イベントレポート

スズキ、ガソリン・電気・水素・天然ガスにバイオメタン、車体からガス工場までブースで展示

2025年10月29日~11月9日 開催
スズキはさまざまなタイプのモビリティを展示

 ジャパンモビリティショー2025(プレスデー:10月29日~30日/一般公開日:10月31日~11月9日)が東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催されている。

 スズキは東展示棟1階の東4・5・6ホールにブースを出展しており、ガソリンエンジン、電気、水素、天然ガス、バイオメタンといった多様なエネルギーに対応する二輪、四輪、パーソナルモビリティ、船外機などを展示している。

スズキブース

 電動モビリティの中でも注目は、ペダル付き折り畳み電動バイクの「e-PO」。免許不要で乗れる特定原付ではなく、原付1種相当の「要免許」の電動バイクとなっている。スロットルやブレーキのほか、灯火類やナンバーも装着済み。自転車と同様のペダルを装備しているのも特徴だ。

ペダル付き折り畳み電動バイクの「e-PO」

 電動アシスト自転車に似た、パナソニックとの共同開発によるモーターとバッテリを動力源としており、「アクセル操作のみ」「アクセルとペダルの組み合わせ」「ペダルのみ」という3パターンで走らせることができる。ペダル使用時は3倍のアシストが加わるため、登り坂などでも軽快な走りを実現する。2026年度内の発売を予定しているとのこと。

レーシングバイクのバンク体験ができるフォトブース
ここにある小型のバイクの動力にもe-POと同じものが採用されている(今回の展示では走行は不可)

 CNG(圧縮天然ガス)およびCBG(圧縮バイオメタンガス)に対応するものとしては、四輪の「ビクトリス」と二輪の「ACCESS」が展示されている。ビクトリスはインド市場ですでに展開している主に若年層に向けたミドルSUVで、従来は荷室内に配置されることの多いガスタンクを荷室下に配置することで、ラゲッジスペースを広く活用できるようにしている。

参考展示となるインド市場向けの「ビクトリス」
ガスタンクを荷室下に配置することで、荷室自体は広く使える。展示ではタンクが見やすいようむき出しになっているが、実車はカバーで覆われている
研究開発中の「ACCESS CNG/CBG仕様車」
ガスタンクはシート下に
インドのグジャラート州にあるバイオガス燃料を生産するプラントをミニチュアで紹介。試運転を開始している
水素を燃料とする「水素エンジンバーグマン」
足下に水素タンクを搭載している

 また、「通勤快速」として人気を博しているスクーター「アドレス」の電動バージョンとして、「e-Address」が展示されている。「意のままに加減速を操れるコントロール性」を重視し、回生ブレーキの強弱などを切り替えられる「A・B・エコ」の走行モードが利用可能。バッテリにはリン酸鉄リチウムイオン電池を採用し、満充電時で83kmの航続距離を実現するほか、2000回の充電サイクルで70%以上の残量を維持するという長寿命を誇る。まずはインド市場での市販化計画が進んでいる、とのこと。

電動スクーター「e-Address」
固定式のバッテリとすることで省スペース化し、メットインのスペースもしっかり確保

 米スタートアップと共同開発した自動運転車両「グライドウェイズ」は、実際に乗り込める形で展示されている。乗車人数4人までのコンパクトな車体で、専用の走行レーンを短い車間距離で走行可能。乗合バスのように見えるがそうではなく、ユーザーが呼び出して目的地までノンストップで走る「オンデマンド公共交通システム」用の車両だ。米アトランタで2026年に運行開始が予定されているほか、2027年には同サンノゼと東コントラスタ郡での着工も計画されているという。

自動運転車両「グライドウェイズ」
車内の雰囲気
シートを持ち上げると自転車を固定するためのスリットが現れる
バイオエタノール燃料にも対応するFFV関連の展示も複数。こちらは「フロンクスFFVコンセプト」。素材への攻撃性の高いエタノール100%燃料にも対応可能なパーツを独自に開発し、採用した
同じくガソリンとバイオエタノール燃料に対応するFFVの船外機
マイクロプラスチックの回収機能を備える船外機
冷却水として用いる海水の経路にフィルターを設けており、ここにマイクロプラスチックがたまる仕組み
ネオレトロな新型ミドルスポーツ「GSX-8T」と「GSX-8TT」
日沼諭史

1977年北海道生まれ。Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、フリーランスのライターに。IT、モバイル、オーディオ・ビジュアル分野のほか、四輪・二輪や旅行などさまざまなジャンルで活動中。2009年より参戦したオートバイジムカーナは2年目にA級昇格、2012年にSB級(ビッグバイククラス)チャンピオン獲得。