まるも亜希子の「寄り道日和」
手作りカスタムカーを作り上げた自動車大学校の学生さんとのお話し
2020年1月16日 00:00
年明け1発目のクルマ業界大イベント、東京オートサロンがあってドタバタだった3連休が終わり、会場を歩きすぎて筋肉痛になった足をいたわりながら、ようやく平穏な日常が戻ってきました。
いや~、今回もすごかったですね。マクラーレンやボルボが初出展したり、トヨタ自動車が「GRヤリス」、本田技研工業が新しい「シビック TYPE R」を発表したり。なんと初日に日本初公開された新型「コルベット」は、同日14時から予約販売をスタートして、オートサロン会場だけで40台以上が売れたそうです! 確かにコルベット初のミッドシップとなった新型はめちゃめちゃカッコよくて、そのオーナーになれる人は羨ましい限り。デリバリーは2021年になる予定だそうですけどね。
そして2020年、私が最も刺激を受けたのは、自動車大学校の学生さんたちとたくさんお話ができたことでした。初日の14時から、オートサロン公式チャンネルである「オートサロンTV」の生配信をさせていただいたのですが、そのゲストとして、出展されているメーカーの広報ご担当者さまや学生さんたちが出演して、自らブースのPRをしてくださったんです。普段、メーカーの皆さまとはお話する機会が多いのですが、学生さんとはなかなか接点がないので、これは本当にうれしいことでした。
まず、トヨタ東京自動車大学校から来てくれた学生さん2人は、ツッコまずにはいられない水色のドレス姿。しかもそのうち1人は男子だという(笑)。でも、その衣装にはもちろんワケがあります。というのは、彼女たちがゼロから製作して出展した作品名が、「CARぼちゃ」。そう、シンデレラのカボチャの馬車をイメージしたカスタムカーだったのです。
これ、ベース車両は何だと思います? 黄色いルーフやドアの部分は、ちゃんと型を作ってFRPで成形したんだそうですよ。室内はシンデレラ城をイメージし、なんと片側の窓にシンデレラと王子様をかたどったステンドグラスがはめ込まれていて、すごく凝っていました。
2019年6月くらいからコツコツと作り上げてきたという学生さんたちの作品は、アイデアと試行錯誤のあとが見え隠れしていて、思いの大きさにグッときてしまいました。残念ながらCARぼちゃは実際に公道を走ることはできないそうですが、「いつかちゃんと走るクルマを作ってみたい」と目を輝かせる学生さんたちに、クルマ業界の未来はまだまだ捨てたもんじゃないかも、と感じたひとときでした。
そしてもう1校、日本自動車大学校(NATS)からは、今注目の若手女性レーシングドライバーとしても有名な猪爪杏奈さんが来てくれました。猪爪さんは車両製作からメンテナンス、レース現場でのメカニックなどすべて学生だけで行なってレース参戦しているんです。すごいですよね。日本自動車大学校は11台もの車両を出展していたのですが、中でも私が一番感心したのが、「NATS R35 Road star」。見た瞬間、「あれ? GT-Rにしちゃぁちょっと小さいな?」と思ったんですよね。よくよく近づいて見てみると、えーっ、なんとベース車両はフェアレディZ ロードスター(笑)。こりゃビックリですよ~。でも、各部の完成度はとても高くて、こんなスポーツカーがあったら欲しいなと思わせてくれました。
猪爪さんいわく、このカスタムカーは卒業旅行で学生たちが実際にドライブすることを最終目標としていて、毎年、伊豆の方までみんなで連なってドライブするんだそう。手作りなので途中でトラブルが出たり止まってしまったり……。でも、それがまたいい勉強になるし、最高の思い出にもなるんですと言っていたのが印象的でした。
どちらの大学校も、話していてとてもキラキラした表情で、クルマは今でも若者たちをこんなにも夢中にさせることができるんだなと、ちょっとうれしくなりました。こうした学生たちがゆくゆくは自動車メーカーに入って、若者たちの心を掴むような、若い感性に合った魅力的なクルマを作ってくれたらいいですよね。がんばれ、自動車大学校の学生さんたち! そんなエールを送った、2020年の東京オートサロンでした。