まるも亜希子の「寄り道日和」

スーパー耐久24時間レースに応援に行きました

S耐24時間レースがいよいよスタートという時、グランドスタンドで#271に向かって応援の旗を振る子供たち。大人の私でもワクワクするこの瞬間。こんなに間近にレーシングカーが走るところを見るのは初めての甥っ子は、爆音とあまりの速さに大きなインパクトを受けた様子でした

 おそらく多くの人にとって、今年いちばん長いであろう24時間。通称・S耐24時間こと、「ENEOS スーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE 第2戦 NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース」に行ってきました〜!

 なんと今回、ホンダのワークスチームであるTeam HRCの271号車「Honda CIVIC TYPE R CNF-R」に夫・橋本洋平がドライバーとして乗せていただくことになり、こりゃスゴイことになったというわけで、私の家族総勢7人で応援に駆けつけたのでありました。

 メンバーは、レース観戦が初めての妹夫妻+小学6年と1年の甥っ子、私がドライバーとして参加したレース以来、久しぶりに観戦のまるも母、そして私と娘。とくに甥っ子2人はずっと前から楽しみにしていたらしく、朝5時起きで出発したにもかかわらずテンション高めです。

 前日に東名高速下り線の渋滞予報を確認したところ、朝7時台にはすでに何十キロもの渋滞が発生するとのことだったので、東京と千葉から向かう私たちは8時に足柄SAで待ち合わせ。軽く朝ごはんを食べたあと、目指すのは10時から始まるというグランドスタンド上、イベント広場でのブリヂストントークショー。これに橋本が出演するというので、間に合うように富士スピードウェイへ向かいます。

 しかしものすごい人出にびっくり! 昔はS耐といえばのんびりした雰囲気のアマチュアレースという感じでしたが、近年は著名人がたくさん参加したり、水素やカーボンニュートラル燃料で走るマシンも増えて、メーカーにとって開発現場としての一面も担っており、海外やメディアからの注目度が高い国際的なレースになっていることを、あらためて実感しました。

 しかも、このS耐24時間レースはテントを張ってBBQやキャンプをしながら観戦できるのも魅力なので、いい場所を確保するためにみんな朝早くから来場してるんですね。年に一度、サーキットで家族や友人たちと長い1日を過ごすというのは、欧州で長い歴史を持つル・マン24時間レースやニュル24時間レースで昔から行われてきた観戦スタイルなので、日本でもそんな文化が育ってきていることにも感慨深いものがありました。残念ながら私たちは、前回このS耐24時間レースをキャンプで観戦しようとしたところ、娘に「うるさくて眠れない」と文句を言われ、今では「虫がいるところで寝たくない」などと言われるため、御殿場のホテルを押さえました。うちの娘は幸か不幸か0歳からサーキットを転々としてきたからか、すっかり慣れて日常の風景になってしまって……。大興奮の甥っ子たちとの温度差がすごいです(笑)。

 でも、フジテレビの番組「オールナイトフジ」とコラボしたイベントがあったり、ヘリコプターで空からレース観戦できる「スカイクルーズ」があったり、いろんなコンテンツが用意されていてすごいですね。ステージでの橋本出演のトークショーを見たあと、甥っ子たちが食いついたのは働くクルマのコーナー。ショベルカーなどの重機に乗ったり、実際に運転までさせてくれるから大喜び。これには娘もノリノリで参加していました。

イベント広場ではいろんなブースを見て回るのが楽しみの一つ。子供たちが真っ先に食いついたのが株式会社アクティオの働くクルマたちのブースでした。操縦席に座るだけでなく、ショベルカーの操作までさせてくれて、子供たちは大興奮でした

 そうこうしているうちに、ピットウォークの時間に。イベント広場からは地下トンネルを通ってパドックへ歩いて行けます。すでにものすごい人だかりで、なかなか前に進めないくらいでしたが、なんとかHRCのピットで橋本に会うことができた私たち。甥っ子たちはいつもと違ってレーシングスーツを着ている姿に目を輝かせ、またまたテンションアップです。インディでも活躍した武藤英紀選手、現役GTドライバーの大津弘樹選手、KYOJOで優勝経験のある辻本始温選手、そしてレジェンドドライバーでありモータージャーナリストで、一緒にJoy耐に参戦している桂伸一選手、石井昌道選手の全員から、HRCの旗にサインをもらってご満悦。この旗は子供たちの宝物になりました。

 ピットウォークが終わり、あとは15時のスタートを待つばかり。私たちはイベント広場に戻り、ランチタイムにします。常設のショッピングテラスのほか、オールナイトフジにかけた「オールライスフジ」という丼ものフェス的なコーナーがあって、実際に番組内でフジコーズの皆さんが試食する予選を勝ち抜いたお店ばかりが出店しているとのこと。確かにどれもおいしそう……だったんですが、子供たちは「ポテトと唐揚げ!」「たこ焼きがいい!」とのことで、ショッピングテラスで調達しました。カレーにラーメン、焼きそばにハンバーガーと、お祭り気分で食べられるのがいいですね。実はこちらにもオールライスフジに参戦しているメニューがあって、私は「しょうが焼き丼ぶり」をいただきました。甘辛のタレがなじんでおいしかったです。さらに、デザートにシャインマスカットのジェラートを……なんて思っていたらあっという間に売り切れており、マスクメロンとあまおうストロベリーアイスになりましたが、それもすっごく美味でした。

 さて、私たちが購入したチケットは「ファミリー特別優待券」と言って、大人1名につき子供(中学生以下)1名同伴が条件となる代わりに、2200円とお得なお値段となっているもの。駐車券はまた別途必要なんですが、これで土日ずっと出たり入ったりできるんですから、コスパいいですよね。ただ、グリッドウォークは入れないので、グランドスタンドで#271のグリッド32番の真ん前を確保し、旗を振りながら今か今かとスタートを待ち構えます。

 おおにぎわいのグリッドウォークが終わり、スタートドライバーの武藤選手がマシンに乗り込むと、じわじわと緊迫した空気に包まれます。そんな中、甥っ子(兄)は旗を持ちながら腰をふりふり変なダンスをし始めたので大爆笑。いわく、「この方が運転手の人がリラックスできるかなと思って」と。子供なりに気を遣ったようです(笑)。そしてひときわ爆音が轟き始め、ついにスタート! 次々に1コーナーへ消えていく圧巻の光景と、あっという間にストレートに戻ってくるST-XクラスのGT3マシンたちのあまりの速さに、目を丸くしている子供たちでした。

 その後もレースを見つつ、イベント広場のブースを見て回ったりしている間、#271は武藤選手から大津選手、石井選手とつなぎ、いよいよ橋本の出番です。すっかり暗くなり、ちょっとポツポツと雨が落ちてきたエリアもあったりで心配しましたが、順調に周回を重ねていきます。子供たちは「ハッシーが乗ってる」ということで応援にも熱が入り、夜でも光るゼッケンに目を凝らして、「今行った、今抜いた」と夢中で旗を振っていました。

 そして20時15分からは、恒例の花火大会。今年は打ち上げポイントが3か所に増え、自動車ブランドのエンブレムの花火が上がるというので楽しみにしていました。90年代に鈴鹿サーキットでチェッカー後に上がった花火を見て、その感動が忘れられない私ですが、こうして今度は家族一緒にサーキットの花火が見られるのはうれしいことですね。パワーアップした花火はすごかった! ブランド花火はGR、マツダ、までは形がわかったのですが、あとはよくわからなかったなぁ〜(笑)。でも、15分間たっぷりやって最後の大玉枝垂柳のフィナーレも見事! 子供たちも大満足の様子でした。

夜はお楽しみの花火鑑賞。打ち上げポイントを前回の1か所から3か所に増やし、パワーアップしていたんです。夜はけっこう冷えてきた富士スピードウェイでしたが、やっぱり夜のサーキットで見る花火は非日常でいいですね。自動車ブランドのエンブレムをかたどった花火は、みんなで何のブランドかを当てっこして楽しかったです

 そろそろ甥っ子(弟)の眠気が限界となり、ここでいったんホテルへ引き上げることに。暗いサーキットの道を駐車場まで歩くだけでも、子供たちにとっては立派なアトラクションなんですよね。パドック下のトンネルで大はしゃぎをして、ホテルに着いたらバタリとベッドに倒れ込んだ3人でした。

 そして翌朝、起き抜け一番でYouTubeのレースライブ配信をチェックしたという甥っ子(弟)は、どのマシンも傷だらけで真っ黒になっていることに衝撃を受けていたらしいです。深夜にけっこう雨が降ったので、ドライバーさんたちは大変だったでしょうね。そんな苦労がマシンに表れていたようで、子供たちにも伝わったのではないかと思います。温泉や朝食ビュッフェを堪能し、少しだけアウトレットも回って、再びサーキットへ。ちょうど橋本の出番が終わってしまったのは残念でしたが、昨日とは別のポイントから観戦したり、ピットを見学したりしつつ、いよいよラスト1時間となったところでピットビルの屋上から見守ることにしました。

 ここは広くて、前も後ろも見渡せるので気持ちのいい観戦スペースですね。柵からホームストレートをみおろし、ついにゴールの瞬間! #271はいろんなトラブルに見舞われ、最後はギアが固まってしまった状態のままスロー走行でしたが、無事にチェッカーを受けることができ、私たちも拍手で見届けました。全車がチェッカーを受けるまで、温かい拍手がやまないサーキット。やっぱり耐久レースはいいものですね。

 その後急いでピットに駆けつけ、戻ってくるマシンたちをピットレーンで出迎えます。途中でチームメイトが箱乗りをしてパレートランをしているチームや、メカニックさんや関係者と握手を交わすドライバーなど、見ているとこちらまで「終わったんだなぁ」としみじみ。子供たちは#271が戻ってくるのを待ち侘びていたんですが、あれ? 戻ってこない……。どうやらチェッカー後になんとかホームストレートまではきたものの、そこで止まってしまった模様。でも子供たちはどうしてもマシンの姿をひと目見たかったようで、ピットウォール越しに確認してようやく納得したのでした。

 24時間レースは見てる方も耐久ですが、だからこそ思い入れも強くなるし、いろんな体験ができて本当に充実した24時間になりますね。すでに甥っ子は「来年も来たい!」と意気込んでいますが、どうなることやら? ひとまず、小さなレースファン、クルマファンが増えたことが私はうれしい! 10年後、20年後にこの場を作っていくのは今の子供たち世代。そして水素やカーボンニュートラル燃料の開発が進み、この素晴らしい場が未来までずっと続いていることを願います。

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラスなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSDとスズキ・ジムニー。