まるも亜希子の「寄り道日和」
カート用スパイクタイヤで氷上走行
2019年5月30日 00:00
全国各地で異例の猛暑が続いてますが、ここはいつでもヒ~ンヤリ冷え冷え。1年中ダウンコートが手放せない空間、アイススケートリンクへ行ってまいりました。
といってももちろん、スケート靴履いて滑ってきたわけじゃぁございませんよ~。なんと世界初の試みだという、電動カートでスケートリンクを走るイベント「Kids ERK on Ice」が開催されたのです! 私はインストラクター兼デモ走行ドライバーとして、その貴重な機会に参加させていただきました。
主催の日本EVクラブでは、以前から親子で参加できる電動カート組み立て教室を行ない、たくさんの子供たちにEVの基礎知識を手取り足取りレクチャーしていたのですが、いつもの教室ではせっかく組み立てても試乗をするスペースがなく、停止状態で乗り込んでアクセルを踏んでみることしかできなかったんですね。そうするとやっぱり、「乗ってみたい!」という要望が多く寄せられるわけです。
そこで、日本EVクラブ代表の舘内端さんは、なんとかその願いを叶えてあげたいと東奔西走。一度はサーキットでの教室も行なったのですが、サーキットは都心から遠いため、親子で手軽に参加するにはちょっと大変なんですね。もっとふさわしい場所があるはずだと探し回り、ひらめいたのが、都市部にもあるアイススケートリンクだったそうです。
でも、氷の上を走るには相応のタイヤが必要。日本国内では見つからず、ドイツやアメリカまで調べたらカート用のスパイクタイヤがあると判明して、お取り寄せ。そして試しに走らせてみると、これがなんとも楽しいじゃないですか。排出ガスの出ないクリーンなカートなら大歓迎と、スケートリンクにも協力を得られることになり、ついに開催にこぎつけたというわけなのです。
記念すべき第1回目の会場となったのは、スケートを楽しむ人たちで賑わう埼玉アイスアリーナ。大小2つのリンクがあり、中には可愛い衣装でくるくると回転ジャンプを練習する子供の姿も見られました。そのうち小さい方のサブリンクを貸し切って、電動カートの試乗を行ないます。
参加してくれた10組の親子は、「なぜ、電動カートがいいの?」という座学からスタートしました。舘内さんは難しいことをやさしく面白く話すのがとても上手なので、地球が大ピンチに陥っていることや、それを食い止めるにはどうすればいいのかなど、EVシフトが必要な背景が子供の頭にもスッと入ったんじゃないかなと思います。
その後は2グループに分かれて、1グループは親子で模型のモーターを製作。もう1つのグループは、屋外で日産「リーフ」と三菱自動車「アウトランダーPHEV」に、お父さん・お母さんの運転で試乗することができます。今回の試乗コースは駐車場だったので、リーフではプロパイロットパーキングも試してもらいました。手も足も離しているのに、自動で並列駐車をスマートに確実にやってのける技術に、後席の子供たちもビックリ。「お母さん、いつも曲がって停めてるからこのクルマ買ったら?」なんてキビシイことを言われている人もいました(笑)。
そしていよいよ、防寒着をバッチリ着込んで、スケートリンクへ移動です。氷の上にカートが停まっている光景は、なんだか不思議なものですね。パイロンを立てて、時計回りに走るミニオーバルコースができています。子供たちは、遊園地などでカートに乗ったことがある人が半分くらいで、あとはまったくのビギナーという状況。ヘルメットを被り、グローブをはめて、電動カートに乗り込みます。
モーターの出力を子供が怖くない程度に抑えて、スピードはそれほど出ない設定になっているというのもありますが、ほとんどの子供が、最初はとてもゆっくりとアクセルペダルを踏み込んで、感触を確かめているのに感心。なんて賢いんだ~!(笑)。そしてだんだんスピードを上げて、ちょっと緊張しつつも操作を楽しんでいる様子。モーターはカーブの立ち上がりも速いので、ビギナーでもキビキビ走れるのがいいんですよね。
私も初めて、スパイクタイヤを履いたカートで氷上ドライブをしてみましたが、直線ではけっこう安定感があって、ちゃんと氷を食っている感覚がつかめます。ブレーキも思ったよりしっかり効く印象ですね。でも、コーナリングで滑らせようと思うと、簡単にクルリと車体が角度を変えて、ちょっと加減を間違えたらすぐに1回転しそうな感じです。なのでそれをいろいろ試しながら、ちょうどいいところを探っていくのが楽しい! モーター出力を通常に戻したら、とっても刺激的な乗り物になること間違いナシです。
でも低い速度でも楽しいし、EVってどんな乗り物なのか、その基礎知識が座学と試乗のセットでよく分かるし、Kids ERK(子供用電気レーシングカート)でスケートリンクを走行するって、素晴らしい企画だなと改めて思いました。
地球環境にも乗り物にも興味を持ち、深く考えるきっかけを「楽しく」与えてくれる。このイベントは今後も開催予定だそうなので、ぜひたくさんの子供たちに参加してほしいと思います。