イベントレポート
【CES 2019】パナソニック、「Android」搭載で車内エンターテインメントなどをシングルチップで制御する「SPYDR 2.0」
ドライバーモニタリングシステムを採用して自動で高さを合わせるHUDも
2019年1月9日 14:39
- 2019年1月8日~11日(現地時間)開催
パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステム社は、米ラスベガスで開催されている「CES 2019」において、一般展示とは別に招待者だけを対象にしたプライベート展示を行なっており、その一部を報道関係者に公開した。
公開したのは、シングルブレインコクピットドメインコントローラー「SPYDR 2.0」と、ドライバーモニタリングシステムを採用したHUD(ヘッドアップディスプレイ)の2つである。
シングルブレインコクピットドメインコントローラー「SPYDR 2.0」
パナソニックは、2018年のCESで「SPYDR 1.0」として、Googleとの協業によって自動車のインフォテインメントシステムに音声検索を採用することなどを発表したが、今回のSPYDR 2.0では最新の「Android P」を採用。Googleとクアルコムとの協業によって、ASIL(Automotive Safety Integrity Level)で「B」の事前認証を受けた量産対応ハードウェアを自動車に組み込むことで利用できる。
同社では「シングルチップに、後部座席用のエンターテインメントシステムを含む車内インフォテイメントシステム、サラウンドビューモニター機能、アクティブノイズコントロール機能、機械学習機能を備えたカメラとの連動、最大4台までのディスプレイの制御など、さまざまな機能を統合することで、1チップあたり約200ドルのコスト削減が可能になる。ディスプレイ操作で多様な機能を動作させることができるほか、インターネットラジオやNetflixの4Kストリーミングビテオの視聴なども、ディスプレイ操作だけでなくスマートフォンを経由して利用できる。ここでは、iPhoneのApple CarPlayを使用することも可能である。今後は、アダプティブヘッドライトコントローラとの連携や、自動運転用のADAS(先進運転支援システム)カメラとの連動といった、新たな機能も追加することができる」などとした。
なお、ディスプレイ上に表示する画面は、自動車メーカーの要望に合わせてカスタマイズすることが可能とのこと。機械学習機能を備えた車内向けカメラを利用して、自動運転やライドシェアなどで利用する際に、乗車する人を認識したり、車内に忘れたものを認識したりするといった用途でも活用できるという。
同社は「SPYDR 2.0は、業界をリードするスマートテクノロジープラットフォームになる。自動車メーカーは、拡張性やパフォーマンス向上、柔軟性、オープン性といったメリットを享受でき、市場投入までのスピードを向上させることができる」としている。
プライベート展示では、15.5型ディスプレイを搭載して各種機能を表示。ディスプレイは縦方向にも横方向にも回転することができる。
ドライバーモニタリングシステムを採用したHUD
ドライバーモニタリングシステムを採用したHUDは、赤外線カメラと独自のアルゴリズムを活用することで、運転者の顔を追跡してHUDミラーを調整。人ごとに異なる目の位置や視線の移動に合わせて、最適な画面表示が可能になる技術だ。運転者は、HUDへの最適な表示位置を手動で調整することがなく、さまざまな情報を見ることができるようになる。
同社では「ARによる情報をHUDの適切な位置に表示するには、目の高さはどこか、視線をどこに向けているのかといったことを、リアルタイムに、的確に認識することが必要である。目の位置を認識し、そこにさまざまな情報を表示することで、より安全で楽しいコネクテッドカーを作り出すことができる」とした。
この技術を活用することで、ドライバーの眠気を関知して警告するなどといった用途にも活用できるという。
また、「電動化と機能拡張の流れが進展する一方で、自動車内にさまざまな機能を搭載するためのスペースが限られてきている。パナソニックが持つプロジェクターやカメラをはじめとする光学部品の精密製造技術や専門知識を活用して、赤外線カメラをHUDのパッケージ内に搭載することで、同等機能の製品に比べて約40%の省スペース化を実現している」とした。
デモンストレーションでは、赤外線による視線の認識の際にメガネをしていると視線の認識率が低いため、メガネを外すことが前提となったほか、「今は人の位置を確認する角度が狭いが、技術の向上によってトラッキングする範囲を広げることができる」とした。
今回のプライベート展示では、主に赤外線カメラとHUDをパッケージにすることで実現した省スペース化を中心に訴求しており、今後、実用化に向けて認識率の向上などの技術進化に取り組む考えだ。