まるも亜希子の「寄り道日和」

シビックe:HEVで真夏の祭典“joy耐”に参戦してきました

真夏の祭典「2024もてぎEnjoy耐久レース“Joy耐”」は、エントリー63台(うち出走62台)の異種格闘技戦ともいえる7時間耐久レース。細かなクラス分けがあり、ハイブリッドカーのクラス1は2台のエントリーとなりました。初めてカーボンニュートラル燃料で走るマシンの参戦もあったんですよ。私たちTOKYO NEXT SPEEDは、シビックハイブリッドJoy耐参戦20周年という節目に、チームとして最上位となる24番グリッドを獲得! ホンダのDNAを継承する赤いボディカラーと、チャンピオンホワイトにあやかったチームシャツで気合を入れてみました

 モータージャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」は、次世代モータースポーツの楽しさを探求し、広く報道することを目的としています。そこに合致したのが、ホンダのハイブリッド開発エンジニアたちによる「e:HEVの走りを鍛えたい!」という熱い想い。

 2020年にまず現行フィットe:HEVで耐久レースに参戦しながら、元気なフィット、走れるフィットをもう一度作り上げようという3年プロジェクトがスタートしました。そして、ぶっちぎりで遅いタイムに愕然とした初年度から、3年かけて「モビリティリゾートもてぎ 7時間耐久レースJoy耐」で総合でも上位に食い込む速さと楽しさを手に入れたフィットは、そこで培ったノウハウを市販車にフィードバックし、「フィットRS」の復活という大きな成果を出すことができました。

 本来はそこでプロジェクトは終了となるはずでしたが、ジャーナリストという一般車を知り尽くした視点と、e:HEVの匠の技術を持つエンジニアによるコラボレーションの新鮮さ、また、レースという現場に若手エンジニアを送り込むことによる人材育成の機会として、このプロジェクトが有効であるという評価をいただくことができ、なんと2024年より第2弾として、シビックe:HEVのプロジェクトがスタートしました。

 思えばシビックハイブリッドは、初代が2004年に日本で初めてJAF公認の耐久レースに出場し、チェッカーを受けた量産ハイブリッドカー。奇しくもあれから20年という節目です! あの時、スタートドライバーを務めたのは高橋国光さんでした。第3ドライバーの私がクラッシュしてしまったせいで、順位は下位に沈んでしまいましたが、スタート後1時間で総合トップに立ち、長い時間レースリーダーとして存在感を見せつけたのを覚えています。

 でも、重いバッテリを積んでいるせいでタイムはめっちゃ遅いし、当時のバッテリは全開にして走ると5コーナー手前で早くも空っぽになってしまい、ストレートでほとんどのマシンに置いていかれるという(笑)。それなのに、そんなマシンに国さんは興味津々といった感じで、すごく楽しそうにドライブしていて、レース後にこんなことを言っていたのです。「今は抜かれる面白さ。でも20年後は分からないよね」

 その20年後が、とうとうやってきたんですね。国さんもどこかで見ていてくれるかな〜、なんて思いながら、Joy耐の予選アタック、そして決勝レースのグリッドについたシビックe:HEVを眺めていました。しかも今回、マシンのデザインとカラーリングにもこだわったので、めちゃめちゃカッコいいんですよ。

事前に3回の走行テストを行ない、ドライバーとエンジニアが試行錯誤しながら進めていったシビックe:HEVの走りは、速さだけでなく操りやすさ、楽しさも磨かれていきました。ただ、本番数日前にLSDを投入するギリギリのスケジュールとなってしまい、それが吉と出るのか? ちょっとドキドキしながらのJoy耐だったのです

 まずデザインは、ホンダ社員の自己啓発チームとしてシビックTYPE RでS耐に参戦している「HRDC」のマシンにあやかり、赤白反転させた同デザインを採用。しかもその赤はただの赤ではなく、ホンダのDNAを継承する赤なんです。というのも、昔は日本で赤いボディカラーを許されていたのは消防車など緊急車両のみでした。でも本田宗一郎が「赤はデザインの基本だ」といって掛け合い、N360に乗用車として初めて赤いボディカラーが採用できたというエピソードがあります。この、ちょっと朱色がかった赤は、N360の赤を再現しているんです。チームメイトの石井昌道氏は幼いころ、初めて家にやってきたマイカーが赤いN360だったそうで、なにかご縁があるのかもしれないですね。

 さらに、カッコよく仕上がったマシンに負けないように、チームウェアもビシッとカッコよく決めたいねということで、今回SPKさんのご協力で白いチームシャツ、PAVISE FILMさんのご協力で赤いポロシャツを新調! やっぱりみんなで同じウェアを着ると、一体感が出て結束が高まる気がしました。ドライバーの橋本洋平、桂伸一、石井昌道の3名は、レーシングスーツもおそろいに。やっぱり見た目って大事ですね。

 さて。今年のJoy耐は7月6日〜7日だったので梅雨真っ只中ということもあり、雨が降って涼しくなるかな? と淡い期待を持って臨んだのですが見事に大ハズレ!(笑)。とんでもない猛暑に襲われてしまいました。朝からサウナのような暑さの中、土曜日の予選は橋本洋平、桂伸一が挑み、クリアなラインが取れない中で本人たちは悔しさがあったようですが、最善のタイムを出してくれたと思います。だって20年前はグリッド最後尾からのスタートでしたからね……、24番グリッドなんて夢のよう!

 そして日曜日の決勝レースも、とにかくドライバーだけでなくチーム全員、熱中症にならないようにと暑さとも闘う7時間となりました。Joy耐は5回のドライバー交代が義務づけられており、給油をパドック内のガソリンスタンドで行なうので、混雑する時間帯に入ると時間をロスすることと、クラスごとに給油時のピット停止時間が決められているので、タイムが速くても燃費が悪いと損をするというのがキモとなる耐久レース。なので、SCが出たタイミングでいち早く給油に入るなどの運の良さ、作戦も勝利の鍵を握っています。

Joy耐名物! 手押しでガソリンスタンド給油! これを見ないとJoy耐に来た気がしない、という光景です。猛暑の中、どのチームもみんな必死で押していた姿が感動的でした

 その点で今回のわがチームは、ことごとくタイミングを外してしまったというのが残念無念。それがきっかけで燃費計算にも狂いが生じたり、小さなミスが重なったり、反省点はたくさんあります。また、マシン側は熱さでバッテリが高温となった影響がどの程度あったのかなど、今まさにエンジニアたちが解析している最中。でも初回なので、人もマシンもまずいろんな問題点を洗い出して、これから改善していけると思います。結果は総合43位完走と、悔しい気持ちの方が大きいのですが、ひとまず猛暑の7時間を完走できたこと。チーム誰ひとり病人も怪我人もなく終えられ、経験値がグッと上がったこと。これは大きな成果だったのではと思います。

 レースの詳しい流れやシビックe:HEVをサーキットで走らせたインプレッションなどについては、橋本、桂、石井それぞれがいろんなメディアでレポートしますので、ぜひチェックしていただけたら嬉しいです。シビックe:HEVのチャレンジは、まだまだ続きます!

あと少しで7時間というところくらいからガス欠の不安が大きくなり、さらにピットとドライバーをつないでいた電話も通じなくなるというトラブルが。スロー走行で燃料を温存しながらも、なんとかチェッカーを受けた安堵のゴールとなりました
まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラスなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSDとスズキ・ジムニー。