まるも亜希子の「寄り道日和」

新作スポイラーのアンベールイベントに参加しました

クルマの一部分だけをアンベールするという珍しいイベントで、シビック用テールゲートスポイラー(ウイングタイプ)の試作品が初公開されました。下から覗くと、開発チームが苦労したシェブロン形状の実効空力デバイスが見えます

 初めて見ましたよ〜! クルマの一部分だけをアンベールする発表イベントなんて!(笑)。しかもそのMCを私自身が務めさせていただくとは、夢にも思っていませんでした〜。

 会場となったのは、4月21日に富士スピードウェイで開催された「モーターファンフェスタ2024」のホンダアクセスブース。今年、Moduloブランドが30周年を迎えるということでスペシャルトークショーが行なわれ、Modulo開発アドバイザーの土屋圭市さんをはじめ、Modulo完成車性能担当の湯沢峰司さん、Moduloの伝え役として欠かせない福田正剛さんのお相手として、私もご一緒させていただきました。

富士スピードウェイのAパドックに構えたホンダアクセスブースでは、朝10時から1回目のトークショーがスタートし、たくさんの方々に集まっていただきました。計4回ものトークショーで、Moduloのこだわりや歴史をお伝えできたのではないかと思います

 そのステージの前にシビックが展示されていたのですが、後ろ半分だけに黒いベールがかけられているという、なかなかほかでは見られない光景。通りかかる人たちも「なんだろう?」と不思議な表情で見つめているのがおもしろかったです。

 実はこれは、Moduloの最新作として2024年内の販売を予定している、シビック用の純正アクセサリー「テールゲートスポイラー」のプロトタイプ。朝10時からの1回目のトークショーで、たくさんのお客さまが見守ってくださる中、3、2、1のカウントダウンでアンベールを行ないました。Moduloでは2022年にシビックTYPE R用のテールゲートスポイラーを発売し、大好評だったのですが、その形状とは高さや角度、厚みなどがちがうので、見る人が見れば「おおっ」と思ったのではないでしょうか。

 これはもともとは、2023年1月に開催された「東京オートサロン2023」のホンダブースに出展されていた、「CIVIC e:HEV SPORTS ACCESSORY CONCEPT」の「テールゲートスポイラー」が発端となっています。当時、私も「これカッコいいですね〜」とスタッフの方に声をかけたのを覚えているのですが、多くのお客さまから予想以上の反響があり、開発がスタートしたのだとか。

 すでにTYPE R用があるのだから、そんなに開発には手間がかからないのでは? と思うかもしれませんが、そう簡単には済まさないのがホンダアクセスの皆さま(笑)。なんと、このためだけに1週間もホンダのテストコースである鷹栖ブルーピンググラウンドにこもり、結局は1から作り上げてしまったというからビックリです。

 今回、トークショーで土屋さんたちに「なんでそんなにこだわっちゃったんですか?」と聞いたところ、やはり同じシビックとはいえTYPE Rとは車重も違えば前後バランスも違う、エンジンのパワーも違うということで、4つのタイヤを余すところなく使って気持ちよく走れるシビックにするために、あーでもないこーでもないと、とことんまで試行錯誤してしまったとのこと。福田さんと土屋さんが鷹栖でさんざん色々と試して、その後始末を湯沢さんが一手に引き受け、とんでもなく大変だったと聞いてみんな大爆笑。

 とくに、ホンダアクセスがModuloブランドで大切にしている「実効空力」を存分に発揮させるため、TYPE Rのテールゲートスポイラーで採用したシェブロン(鋸歯)形状の実効空力デバイスをどこにつけるか、どのくらいの厚みにするのか、それとも凹ませるのか? 2段構えにしたらどうだろう? などなど。「そこまでやってたら、そりゃ1週間かかりますね……」と、あらためてこだわりの強さに感心するやら呆れるやら。でもそのおかげで、「これつけたら最高に気持ちよく走れるものに仕上がったよ!」と土屋さんも太鼓判を押していました。「でも、いくら売っても儲からないと思うけどね(笑)」

 すでに販売されているテールゲートスポイラーをつけちゃったよ、という人も、台座部分は共通となるそうなので、この新作を買って街乗りの時はこっち、ワインディング走る時は新作、と使い分けてもおもしろいとのこと。交換キットの販売も予定しているそうなので、タイヤを交換するようにテールゲートスポイラーを交換するという、新しい楽しみ方の提案でもあるなぁと感じました。

 トークショーは合計4回行なったのですが、土屋さんがいつものぶっちゃけ正直トークを全開で披露してくださり、4回とも本当にたくさんの方々に聞いていただきました。私も本当に楽しかったです! Modulo30周年のイベントは、年内にもう1回企画しているそうなので、今回来られなかったModuloファンの皆さまもご安心を。30年の歩みを振り返り、この先に生かしていくための資料づくりや展示のための現物集めを行なったそうなのですが、さらりと展示していたプレリュードの模型なんて、1台まとめるのにとんでもない金額がかかっているそうですよ。ぜひ次のイベントでは、そんな裏話も聞いてみてくださいね。

1994年にアルミホイールからスタートしたModuloの歴史の中で、1996年のプレリュード(左)と2008年のシビックTYPE Rはターニングポイントとなったモデルということで、当時の純正アクセサリーを装着した模型が展示されていましたが、これ1台で本物のクルマが買えちゃうくらいの金額がかかっているのだとか
まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラスなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSDとスズキ・ジムニー。