イベントレポート

Kia、ジャパンモビリティショー2025で「PV5」日本初公開 価格は589万円からと発表

2025年10月29日~11月9日 開催
Kiaがジャパンモビリティショーで「PV5」を日本初公開。左から双日株式会社 代表取締役 会長 藤本昌義氏、Kia PBVジャパン株式会社 代表取締役 CEO 田島靖也氏、PV5、Kiaコーポレーション PBVビジネス事業部 副社長 キム・ザンデ氏

 ジャパンモビリティショー2025(プレスデー:10月29日~30日/一般公開日:10月31日~11月9日)が東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催されている。

 東展示棟 東6ホールにブースを初出展しているKia(キア)は、2026年春に日本導入予定となるBEV(バッテリ電気自動車)「PV5」を日本初公開。バンタイプや乗用タイプに加え、車いす仕様車やキャンピング仕様車といったさまざまな活用方法をアピールしている。

Kiaブース
PV5カーゴ(スタンダードレンジ)
PV5カーゴ(スタンダードレンジ)
PV5カーゴ(スタンダードレンジ)のインテリア
PV5カーゴ(スタンダードレンジ)のラゲッジ
PV5パッセンジャー
ホイール
充電口。急速充電のCHAdeMOに対応
PV5パッセンジャーのインテリアはホワイト基調
PV5パッセンジャーのシート
PV5パッセンジャーのラゲッジ
AddGearを装着
ドアトリムはかなりしっかりとしたつくりで厚め
PV5 WAV(車いす仕様車)
PV5 キャンピングカー仕様。車内にソファや冷蔵庫も備える
ボディカラー
機能性を高めるために設計された「AddGear」を用意。室内空間をカスタマイズ可能
PV5の一充電走行距離は、カーゴで528km、パッセンジャーで521km(最上位グレード)
ステップ地上高は399mmとし、スムーズな乗降性を実現
PV5 カーゴ(ロング)は荷室高1520mm、荷室容積4.4m3という広い室内と、リアステップ地上高419mmという低い床面地上高が特徴。ウォークスルーアクセスも可能としている

単なる海外メーカーではなく、信頼されるパートナーとしての地位を築く

 プレスデー初日となる10月29日に行なわれたプレスカンファレンスでは日本導入価格が明かされ、PV5 カーゴが589万円、PV5パッセンジャーが679万円であると紹介された。なお、PV5は各種エコカー補助金の対象となるが、今回発表された価格は補助金前の価格とのこと。

PV5の価格。補助金などを含めると価格はより下がるという

 プレスカンファレンスでは、双日 代表取締役 会長 藤本昌義氏がプレゼンテーションを実施。

 双日グループとして2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、KiaのPV5に用いられている「モビリティプラットフォーム」が日本のモビリティ分野における課題を解決する画期的なアイデアになると説明した。また、PV5によってモビリティは単なる移動手段を超えて、地域社会を活性化し、人々を支え、地球環境を守るものになると述べ、「Kiaとの協業を通じて日本のカーボンニュートラル社会への移行を加速させ、真に役立つモビリティを待ち望んでいた産業や地域社会に新たな希望を届けられると確信しています」と期待を語った。

双日株式会社 代表取締役 会長 藤本昌義氏

 続けて、Kiaコーポレーション PBVビジネス事業部 副社長 キム・ザンデ氏が、Kiaのビジョンと取り組み、PV5について説明。「Kiaは従来の自動車メーカーから『持続可能なモビリティソリューションプロバイダー』へと大胆な変革の道を歩んできました。EVイノベーションを牽引するブランドとして、Kiaは すでに主要市場でのグローバルな成功を通じて、その実力を証明してまいりました。Kiaは今、新たなコンセプト『Platform Beyond Vehicle』すなわち『PBV』を通じて、モビリティを再定義しようと思います」とKiaを紹介した。

Kiaコーポレーション PBVビジネス事業部 副社長 キム・ザンデ氏

 KiaのPBVイノベーションの中心には、ハードウェア、ソフトウェア、製造の3つの柱があるといい、ハードウェアではユーザーニーズに応えるために優れた耐久性と品質を実現しながら、スペースの活用を最大化できるように設計されたKiaの専用プラットフォーム「E-GMP.S」を採用していると説明。

KiaのPBVイノベーションの3つの柱

 ソフトウェアでは、「フリートマネジメントシステム(FMS)」を活用してビジネスの事業運営を最適化し、ユーザーに継続的かつよりよい体験を提供するとした。

 製造では、環境に配慮したPBV EVO工場について触れ、セル生産方式の柔軟性とコンベアシステムの効率性を組み合わせたハイブリッドな製造システムにより、品質やコストパフォーマンスを損なうことなく、多様なモデルを効率的に少量生産できると紹介した。

 PV5については、「単なる新型車ではなく、新たなモビリティのカテゴリーそのもの」と語り、さまざまなアッパーボディ・モジュールを組み合わせられる「フレキシブルボディシステム」によって、アッパーボディの使用を最大16種類まで拡張でき、ファミリーや物流、モビリティサービス、レジャー、キャンプ、福祉・介護といった多様なニーズに応えられるモデルであるとした。

「フレキシブルボディシステム」により、さまざまなアッパーボディモジュールを組み合わせ可能

 さらにPV5は高エネルギー密度のバッテリと急速充電性能に加え、V2H(Vehicle to Home)とV2L(Vehicle to Load)機能を備えているほか、先進運転支援システム(ADAS)やペダル踏み間違い加速抑制装置(PMSA)を採用して安全性を確保している。

 バッテリタイプは43.3kWh、51.5kWh、71.2kWhの3種類を用意し、各企業のニーズに適したバッテリ容量を選択できるようにしている。

 キム氏は「日本におけるKiaの長期的なビジョンは明確です。それは日本社会とともに成長していくことです。双日株式会社との協力なパートナーシップのもと、まずはPV5カーゴとPV5パッセンジャーから展開し、その後、ラインアップを順次拡大してまいります。私たちは『単なる海外メーカー』としてではなく、日本の皆さまの声に耳を傾け、学び、そして信頼されるパートナーとしての地位を築く覚悟です」と、日本導入に向けた決意を語った。

PV5に続けて「PV7」「PV9」も導入する可能性があることを示した

 最後にKia PBVジャパン 代表取締役 CEO 田島靖也氏が、日本でのビジネス展開について紹介した。

Kia PBVジャパン株式会社 代表取締役 CEO 田島靖也氏

 PV5の販売台数目標は2026年には1000台、翌年の2027年には2000台と掲げ、全国8か所にディーラーを展開。アフターサービスについては日本のパートナー企業と協力して、全国約100か所のサービスセンターの構築を目指していくとした。また、充電に関しては全国にネットワークを整備する計画であることも明かされた。

日本での販売目標
ディーラーやアフターサービス拠点、充電ネットワークも充実させていく

 田島氏は「販売準備の過程で日本のさまざまな分野の皆さまからPV5への多大なる期待と高い評価の声を多くいただきました。私たちはPV5を個人、そして社会全体に貢献するモビリティソリューションへと育てていくことに尽力してまいります。その実現のため、私たちはこれからも日本の皆さまの声に真摯に耳を傾けてまいります。この機会に、このブースで、KiaのPBVの魅力をぜひご体験ください」とブースへの立ち寄りを呼びかけて、プレゼンテーションを締めくくった。

フォトセッションの様子
編集部:北村友里恵