まるも亜希子の「寄り道日和」

クルマ仲間とみんなで盛り上がった「GR Supra GT Cup」

「GR Supra GT Cup」参戦に向けて、わが家のリビングに設置したプレイステーションブース(笑)。気分を盛り上げるため、これまでの優勝トロフィーやパネルを飾って見ました

「もう1つ、シリーズ参戦したいレースがあるんだけど」と夫からLINEが届いたのは、4月11日のことでした。「はぁ? 86レースだけでも大変なのに、もう1つなんてムリでしょ」と怒りが爆発しそうになるのを抑えつつ、よくよくそのレースの概要を見ると、グランツーリスモ初のグローバルワンメークレース「GR Supra GT Cup」とあります。

 ん? グランツーリスモって、確かプレイステーションのゲームソフトだったよね? 頭の中に「?」が渦巻きつつ、トヨタ自動車から送られてきたリリースを読み、ようやく理解できました(笑)。

 な~るほど。ゆくゆくはオリンピックの正式種目になる可能性も高いと言われている「eスポーツ」ですが、そのモータースポーツ版である「eモータースポーツ」に、いよいよトヨタも本格的に取り組むというわけですね。スープラはもうすぐトヨタのモータースポーツ旗艦車種にもなるわけで、オンライン上とはいえそのクルマでいち早く競技ができ、もしかしたら世界大会で他国の人とレースもできるかもしれない! そりゃあ、やってみたいと思うのも無理ないですね~。

 ということで、LINEに「いいじゃん、やってみれば?」と返事をしたワタクシ。その時は、ただでさえ狭いリビングの一角に、めっちゃ場所を取るプレステブースができてしまうとは夢にも思っていなかったのですが……。後の祭りというわけです(涙)。

「GR Supra GT Cup」は世界各地のサーキットをオンライン上で巡りながら13ラウンドで闘うことになっていて、初戦は4月27日の19時に予選開始。サーキットはこないだ86レースで優勝したばかりの富士スピードウェイです。なんか幸先よさそう!?

 しかもGW初日なので、いっそのこと飲み会をやりながら、みんなで盛り上がっちゃおう! ということになり、夫のクルマ仲間がお酒を持ってわが家に遊びに来てくれました。17時くらいから集まって、とりあえずビールでカンパ~イって、おい夫、飲んじゃっていいのか? リアルレースだったらありえないぞ~(笑)。

私が前日から仕込んだお料理とお寿司で、夫のクルマ仲間たちとホームパーティ。スペアリブが好評でした。実際のレースで言ったら、さしずめVIPルームてな感じですかね(笑)

 ひとしきり飲んで食べて笑って、楽しい飲み会を過ごしているうちに、いよいよ15分前からエントリー開始です。おもむろにレーシングスーツに着替え、気合いを入れた夫は「じゃ、行ってくる」と言って目の前のバケットシートに座るという、コントみたいな本番前。腕慣らしでちょっと走ってみて、靴下のままだと感覚がおかしいというので、慌ててドライビングシューズを履いてみたり。本人も私たちも、ま~ったく緊張感がないのはやっぱりリアルサーキットとの違いですね~。

 そして19時に予選がスタート。予選はアジア、オセアニア、欧州中東アフリカ、北米、中南米の5地区ごとに開始時間が異なり、混走のタイムアタック形式で行なわれます。今回は19人のエントリーで、韓国の方が1名いるほかは日本人ばかりのよう。

いよいよ19時からの予選開始直前。こんな感じで、飲みながらみんなでレースを見守ります。実際にはドライバーの運転をこんなに近くで見ることはできないし、コース走行中に会話もできないので、それができるのが面白いですね

 さ~、ホロ酔いドライバーのタイムアタック。いったいどうなる? 仲間たちも画面に注目します。ヘンな抜き方をしていくクルマなんかがいると、「なんだよ今の~」なんてみんなでツッコミを入れたり、「縁石のるとどんな感じなの?」なんてドライバーに質問したり、実際のレースじゃありえない盛り上がり方が新鮮!

 そもそも実際は、86レースだと無線などが禁止されているので、走り出したらチームとドライバーの会話はできないんです。でもこれだと後ろからやんややんや、言いたい放題できるのが楽しいですね。全員、チーム監督気分になれる(笑)。娘にまで「パパちょっと遅い」なんてツッコまれて、みんなで大笑いしちゃいました。

 で、予選は最初こそトップタイムを叩き出したものの、思わぬ展開で8番手となり、後方からトップを狙うことに。グリッド確定の数分後には、すぐに決勝レースがスタートします。7周で競うのですが、夫いわく「けっこうリアルな感じ」だそう。見てる方としてはよく分からないのですが、タイヤが垂れてきたりとか、ペナルティがあったりとか、本物のレースに近い設定があるようです。

画面の中に再現された富士スピードウェイは、かなりリアル。でもバックミラーはあるけどサイドミラーがないので、そのあたりはちょっと感覚が違うのか、けっこう接触事故がありました。部屋の温度は快適だし、走っていてGがかかるわけでもないんですが、汗かくくらいの運動量にはなっているようです(笑)

 そしてなんとなんと、決勝レースでも予想外の出来事が……。詳しい顛末は、近日中に本人がレポート記事をお届けするそうなので、ぜひそちらでご確認いただければと思います。ビックリの結末です(笑)。

 そんなわけで、初めて観戦(?)したeモータースポーツは、なんとなく“飲み会の余興”的な感じになってしまいましたが、まぁそれも新しい楽しみ方の1つなんでしょうね。

 天気も気温も風の影響もなく、子どもがいても問題なく、服装もいつも通りでできるレース。実際のレースを体験している私たちからすると不思議な感覚ですが、これをきっかけに、もっともっといろんな人がモータースポーツに興味を持ってくれたら嬉しいなぁと思います。私もそのうち、オンラインでレース参戦してみようかなぁ~、なんて気持ちになりました♪

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツ参戦や安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。17~18年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。女性のパワーでクルマ社会を元気にする「ピンク・ホイール・プロジェクト(PWP)」代表。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦している。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968など。ブログ「運転席deナマトーク!」やFacebookでもカーライフ情報を発信中。