【2010ロサンゼルスオートショー】ビック3および海外メーカー
ビッグ3は中核モデルの新型を発表。ポルシェ、VWも新型モデルを世界初公開

会期:2010年11月17日~28日(現地時間)
会場:米国 ロサンゼルス Los Angeles Convention Center



 LAショーでは、多くの海外メーカーがワールドプレミアとなるモデルを積極的に発表している。ここでは“ビック3”ことゼネラル・モータース、クライスラー、フォードのほか、フォルクスワーゲン、ポルシェブースの様子をお伝えする。

ゼネラル・モータース
 ゼネラル・モータース(GM)は、主力ブランドのシボレーからプレスカンファレンスを実施。

 米国では12月に販売を開始する電気自動車「ボルト」の紹介から始まった。ショーに先駆け、GMのマーケティング担当の役員は、ボルトの完成度を実証するために、デトロイトからロサンゼルスまでの2290マイルを5日間掛けて走行したことを発表した。

 詳細が公表されたボルトは、16kWのリチウムイオン電池を搭載し、バッテリーだけでの走行距離は25~50マイル、レンジエクステンダーとして使われる1.4リッターエンジンの発電をあわせると最大で350マイルの走行が可能と報じられた。

電気自動車「ボルト」

 もう1台、LAショーでGMが用意した車両が、カマロ・コンバーチブル。昨年の発売開始から好調な売れ行きを示しているカマロのオープンモデルとなる。2011年1月に生産を開始し、2月からデリバリーが始まるとのことだった。

 コンバーチブル化したトップ部分はファブリックとなっており、タンとブラックの2色から選ぶことができる。外装色は9色のバリエーションを用意する。

 エンジンは、312HP/370Nmを出力するV型6気筒 3.6リッターと、426HP/556Nmを出力するV型8気筒 6.2リッターを搭載する。3.6リッターエンジンは省燃費性も考慮され、ハイウェイモードでの燃費は29mpg(12.2km/L)となっている。

カマロ・コンバーチブル

 また、キャディラックからも興味深いコンセプトモデルが公開された。「アーバン・ラグジュアリー・コンセプト」と名づけられた車両は、これまでのキャディラックにないコンパクトモデルになる。

 ロサンゼルスの都市部など、限られた駐車スペースでも苦にならないサイズにしたと言う。このサイズにしたのは、パリや上海などの海外都市での使用も考慮しているからで、世界各地での販売が想定されているのかもしれない。

 エンジンやトランスミッションも専用に設計となっていて、3気筒の1リッターターボエンジンは、電子アシストのハイブリッドタイプで、アイドリングストップ、ブレーキ回生も装備。トランスミッションは、デュアルクラッチ式となる。

都市部など、限られた駐車スペースでも苦にならないサイズを重視して開発されたアーバン・ラグジュアリー・コンセプト
新型モデルのビュイック「リーガル2012」リーガル2012は2リッター直噴ターボエンジンを搭載する

クライスラー
 「クライスラー200」は、ブランドの中核を成す新型のミドルサイズセダンで、セブリングの後継モデルとなる。

 内外装ともに新たなブランドイメージを作り出すデザインが用いられていて、大型のメッキグリルやLEDを使ったヘッド&テールランプが特徴。

 インテリアは、快適性を重視したシートデザイン、表皮素材などを選択している。

 エンジンは、直列4気筒 2.4リッターとV型6気筒 3.6リッターで、ともに新開発。2.4リッターモデルは173HP/166lb-ft(約175PS/22.9kgm)、3.6リッターモデルは283HP/260lb-ft(約286PS/35.9kgm)をマークする。

 クライスラー200は4つのグレードで展開される予定で、廉価グレードは2万ドルの価格が付けられている。生産はすでに開始していて、米国のディーラーで近々販売される予定。

新型ミドルサイズセダン「クライスラー200」

 クライスラーが発表したもう1台のニューモデルが、日本ではグランドボイジャーとして馴染みのある「タウン&カントリー2011」。

 乗員の快適性と安全性を第一に考えて改良された。サスペンションは、リセッティングにより乗り心地を向上、インテリアではシート地や内装に高級感のあるレザーを使用。エンジンは、V型6気筒 3.6リッターが搭載される。

 ちなみに、クライスラーの新たな意匠のエンブレムが与えられた第1号のモデルとなる。

タウン&カントリー2011

フォーカスレースカーコンセプト

フォード
 フォードブースの中央を陣取ったのは、来年上半期に導入が予定される新型「フォーカス」。すでに年初のデトロイトショーで発表済みだが、ホットモデルのSTや5ドアハッチバック、4ドアセダン、レースモデルなどさまざまなラインアップが展示された。

 エクステリアは、スポーティさを演出しながら空力特性を追求。4ドアモデルのCd値は現行モデルの0.32から0.297に進化。エンジンは、新設計の直列4気筒 2リッター直噴。エンジン、空力などの高効率化によりハイウェイモードでの燃費は40mpg(16.9km/L)を記録すると言う。

 ハイエンドモデルのSTに搭載されるエンジンは、2リッターの「エコブースト」と呼ばれるターボモデル。可変ツインカムを装備しており、最高出力は247HP(250PS)最大トルク250lb-ft(34.5kgm)を発揮する。

フォーカス 5ドアハッチバック
フォーカスST

フォルクスワーゲン
 フォルクスワーゲンがロサンゼルスで初公開したのがオープンモデル「イオス」。北米で4シーターモデルの販売が好調ということもあり、イオスはこの地でのデビューとなった。フロント、リアともにデザインは刷新され、現行ゴルフのイメージを踏襲した。

 搭載されるパワートレーンは、北米では6速DSGと2リッター TSI(200PS/147kW)の組み合わせのみ。欧州では、TSIのガソリンエンジンが3タイプとTDIブルーモーションのディーゼルエンジンが選択できる。ガソリンエンジンの3モデルは122~210PSを発揮し、TDIは140PSとなる。また、ディーゼルエンジンはアイドリングストップ、ブレーキ回生機能を備え、4.8L/100km(約20.8km/L)という環境性能の高いモデルとなる。

オープンモデル「イオス」

ケイマンRを発表するポルシェAG CEOマティアス・ミューラー氏

ポルシェ
 昨年のLAショーでは、ボクスターの特別仕様車「スパイダー」を公開したポルシェだが、今回発表したのはケイマンシリーズの最上位グレードとなる「ケイマンR」。

 市販車でありながらエアコンやオーディオは取り外され、軽量シートやアルミ製の外装パーツを装着することで、ケイマンSよりも55kg軽い1295kgまでシェイプしたスパルタンモデル。

 エンジンスペックは、ケイマンSよりも10PSアップした330PS。0-100km/hを5秒で駆け抜け、最高速度は282km/h(PDKは280km/h)をマークする。

 外観を見ても分かるように高い空力性能も併せ持っており、フロントリップスポイラー、リアウィングにより揚力をフロント約15%、リア約40%低減したと言う。

ケイマンR
北米デビューとなる911スピードスター
こちらも北米デビューの911カレラGTS

(真鍋裕行)
2010年 11月 22日