まるも亜希子の「寄り道日和」

自然を活かした施設「クルックフィールズ」に行ってきました

エントランスを入ってほど近い小道から見渡せる、合計2.4MWの発電量を誇るというソーラーパネル。自然と共生しながら、可能な限り地球に負荷をかけない形でエネルギーを作り出し、持続可能な経営をしていくことが、クルックフィールズの目指す形なのだそう

 よく撮影や試乗会でお邪魔している、千葉県木更津市のかずさアカデミアパークの近くに、なにやら大自然のテーマパークのようなところができたらしい、と聞いてから、ずっとずっと行ってみたかった「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」へ、ついにお邪魔する機会に恵まれました! ランドローバーの試乗会の会場となっていて、イヴォーク P300eに試乗したのですが、せっかくなのでクルックフィールズの見どころをガイド付きで案内していただけることに。

 エントランスをくぐって最初のひと言は、「日本じゃないみたい!」でした。広さ30haもの土地に、農業、アート、遊び、学び、レストランやベーカリーといった食の施設、太陽光発電などのサステナビリティ、そして宿泊施設もあるというからすごいですよね。森の小道をてくてく歩いて最初にパッと開けた先に見えたのが、遠くの斜面にずらりと並んだメガソーラー。木を伐採するなど自然を壊すことなく、自然を活かして設置されたのが特徴で、クルックフィールズで使用する電気はここで発電される電気の約80%でまかない、残りは売電しているのだとか。今回の試乗会ではPHEVへの充電もその電気を使わせてもらったんですよ。まさにEVに乗る理想形ですね。

 このクルックフィールズは音楽プロデューサーの小林武史さんによって設立されたそうですが、井戸水が使えることもあり、電気をはじめ食も水も自給自足できるようになっており、万が一の災害時などは避難所として活用できるようにという想いがあるとのこと。人々に楽しんでもらうだけでなく、命の危機に役立てられるように想定しているところが、とても素晴らしい発想だなと感心したのでした。

 そしてまた歩いていくと、現れたのは半分地面に埋もれているような一風変わった「地中図書館」。おそるおそる中に入っていくと、ブックセレクター・川上洋平さんによって選ばれた約3300冊のさまざまなジャンルの本が並んでいます。活字中毒の私にはもう、たまらない空間! しかも、隠れ家のような小さなスペースに椅子やソファがあって、ここで日がな1日、本を読んでのんびりできたらどんなに幸せでしょう~と、うっとりしてしまいました。

とっても不思議な、でも思わず吸い込まれてしまいそうな魅力ある「地中図書館」。一般向けの営業は夕方までですが、宿泊施設の利用者は夜の間も利用できるというから、読書ざんまいでのんびりしたい人におすすめです

 後ろ髪をひかれつつさらに歩いていくと、でました! ここに来る多くの人のお目当ての1つでもあるという、草間彌生さんのアートがデデーンっと目の前に。いや~、初めて実物を見ることができましたが、斬新ですね。でもよくよく眺めていると、深いですね。いろんな角度から眺めたくなります。クルックフィールズには草間彌生さんのアートが3作品あり、ほかにも増田セバスチャンさん、ファブリス・イベールさんといったアーティストの作品が点在しています。

 というのも、これからの未来に持続可能な暮らしを築いていくためには、クリエイティブとイマジネーションが大切だよね、というのがクルックフィールズの考え方。未来がよくなるためにはどうしたらいいか考えるきっかけになればと、地中図書館や場内のアートが存在しています。大地を踏み締め、心地よい風に吹かれながらそうしたアートに触れてまわり、身体の内側からエネルギーが湧き上がってくるような気がしたのでした。

 そして最後に私たちは衝撃的なアートに出会ってしまったのです! それは、まるで大地に横たわる巨人? 令和の古墳? いろんな想像をかきたてる、島袋道浩さんの「ツチオとツチコ:55年後のBED PEACE」という壮大な作品。昔から、「人は土にかえる」などと言われてきましたよね。それなら、土でできた人も、もとは誰かだったかもしれない。そう考えながら制作された作品で、遠く離れた2つの場所の土や石を、それぞれ人の形に置くことで、土と土、石と石の出会いを表現しています。50年後、100年後、この2人はどうなっているのか、目の前にしてみると無性に哀愁と郷愁をかきたてられました。

 しかもこの作品は、階段をおりて近くで見てもいいし、なんなら作品の上に登っても立ってもいい、ということで、編集部・北村さんと一緒にわーいとよじ登り、記念写真を撮ってもらいました(笑)。50年後に私はもう生きていないかもしれませんが、誰かがこの記事を見つけてクルックフィールズを訪ねてくれたり、この作品のその後をレポートしてくれたりしたらいいなぁと思っています。

衝撃を受けたアート、島袋道造さんの「ツチオとツチコ:55年後のBED PEACE」はとーっても大きくて、クルックフィールズのスタッフも一緒に土や石を盛ったりして手伝ったそう。真ん中に座ってみると、その大きさがよく分かりますね。最初は土がむき出しだったのが、だんだん草が生えてきて、この先も自然にまかせていくそうです

 この日はたまたま本来なら定休日だったため、レストランやマーケットなどは立ち寄れなかったのですが、お土産にいただいたこの日の朝にとれたての生乳で作った、できたてのモッツァレッラという最高に贅沢な一品がもう、もう、とんでもなくおいしかったことをお伝えしておきます。野菜やパン、ソーセージ、ミルクなど、どれもおいしいと評判なので、今度は絶対にオープン日に来たいと思います。

大人でも思わず「イヤッホ~」と大はしゃぎしてしまった、丘の斜面にある竹のブランコ。想像以上に空に向かって駆け上っていくような感覚、ハイジ気分が味わえます
まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラスなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSDとスズキ・ジムニー。