【2011フランクフルトショー】
メルセデス・ベンツ、次世代Sクラスを彷彿とさせるコンセプトモデル「F125!」発表

最大のショースペースで新型Bクラス、新型Mクラス、SLS AMGロードスターなどを初公開

カンファレンスでF125!を発表するメルセデスベンツのディーター・ツェッチェ会長

2011年9月15日~25日(現地時間)
独フランクフルト
Messe Frankfurt



 フランクフルト・モーターショーで最大規模を誇るメルセデス・ベンツ(ダイムラー)の展示ホール。今年は3段階のフロアに分かれ、専用のエスカレータも設置されている力の入れようだ。

 プレスカンファレンスでは「ネクスト・メルセデス」をキーワードに掲げ、コンセプトカー「F125!」を筆頭に、「新型Bクラス」「Bクラス E-CELLプラスコンセプト」「新型Mクラス」「SLS AMGロードスター」「SLK250 CDI」「SLK55 AMG」などを矢継ぎ早にワールドプレミア。そのほかにも、数多くのコンセプトカーやカタログモデルを展示している。

多数のモデルをワールドプレミアしたメルセデス・ベンツ

 カール・ベンツが自動車を発明してから125周年を迎えるメルセデス・ベンツが、将来のラグジュアリー・セグメントを占うべく開発したのが「F125!」だ。Sクラスの未来形とも言えそうな同モデルは、プラグインと水素燃料電池のハイブリッドで動力を生み出す。バッテリーは高圧で出力するリチウムイオンを使用、350wh/kgというスペックを持つ。燃料電池の発電に使う水素は、新たに開発された水素タンクに700気圧で充填される。燃料電池とバッテリーを合わせた航続可能距離は1000kmとしており、長距離移動でも燃料を充填する必要がないと強調する。

 またボディーシェルにはカーボンファイバーやアルミニウム、ハイテン材鋼板など軽量な素材を使うことで軽量化を行っている。

 ボディーサイズは4998mm×1980mm×1430mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース3333mm。モーターはフロントとリアに用意され4輪を駆動させる。フロントモーターの出力は136HPでトルクは200Nm、リアモーターは68HP/75Nmとなる。システムの総出力は313HP、トルクは実に3440Nmとなる。

F125!は23インチのホイールを装着。4輪をモーターで駆動する。シートレイアウトは独立4座。常にオンラインが可能な「@yourCOMAND」が装備される

 プロダクションモデルでは、新型Bクラスがお披露目となった。その特徴点は快適で広々としたスペース、俊敏性のあるハンドリング、高効率なパフォーマンスなどが挙げられる。

 エクステリアでは、ハッチバックながらスポーティな雰囲気が高められており、側面には2本のキャラクターラインが入るという斬新なデザイン。また、エアロダイナミクスも優れていて、Cd値はクラストップとなる0.26を実現。スポーツカー並みの空気抵抗となっている。

 エンジンは、新規に開発された「OM651」と呼ばれる4気筒直噴ターボで排気量は1.8リッター。スペックは最高出力136HPで最大トルク250Nmとなっている。このほかディーゼルエンジンも用意され、さらにトランスミッションに7速DCTデュアルクラッチが組み合わせられており、これによってパワートレーンはすべて刷新されたことになる。

新型Bクラス。パワートレーンも刷新された

 ワールドプレミアとなった新型Bクラスには、同社初のレンジエクステンダーEVとなる「Bクラス E-CELLプラスコンセプト」も用意された。

 同モデルは、リチウムイオンバッテリーと3気筒1リッターターボのガソリンエンジンを搭載しており、エンジンは発電用として使用される。バッテリーのみの走行で100km、さらにエンジンで発電されたエネルギー使うと合計で600kmの走行が可能としている。EVの走行距離だけでは使用環境にマッチしないという向きに、新しい提案をする1台と言う。

Bクラス E-CELLプラスコンセプト

 3世代目となる新型Mクラスは、先代モデルよりも25%の燃費改善が図られた。

 発表されたモデルは、「ML250 BlueTEC 4MATIC」「ML350 BlueTEC 4MATIC」「ML350 4MATIC BlueEFFICIENCY」の3台。ML250 BlueTEC 4MATICの燃費は6.0L/100kmで、93Lの燃料タンクを満タンにすると計算上では約1500kmの走行が可能になる。

 全車4MATICの4輪駆動で、ML350 BlueTEC 4MATICとML350 4MATIC BlueEFFICIENCYにはさらにオフロード専用モードに切り替えられる専用ボタンが付く。オフロードモードでは、トラクションコントロール、ヒルスタートアシスト、DSRと呼ばれるダウンヒルスピードレギュレーションが働き、ドライビングをアシストすると言う。

新型Mクラス。ML250 BlueTEC 4MATICの燃費は6.0L/100kmとしており、計算上は満タンで約1500kmの走行が可能になる

 そしてSLS AMGでは、ロードスターバージョンが追加された。幌はソフトトップでトランクとシートの間に収納されており、50km/h以下であればいつでも開閉が可能。インテリアは専用のレザー仕上げとなっていて、SLS AMGとはひと味変わった雰囲気となっている。

 エンジンはSLS AMGと同じV型8気筒 6.3リッター。最高出力は571HPで最大トルク650Nm。0-100km/h加速は3.8秒、トップスピード317km/hとなっている。トランスミッションは7速DCTで、効率を考えたCモード、スポーツ、スポーツプラス、マニュアルの4パターンから任意で選択できる。車重は1660kgとしており、クーペからの重量増はわずか40kgと言う。

 ちなみに、欧州での販売価格は19万5160ユーロとなる。

ロードスターバージョンのSLS AMG
燃料電池車両SLS AMG E-CELL次期Aクラスのコンセプトモデル来年度から使用されるCクラスベースのDTMマシンとF1マシン
Cクラス最速のC63 AMGブラックシリーズも登場

(真鍋裕行)
2011年 9月 16日