BMW、ターボエンジンのみになった新型「7シリーズ」
2010年にはハイブリッドモデルを発売

750Liとローランド・クルーガー社長。7シリーズのキャッチコピーは「The Statement.」

2009年3月24日発売
1010万~1330万円




 ビー・エム・ダブリューは、新型「7シリーズ」を3月24日から発売する。価格は「740i」が1010万円、「740Li」が1080万円、「750i」が1200万円、「750Li」が1330万円。

 同社のフラッグシップモデルとなるフルサイズセダン。1977年の初代から数えて5代目となる。オーナードライバー向けのショートホイールベースモデル(740i、750i)と、ショーファードリブン向けにホイールベースを伸ばしたロングモデル(740Li、750Li)が用意される。ロングモデルは右ハンドルのみ、ショートモデルは左右ハンドルが用意される。

 サイズはショートモデルが5070×1900×2590mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース3070mm。ロングモデルが5210×1900×1485mm(同)、ホイールベース3210mm。重量は740iが1980kg、740Liが2030kg、750iが2040kg、750Liが2150kg。

 エンジンフード、フロントフェンダー、ルーフ、ドア、サスペンション、エンジンブロックにアルミ合金を使い、軽量化を図るとともに前後輪で50:50の重量配分を実現している。

750Li
740iConcept 7 Series ActiveHybrid
外観で750(左)と740を見分けるポイントは、ルーフモールの色。750はクロームになる

 エンジンは、740iと740Liが直列6気筒 DOHC 3リッター、750iと750LiがV型8気筒 DOHC 4.4リッター。いずれも直噴ガソリンエンジンで、パラレルツインターボを備える。性能は、740i/740Liが最高出力240kW(326PS)、最大トルク450Nm(45.9kgm)、750i/750Liが最高出力300kW(407PS)、最大トルク600Nm(61.2kgm)。トランスミッションは6速ATのみ。

 減速時のエネルギーを電力に換え、カーバッテリーに回生する機構を持つ。これによりオルタネーター(発電機)とエンジンの負荷を軽減できるとしている。

 サスペンションは、フロントにBMW初のダブルウィッシュボーンを採用。リアはマルチリンクで、ロングモデルには通常のコイルスプリングに代えてエアスプリングが付く。車速や車体の動きを検知してダンピング特性を自動制御する「ダイナミック・ダンピング・コントロール」が標準装備されるほか、アクティブ・スタビライザーによりボディーのロールを抑制する「ダイナミック・ドライブ」がオプションで用意される。

740iの直列6気筒ツインターボエンジン740iのトランクルーム。ゴルフバッグが4個入っていた

 速度に応じて自動的に前輪の舵角を調整し、高速での安定した操舵と低速での小回りを両立させる「アクティブ・ステアリング」は、車速感応式後輪操舵を加えた「インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング」に進化。60km/h以下では前輪と逆方向に、80km/h以上では前輪と同方向に後輪を切ることで、さらに小回り性能と高速レーンチェンジの安定性を向上させたとしている。さらにエンジンレスポンス、ダイナミック・ダンピング・コントロール、シフトスケジュール、ステアリングのパワーアシスト量、ダイナミック・スタビリティ・コントロールなどを、コンフォートからスポーツ・プラスまでの4段階で統合調整できる「ダイナミック・ドライビング・コントロール」を標準で装備する。

 オプションで、カメラにより車線を監視し、逸脱時にステアリングホイールを振動させて警告する「レーン・ディパーチャー・ウォーニング」や、夜間でもキドニーグリル内の赤外線カメラで捉えた前方の映像を表示し、歩行者を検知すると警告を表示する「ナイトビジョン」などの安全装備が用意される。また750i、750Liはフロントウィンドウに車速やカーナビのガイダンスなどを表示するヘッドアップディスプレイを標準で装備する。

750Li(左)と740iの運転席。ドライバー側に向いたセンターコンソールが復活した。メーターパネル下端から上の領域がディスプレイ、それより下が操作系、センターコンソールから右が運転用操作系、左が快適装備用操作系と分けられている
イグニッションOFFでは真っ黒なブラックパネルに、イグニッションONでメーターが表示される。OFFではメーター下部の縁取りが切れているが、ONでつながって輪になるのもポイント
750Liのリアシート。オプションでマッサージ機能や、リア・エンターテインメント・システム(シートバックの9.2インチモニターとセンターアームレストのiDriveコントローラーなど)が付く
740iのリヤシート。展示車には4ゾーンオートエアコンが装着されていたが、ショートモデルではこれはオプション
オプションの歩行者検知機能付きナイトビジョンの赤外線カメラは、キドニーグリル内に置かれる。このため、ナイトビジョン装着車のキドニーグリルは非装着車よりも格子の目が粗い。赤外線カメラの下の突起はウォッシャーナイトビジョンの映像ナイトビジョンやレーン・ディパーチャー・ウォーニングのスイッチはライトコントロールの下にある
オプションのサイドビューカメラは前輪の前に。リア・ビュー・カメラは標準装備ヘッドアップ・ディスプレイの投影口ETC車載器の入ったルームミラー。その前にレインセンサーとレーン・ディパーチャー・ウォーニング用カメラが付く
6速ATのセレクターはセンターコンソールに戻ったセレクター脇のダイナミック・ドライビング・コントロールのスイッチダイナミック・ドライビング・コントロールのスポーツモードは、ユーザーが調整可能
iDriveコントローラーはMAPボタンなどが増えた最新型ディスプレイは10.2インチ、1280×480ピクセル。フルセグチューナーやミュージックサーバー機能も備える

ActiveHybridを国内初公開
 同社は、3月24日に都内で報道関係者向けの発表会を開催。ここで同社のローランド・クルーガー社長は、2010年に日本市場に投入する7シリーズのハイブリッドモデル「ActiveHybrid」のコンセプトカーを披露した。

 ActiveHybridは750i、750LiのV型8気筒 ツインターボエンジンを電気モーターでアシストするハイブリッド車で、約15%燃費を改善できるという。ActiveHybridの日本投入はすでに発表されており、パリモーターショーなどでもコンセプトカーが展示されているが、国内で披露したのはこれが初めて。

 発表会ではエンジンフードとトランクリッドを開け、パワートレーンやバッテリーを見せた。とくにバッテリーはリチウムイオンを採用しているだけに、非常に小さくまとまっているのが印象的だった。

 クルーガー社長は新型7シリーズを「BMWを体現する真のフラッグシップ、BMWグループの能力を表すもの」と表現。カーナビやサスペンションのセッティング、マン・マシーン・インターフェイスについては日本に開発者を常駐させて日本仕様を作ったことを明らかにし、日本市場へのコミットをアピールした。

Concept 7 Series ActiveHybridActiveHybridのエンジンルームActiveHybridのバッテリー
歩行者検知機能付きナイトビジョンブレーキ・エネルギー回生システムカーナビやサスペンションは日本仕様
発表会の会場は、神宮絵画館脇に特設された会場入口に置かれた7のモニュメント


750Li
730d(日本には導入されていない)
4.4リッターV型8気筒ツインターボエンジン3リッター直列6気筒ツインターボエンジン

 

(編集部:田中真一郎)
2009年 3月 24日