まるも亜希子の「寄り道日和」
日本とタイの子供たちの“夢のクルマ”を見た「子どもアイディアコンテスト国際交流会」
2019年3月28日 00:00
私はすごいモノを見てしまいました。何もないゼロの状態から、わずか3時間で「夢のクルマ」がカタチになっていく……! これがまさに、人間だけが持つパワー、“夢のパワー”なんだと感動で胸いっぱいになりました。
そんな奇跡が起こったのは、ツインリンクもてぎの会議室。その日、日本から6人、タイから6人の子供たちが集まって、「子どもアイディアコンテスト国際交流会」が開催されていました。
小学生の子供たちが、未来にあったらいいなと思うものを考え、描き、形にしてプレゼンするという「子どもアイディアコンテスト」は、本田技研工業が毎年開催している素晴らしいイベント。私はそこで審査員を務めさせてもらっていますが、実はこのコンテストはタイやベトナムでも開催されていて、今回はその受賞者たちがツインリンクもてぎに集合し、交流を図ろうという会だったのです。
タイ語は「サワディカー(こんにちは)」くらいしか分からない私は、ちょっとドキドキで参加させてもらったのですが、子供たちには「ポケトーク」という自動翻訳機が渡されていて、さっそくいろいろとコミュニケーションをとっている模様。たまに、ポケトークがトンチンカンな翻訳をして戸惑っている子供もいましたが(笑)、国境を超えてすぐに仲よくなるのは子供たちの特権ですね。
和気あいあいとランチを楽しんだあと、スタートしたのが「ドリームスケッチ」というワークショップ。子供たちが3つのグループに分かれて、「夢の乗り物」を考え、描き、立体作品に仕上げるというものです。各グループには、普段から子供たちに接している3人の先生たちがファシリテーターとしてつき、サポートをします。
グループ内のリーダーや役割、発表者を決めたり、みんなから出た意見をまとめて次のステップに繋げたりと、最初は先生方が先導していたのですが、だんだんと子供たちの意見が1つになり、進むべき道すじが見えてくると、それが変わってくるんですね。いつの間にか、子供たちそれぞれが率先して自分の仕事を探し、行動するようになっていく。
ファシリテーターの1人として参加していた石堂裕先生いわく、「目指すべきものをハッキリと決めて、それに向かって子供たちが1度走り出したら、もう僕は何にもやることないですよ」と。最初はバラバラだった子供たちが、だんだん気持ちを1つにしていって、画用紙に描いたものが子供たちの共通のゴール地点になる。それを見ながら何をすべきかを自分で考えて、仲間同士で助け合ってアイデアを出し合って、少しずつ立体作品になっていく。3時間という短い時間に、その過程がギュッと凝縮されていた「ドリームスケッチ」を目の前にして、私は心から子供たちを尊敬しました。そして、まだまだ彼らに眠っているだろう、無限の可能性を感じて嬉しくなってしまったのでした。
この子供たちが本気で取り組んだら、きっと今の私たちが想像もしないようなクルマが、未来には生まれるにちがいありません。だからみなさん、長生きしてその姿をこの目で見ましょうね。そして私たちも、どこかに忘れてしまったかもしれない“夢のパワー”を、もう1度呼び起こしてみませんか。