イベントレポート 東京オートサロン 2023

ホンダ、2024年からSUPER GTに投入する「CIVIC TYPE R-GT CONCEPT」公開イベント

2022年1月13日 発表

「CIVIC TYPE R-GT CONCEPT」を発表する株式会社ホンダ・レーシング(HRC) 代表取締役社長 渡辺康治氏

 本田技研工業は1月13日、幕張メッセで開幕した「東京オートサロン2023」において発表会を開催し、同社のスポーツカー「シビック TYPE R」をベースにしたSUPER GT/GT500参戦車両「CIVIC TYPE R-GT CONCEPT」を初公開。東京オートサロンの会場に展示している。

 ホンダはこれまで2014年に投入した2代目NSXのコンセプトモデルをベースにした「NSX CONCEPT-GT」、2017年から市販された2代目NSXをベースにした「NSX-GT」でSUPER GTを戦ってきたが、そのNSX-GTでの参戦は今季限りとされており、2024年からどのような車両で戦うのかに注目が集まっていた。

ホンダブースではスポーツe:HEVとレーシングカーを展示

本田技研工業株式会社 商品ブランド部長 篠原邦治氏

 本田技研工業 商品ブランド部長 篠原邦治氏は「はじめに半導体逼迫に端を発する混乱で、納車までに時間がかかっていることをおわび申し上げたい。今後もできるだけそれが短くなるように努力していきたい」と述べ、半導体逼迫などの問題からサプライチェーンが混乱したことにより納車までに時間がかかっている現状についておわびの言葉を述べた。

スポーツe:HEV
スポーツe:HEVを搭載したCIVIC e:HEV ACCESSORY CONCEPT、ZR-V e:HEV ACCESSORY CONCEPT、ZR-V e:HEV MUGEN Custom Conceptが展示される

 その上で「今回のオートサロンでのホンダブースは、走りの楽しさを感じてもらうことをコンセプトに、スポーツe:HEVとモータースポーツ関連の車両を展示している」と述べ、市販車ではシビック e:HEVや4月に販売が開始される予定のZR-V e:HEVのカスタマイズモデルを展示し、モータースポーツ車両ではN-ONEのワンメークレース、さらにはスーパー耐久に参戦しているシビック TYPE R、フィットの開発者自らが仕上げたEnjoy耐久に参戦したフィットe:HEVなどの車両が展示されていた。

CIVIC e:HEV ACCESSORY CONCEPT
ZR-V e:HEV MUGEN Custom Concept
ZR-V e:HEV ACCESSORY CONCEPT

 篠原氏は「ホンダはモータースポーツを人と技術を磨く場だと定義しており、レース活動を人材開発の場だと位置づけている。今後もホンダ製品にご期待いただきたい」と述べ、オートサロンでその楽しさを感じてほしいと強調した。

スーパー耐久にもドライバーとして参戦しているシビック TYPE Rの開発責任者 柿沼秀樹氏とシビック TYPE R
N-ONE ワンメークレース参戦車両

ホンダ車の中でピュアスポーツモデルがシビック TYPE Rなのでベース車両に選んだとHRC渡辺社長

株式会社ホンダ・レーシング(HRC) 代表取締役社長 渡辺康治氏

 続いてはホンダのレース専門子会社であるホンダ・レーシング(HRC) 代表取締役社長 渡辺康治氏が登壇し、ステージに置かれていた黒いベールがかぶせられた初公開の車両を紹介した。

ベールを取るとCIVIC TYPE R-GT CONCEPTが登場

 ベールが取られると中から登場したのは「CIVIC TYPE R-GT CONCEPT」というレース車両で、ホンダが2024年からSUPER GT/GT500に参戦する車両となる。ホンダはこれまで2代目NSXをモチーフにしたNSX CONCEPT-GTで2014年から2016年を、そして市販車の2代目NSXが発売された2017年以降はNSX-GTという車両名にして2代目NSXをベースにしたGT500車両でSUPER GTに参戦してきた。2018年にはジェンソン・バトン選手と山本尚貴選手で、2020年は山本尚貴選手と牧野任祐選手でシリーズチャンピオンに輝くなどの結果を残してきた。しかし、2代目NSXの生産が終了となり、今後どの車両をホンダのスポーツカーの象徴と言えるGT500車両に採用するのかに注目が集まっていた。今回それがシビック TYPE Rであることが明らかにされた格好だ。

 といってもSUPER GTのGT500規定は、スケーリングと呼ばれるベースとなる車両を元にしてそれを同じ比率でGT500車両のサイズに収める形になる。このため、元々4ドア車両であるシビックがベースになっているシビック TYPE Rをベース車両にすることは、空力的に不利になる可能性が考えられる。そうしたリスクがあっても、シビック TYPE Rが選ばれたというのは、今のホンダのスポーツカーを代表する車両がシビック TYPE Rという判断がされたということだろう。このあたりの空力の処理をどうするのかは、HRCの開発陣の腕の見せどころとなるだろう。

本田技研工業株式会社 商品ブランド部長 篠原邦治氏(左)と株式会社ホンダ・レーシング(HRC) 代表取締役社長 渡辺康治氏(右)

 渡辺氏は「HRCの取り組みは国内外のトップカテゴリーで勝利を重ねてファンの皆さまと喜びを分かち合い、ホンダブランドのさらなる高揚を目指すことだ。今回発表されたCIVIC TYPE R-GT CONCEPTもそうした車両となる。レーシングカーのような速さと圧倒的なドライビングの楽しさを訴求する、ホンダのピュアスポーツモデルであるシビック TYPE Rの名を冠したマシンをSUPER GTのGT500に投入することにした」と説明した。

 なお、渡辺氏によれば、今回公開されたCIVIC TYPE R-GT CONCEPTはあくまでコンセプトモデルであり、今回はお披露目に過ぎないということを強調した。今年HRCで本格的に開発が進み、2024年のSUPER GTの開幕戦に本番車両が登場することになり、今シーズンがまだ開幕していない段階だが早くも来シーズンのSUPER GTへの期待が膨らむところだ。

CIVIC TYPE R-GT CONCEPT
笠原一輝