まるも亜希子の「寄り道日和」

BYDのBEVスポーツセダン「シール」に乗ってきました

ついに判明したSEALの価格はRWDモデルが528万円、AWDモデルが605万円で、CEV補助金が適用されるとRWDは500万円を切る価格となりそうです

 ついにやってきました、中国を本拠地とするBYDの日本導入第3弾、BEVスポーツセダンの「SEAL(シール)」に乗ってきました。生き物のような躍動感のあるデザインで、リアがスーッと下がったクーペのようなルーフラインは、遠くからでも目を惹きます。プロペラが回転するようにも見えるホイールや、波の渦のようなフロントマスクのモチーフなど、日本車や欧州車にはない個性がありますね。

 BYDといえば、ブレードバッテリや8in1電動パワートレーンといった独自の技術が興味深いところです。釘を刺しても煙や火が出ず、46tトラックが踏みつけても性能が変わらなかったという、強靭なブレードバッテリ。ボンネットを開けると、その搭載位置の低さにあっと驚く、スペース効率のよさにも目を見張るものがあります。

 今回、このSEALではCTP(Cell to Pack)からCTB(Cell to Body)へと大きな進化を遂げていました。ついに、ブレードセルがボディフロア一体型になったのです。これによって正面衝突や側面衝突に対する変形量が抑えられたというのがすごいですね。

ガラス面が1.9m2もあり、二重構造となって紫外線カット率99%、可視光線透過率4.2%、日射透過率16%というパノラミックガラスルーフが開放感のある室内空間を演出しています

 試乗は夫・橋本洋平と2人で1台に乗せてもらったので、私はまず後席へ。室内の天井が大きなパノラミックガラスルーフになっていて、とても開放感があります。ただ、気温はそれほど高くなかったものの晴れた日だったので、頭にやや熱気が……。サンシェードは備え付けのものはなく、トランクを開けると後付けの折りたたみシェードが入っていました。あまりに暑い日にはこのシェードをつけることになりそうですが、ちょっと手間がかかりますね。

トランク容量は400Lで、フロントのボンネット下にも50Lの収納スペースが確保されています。ここに、折りたたみ式のガラスルーフ用シェードが入っていました

 乗り心地は最初にRWD、次にAWDモデルの順で試乗したのですが、前席にいればどちらも上質感があると思いました。でも後席なら、私としてはAWDがおすすめ。可変ダンピングアブソーバーやiTACが入るのがAWDのみということもあって、RWDよりも落ち着いた乗り心地が感じられました。ただ、ひとりでキビキビとスポーティな走りを楽しみたいというのであれば、RWDモデルがいいのではないでしょうか。

 また、もともと充電性能には定評のあるBYDですが、SEALはさらに進化しているとのこと。車名は伏せていましたが、充電器最大出力が250kWのセダン(といったらアレしかないっ)と急速充電比較をしたところ、ライバルは最初こそ超高速充電をしていたものの途中から出力が低くなり、結局30分間で充電できた量は変わらなかった、という結果だそう。時間が経過しても安定した充電性能が続くのが、SEALの強みだというアピールでした。

 そんなわけで、長澤まさみさん出演のCMが好評だというBYD。街中でSEALに出会う日が楽しみです。

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラスなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSDとスズキ・ジムニー。