編集後記

2020年9月5日

椿山和雄

 月収を超える金額の買い物は人生の中でそう何回も経験することもなく、なかなかドキドキするもの(毎月のように月収を超える買い物をしていたら破産してしまうくらいの計算はできますよ)。

 何か大きな決断が求められるときに思い出すのが、TVドラマ「あぶない刑事」の第2話「救出」(笑点の座布団運びの山田くんこと、山田隆夫のゲスト出演回)で、銀行強盗に向かう3人組がクルマの中で会話するシーン。

 車内では、他人事のように余裕の表情で貧乏ゆすりをするヨダ(山田隆夫)に拳銃を突き出すムライ(兼松隆)。そしてムライのイライラとした落ち着かない様子に、逃走車を運転するリーダーのアイザワ(吉沢健)が「ビクついてんじゃねえよ。銀行強盗はパワーとスピードとドスの利いた脅しよ。とにかく一騎加勢にやればいいんだ」という話が展開される。

 何か大きな決断が求められるとき、その時の気分によって、自分の気持ちはヨダであり、ムライであったり、アイザワであったりするのだが、今回の中古ポルシェ購入時の気分はアイザワであり、パワーとスピード、勢いで買ってしまったのである(ちなみにドラマの銀行強盗は失敗に終わるのであるが……)。

 今の悩みは、ポルシェの所有を維持することができるのか、いかに持続可能なものにしていくかというところにある。

 なお、左ハンドルを選択してしまったため、いまだに人馬一体とか、駆け抜ける歓びというたぐいの感動を味わえていない。運転席が右から左に変わっただけで、危険予知のためのディープラーニングがリセットされてしまい、1人で路上教習をしている気分である。