イベントレポート
【CES 2019】パナソニック、上下分割式eモビリティ「SPACe_C」デモ車展示。対面式4人乗りキャビンやガラス張りのフードキャビンと組み合わせ
2019年1月10日 20:43
- 2019年1月6日~7日(現地時間) プレスカンファレンス
- 2019年1月8日~11日(現地時間) 一般公開
パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズは、1月8日から11日までラスベガスで開催中の「CES 2019」において、コネクテッドモビリティ分野の展示を行なっている。
最大のスペースを割いているのは、上下分割式eモビリティ「SPACe_C」のデモ車展示。ブース内の短い距離だが、人を乗せて走行デモも行なっていた。
SPACe_Cは観光地や街中などの利用を想定しており、車体上部は人や物の移動だけでなく「体験も提供するキャビン」として、載せ換えることで世界中さまざまな地域のニーズに対応できるという。車体下部は共通ベースの「e_Torta」と名付けられており、電源システム部(車載充電器、ジャンクションBox、インバータ、DC-DCコンバータ)と駆動部(モーター)で構成するEV(電気自動車)向けの新しい「48V ePowertrain」プラットフォームを採用している。新プラットフォームはモーター設計と冷却性能の見直しにより、前モデルと同じ容積で倍以上の出力となる18kWを実現した(前モデルは8kW)。
ブースのデモ車は対面式4人乗りのキャビンが取り付けられており、「サマースクールに向かうチャーター車」という設定。車内のディスプレイには国立公園ツアーのガイドが表示されていた。側面口は上下に大きく開く構造で、足元はスロープになっているため、足腰の弱い人でも乗り込みやすくなっている。
さらにデモ車のシートは奥の2席を倒すとフラットになり、車外には「Health Exam(健康診断)」の表示が現われた。ディスプレイには心拍や胸部レントゲンなどカルテが表示されており、人を運ぶだけでなく、SPACe_Cが地域診療などにも応用できることをうかがわせた。
車体上部のバリエーションとして、ブース内には食品のデリバリーを行なうためのフードキャビン「SPACe_C eMart」も展示。ガラス張りのショーケースに食品が並べられており、移動販売などにも活用できることをアピールしていた。
ほかに目を引く展示としては、ハーレーダビッドソンの電動バイク「LiveWire」と、アキュラに採用された没入型車載エンタテイメントシステム「ELS Studio 3D Premium Audio System」が挙げられる。前者はパナソニックがコネクテッドサービスを提供し、スマートフォンアプリを通じてバッテリ残量や充電完了時間、走行可能な残りの距離などを確認できる。充電可能なステーションの位置もアプリ上で調べることが可能。また、アプリでは駐車中の自車位置を特定できるだけでなく、何かがぶつかったり動かされたり、あるいは改ざん(攻撃)された場合などに所有者へ警告を送る仕組みも組み込まれている。LiveWireはすでに予約を開始しており、8月に発売する。
一方、アキュラのサウンドシステムは実際に乗り込んで試聴することができる。16基のスピーカーと計710Wのアンプを組み込んだシステムは、グラミー賞を8度受賞したElliot Scheiner氏が監修しており、ハイダイナミックレンジで立体感のあるサラウンドを実現している。
自動車間、路車間の通信を実現するV2X(Vehicle-to-Everything)プラットフォームの「CIRRUS by Panasonic」は、ステージで映像を披露。同社がコロラド州運輸省と行なっている実証実験を紹介し、渋滞情報や信号、道路工事情報、路面レベルの天気情報、除雪や道路のくぼみといった要メンテナンス情報などを共有して、自動運転で走行する4台のクルマが互いに協調して走行する様子が映し出された。
クルマがネットワークに接続するようになると、外部から攻撃を受ける可能性も考慮する必要がある。車載用サイバーセキュリティの展示では、脅威を検出するとパターンファイルによる対処と(ゼロデイなど)未知の攻撃への対処、どちらにも対応できる様子を紹介していた。
デモでは、作業者向けのタブレットにCAN(Controller Area Network)とEthernetで問題が起きていることを通知、画面をスクロールすると具体的な分析を視覚化した情報が提供され、対処を実行するまでの流れを示していた。まだ製品化には至っていないものの、画面の作り込みなどは市販化を前提としたレベルになっており、展示デモも実際にサーバーに接続して動作しているという。