりに観た歌舞伎は、やっぱり歌舞伎座だからということもあるんでしょうか、5分で爆睡してしまった時とはまったく別の印象でした。まず舞台の背景が、真っ赤とか真っ青とかもっとドギツイ色ばかりの印象だったのですが、今回はパステル調というか、とても優しい色合いの華やかさで、見ているだけで心が弾んでくるのです。それに、今回は松本幸四郎さんや松本白鸚さん、市川猿之助さんといった、TVでよく拝見している役者さんが出ていたので、そうした方々の本職が観られたという面白さもありました。また、物語が進む上での効果音やBGMが、すべて人の手による太鼓やドラといった生の楽器。それがとっても新鮮でした。

 そんなこんなで、長い長い4時間半におよぶ「三月大歌舞伎 昼の部」は大満足で無事終演。せっかくなので、タワー棟 5階にある「歌舞伎座ギャラリー」にも寄ってみました。演目に登場する小道具や楽器、動物、衣装など、いろんなものを実際に見て、触って体験できるスペースです。

歌舞伎座ギャラリーに展示されていた馬で、いざ出陣!? けっこうな高さがあるので、これで舞台を走り回ったら怖そうです~

 今回の演目の1つに、人間2人で息のぴったり合った動きをする虎が出てきてすごく盛り上がったのですが、ギャラリーには馬が展示されていて、実際に跨って写真撮影もOK。これは「映え」ですよね~(笑)。いや~、歌舞伎はこういうところもひっくるめて素晴らしいエンテーテインメントだということを実感。2019年は秋に東京モーターショーが開催されますが、私もガイドツアーを担当する(予定の)1人として、もっと楽しんでもらえるように精進しようとパワーをもらいました!

私を歌舞伎鑑賞再デビューに導いてくれた飯田裕子さん(右)と若林葉子さん(中央)。東銀座駅直結のショッピング街「木挽町広場」には、歌舞伎役者さんの控え室みたいなフォトスポットもありましたよ~

【お詫びと訂正】記事初出時、出演者の表記に間違いがありました。お詫びして訂正させていただきます。

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツ参戦や安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。17~18年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。女性のパワーでクルマ社会を元気にする「ピンク・ホイール・プロジェクト(PWP)」代表。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦している。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968など。ブログ「運転席deナマトーク!」やFacebookでもカーライフ情報を発信中。