イベントレポート

【CES 2019】積水ハウス、「プラットフォームハウス構想」をラスベガスで発表。第1弾はセンサーを装備して救急疾患に対応

2020年春販売。コスト増について「100万円は切りたい」と、仲井社長

2019年1月8日(現地時間)発表

「CES 2019」で「プラットフォームハウス構想」について発表する、積水ハウス株式会社 代表取締役社長 仲井嘉浩氏

 積水ハウスは1月8日(現地時間)、米ラスベガスで開催されている「CES 2019」でプレスカンファレンスを実施。同社 代表取締役社長 仲井嘉浩氏が登壇し、家を幸せのプラットフォームにする新プロジェクト「プラットフォームハウス構想」について発表を行なった。

 仲井社長は、積水ハウスが2020年に60周年を迎えることを紹介し、3フェーズで積水ハウスの取り組みを紹介。当初は「安全・安心」を追求した第1フェーズで、耐震性や耐火性を持つ家を提供。その後、「快適性」を追求してきた第2フェーズとなり、今後は人生100年時代の「幸せ」を提供する第3フェーズになるという。

「『わが家』を世界一幸せな場所にする」というビジョンを掲げ、健康とつながり、学びなどの無形資産の幸せなどを提供していく。

 この人生100年時代の幸せをアシストするものとして「プラットフォームハウス」を提案。「家はいままで帰る場所、安らぎを求め休息する場所」から「帰るだけでなく、『健康』『つながり』『学び』を得ていく場所」になるとする。これらの実現のために、IoTを活用。「IoTにより、住環境データ、ライフスタイルデータを蓄積していく」と語った。

プラットフォームハウス構想のロゴ

 このプラットフォームハウス構想の第1弾として「家が健康をつくりだす」こと掲げる。具体的には、急性疾患対応、(人の)経時変化対応、予防などができるようになる。仲井社長はその例として家での発症の多い急性疾患の脳卒中を挙げる。家自体がセンサーになって見守ることで、迅速な初期医療を実現。発症から4時間半以内の場合に有効な治療法が存在する脳卒中には、対応していきたいという。

 プラットフォームハウスの動作実例イメージとしても、脳卒中を挙げた。脳卒中では急に倒れるような症状もあるが、その場合は家自体がセンサーのため、その状態を認識、一定時間が経過して呼びかけても反応がない場合は、バイタイルデータを取得。通常時のバイタルデータと比較することで異常を検知し、センターから救急隊にコールが入る。救急隊の到着時にも、救急隊であることをセンターが確認できれば、玄関を解錠。速やかに倒れた場所を案内することで、救急救命にかかる時間を減らすこともできるとのことだ。

積水ハウスのフェーズについて
ビジョン
概念図
第1弾は、「家が健康をつくりだす」
脳卒中の発生場所
発症後の状態
救急医療イメージ

 今後のロードマップとしては、2019年1月に設立したばかりのプラットホームハウス ラボで実証実験をスタート。2019年春からは、慶應義塾大学病院など複数の大学病院で臨床研究を開始する。2019年に夏には、実際の家で実証実験を開始し、2020年春の販売を予定している。

ロードマップ
実証実験には、慶應義塾大学理工学部が協力
パートナーについて

 これだけのプロジェクトになるので、NECやNTTコムウェア、慶應義塾大学といった各業種とパートナーシップを組んで、実験を進めていく。センサーを多数装備することから価格が気になるところだが、仲井社長は「高すぎても普及しない」と語り、個人的な思いと前置きした上でコスト増について「100万円は切りたい」と述べた。

 センサーを設置する場所は、当初はリビングや寝室がメイン。その後、トイレや風呂場などに広げていきたいという。戸建てのシステムのため、庭や駐車場にも設置をのぞみたいところだが、「外部については、要望とコストが比例してくる」といい、オプションのような形で要望に応えていければとのことだった。

販売開始予定は、2020年春

編集部:谷川 潔