GTC 2017

NVIDIAの開発コードネームは“Endeavor”。ジェンスン・フアンCEO肝いりのNVIDIA新本社を事前公開

ポリゴンをモチーフとした三角形のオフィスが11月完成予定

2017年5月8日~11日(現地時間) 開催

San Jose McEnery Convention Center

NVIDIAの開発コードネーム“Endeavor”。NVIDIAは建設中の新本社を事前公開した

 GPUメーカーのNVIDIAは、米国カリフォルニア州サンタクララ市にある同社本社オフィスに道路を挟んで隣接する敷地に、新本社を建設している。NVIDIAの社内では“Endeavor”の開発コードネームで知られている新社屋は、NVIDIAの創設者兼CEO ジェンスン・フアン氏自ら設計に関わってデザインがされたという建物で、内部も3Dポリゴンをモチーフとした三角形を多用したデザインを採用しており、従来のオフィスという概念を覆すユニークなデザインとなっている。

 この新社屋“Endeavor”が「GPU Technology Conference 2017」開催期間中に報道陣向けに公開された。

 NVIDIAによれば、新オフィスの敷地面積は12エーカー(約4万8562平方メートル)で、東京ドーム(約4万6755平方メートル)を上回る大きさ。そこに総床面積50万平方フィート(約46451平方メートル)の地下2階、地上2階+メゾネットという建物が、総工費30億700万ドル(日本円で約349億1400万円、1ドル=114円換算)をかけて建設されている。現在新オフィスの建築は最終の仕上げ段階に入っており、2017年11月には新オフィスが完成し、今年の冬には新オフィスでの本社機能が稼働する予定だ。

NVIDIAが米国カリフォルニア州サンタクララ市に建設中の新本社ビルの完成予想図と、NVIDIA 創設者兼CEO ジェンスン・フアン氏

ジェンスン・フアンCEOが自らデザインに関わり、NVIDIAのVRを利用して新オフィスをデザイン

 プロジェクト全体を統括したNVIDIA リアルエステート・サイトサービス担当シニアダイレクター ジョン・オブライエン氏によれば、新オフィス建設には同社の創設者兼CEOであるジェンスン・フアン氏がほとんどのプロセスに関わり、デザインなども、フアン氏自らがその決定に関わったのだという。

NVIDIA リアルエステート・サイトサービス担当シニアダイレクター ジョン・オブライエン氏

 今回の建屋のデザインを行なったGenslerの主任スタジオディレクターのハオ・コー氏によれば、デザインの段階でNVIDIAのIRAYと呼ばれるVR向けのツールを利用して、光の加減などをVR HMDで確認しながらデザインを進めたという。

IRAYによる完成予想画像。採光などもシミュレートされている

 コー氏によれば「こうした建築主の依頼は初めてのことで、我々建設会社としても学ぶことが多かった」と説明する。実際、2016年4月に行なわれた「GTC 2016」の基調講演では、そのIRAYを利用したVR HMDを利用したNVIDIA新本社社屋のデモが公開されており、それは単にデモとしてだけでなく、実際に建物完成後のイメージを施主であるNVIDIAと、建設会社の双方が確認するということに利用されていたとのことだった。

Gensler 主任スタジオディレクター ハオ・コー氏

 オブライエン氏によれば、建物は地下2階のパーキングスペースと地上2階の建物となっており、その上にメゾネットという扱いで3階に相当する部分があるという。3階部分をなぜ3階と言わないのかというと、地元政府の消防法の縛りがあり、完全な3階にするとそれをクリアすることができず、形状などで妥協しなければならなかったからだとか。そこで、NVIDIAは地元政府と密接に話し合い、両者の合意により、3階をメゾネット形式として、2階部分の延長という扱いにすることで消防法上の課題をクリアにすることができたそうだ。

道路を挟んで反対側に現在の本社社屋がある

 建物の形状も、こうしたオフィスとしては異例の三角形の形状をしており、それぞれの三角形の頂点部分にエントランスや来客用のスペースなどが用意されており、そこでプレゼンテーションなどを行ったりもできるようになる予定だという。建物だけでなく、壁や天井なども、ポリゴンをイメージした三角形でデザインされており、そこかしこがポリゴンだらけというオフィスになりそうだ。

1階はカンファレンスルームと社食

ジョン・オブライエン氏が現地で説明してくれた

 新社屋の1階部分には、エントランス(入り口は社員証でセキュリティチェックが行なわれるほか、来客者用のエントランスも用意される)のほか、来客者用のミーティングスペース、そしてカンファレンスルーム、さらには社員食堂などが用意されている。カンファレンスルームは300名が入るような大型の部屋から、数人規模の小さな部屋までが用意されており、合計で200を超える部屋が用意される予定。

 社員食堂に800席が用意されており、1日/3000食を料理するキャパシティがあると説明された。現在はまだキッチンや配膳ブースなどは用意されていなかったが、今後そうした施設が取り付けられていくとのこと。

地下1階と地下2階はパーキングスペースになっている
メインエントランス
エントランスから社屋内をパノラマで撮影したところ、それでも全体が入りきらないほど大きい
1階と2階は吹き抜け構造になっており、太陽光などを効果的に活用するデザイン
現在は内装工事などが行なわれており、パイプなどが剥き出しになっている
カンファレンスルームやミーティングルーム予定地。300人が入れる大きなカンファレスルームも用意されている
社員食堂、スタジアム型のシートも用意されており、ちょっとしたパーティなどに使えそうだ
社員食堂のキッチンと冷蔵庫の予定地
社員食堂の柱には、ポリゴンをイメージした内装が……

2階はオフィススペース。メゾネットは社員の憩いの場に

 2階部分はオフィススペースで、2500人の社員がいるスペースはフリースペースとなっており、社員が思い思いの席で仕事ができるようになるとのこと。なお、フリースペースとなると電話、特に機密情報を話さないといけない場合には問題になるので、別途電話用のガラス張りの小部屋が用意されており、外に音が漏れない部屋で外部のパートナーとの電話連絡に使えるように配慮されているという。

2階のオフィススペースをパノラマ撮影したところ、やはり大きすぎて全部が入らない
2階のオフィススペースには2500人の社員が働く
電話スペースと図書館予定地

 なお、オフィスにはエグゼクティブの部屋なども用意されず、幹部社員も一般社員と同じようにフリーのオフィススペースで働くことになる。それは創設者兼CEOであるフアン氏も例外ではなく、フアン氏の部屋というのも新しいオフィスに用意されないそうだ。

“新しいオフィスでも”と書いたのは、NVIDIAの社員によれば現在のオフィスでもフアン氏の部屋というのは特にないそうで、フアン氏が気になるプロジェクトを実行しているオフィスエリアに席を用意して働いていており、その例が新しいオフィスでも踏襲されることになりそうだ。

 NVIDIAはグローバルで社員1万人を超える大企業ではあるが、それでもそうしたベンチャー企業的マインドで運営されており、CEOだから、役員だからといって特権が用意されないシリコンバレーの企業だ。こうしたフラットな組織は新しいオフィスにも反映されているということだ。

2階からメゾネット部分を見たところ、あくまで2階の延長という形なので3階ではないという法律上の位置づけ
パネルもポリゴン風
メゾネットに上っていく階段
クワイエットゾーン予定地

 3階に相当するメゾネット部分は、社員が憩うことができるバー形式のカフェゾーン(もちろんアルコールは出されない)、チームで集まってわいわい集うことができるコラボレーションゾーン、さらにはおしゃべり禁止のクワイエットゾーンの3つから構成されており、社員が自分の目的に合わせて思い思いの場所で過ごせるように工夫されている。

 この新本社は11月に完成予定で、その後、道路を挟んで反対側にある現在の本社からの移転が始まるという。現在シリコンバレーはやはりユニークなデザインを採用しているAppleの新しい本社社屋が話題だが、このNVIDIAの新しい本社社屋もシリコンバレーの名所になりそうだ。

笠原一輝