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ポルシェ、新開発の水平対向4気筒エンジンを搭載した「718 ボクスター」発表会

718 ボクスター Sはニュル北コースで先代比16秒短縮の7分42秒をマーク

ポルシェ ジャパン株式会社 代表取締役社長 七五三木敏幸氏と、サプライズゲストとして登場したオーストリア・ブンデスリーガのFCレッドブル・ザルツブルクに所属する南野拓実選手

 ポルシェ ジャパンは6月1日、2月1日に予約受注を開始した新型「718 ボクスター」「718 ボクスター S」の発表会を都内で開催した。

 1950~1960年代にさまざまなレースで活躍した水平対向4気筒エンジンを搭載する「718」へのオマージュからそのネーミングが与えられた新型ボクスターは、従来のボクスターシリーズで採用していた水平対向6気筒エンジンから水平対向4気筒エンジンに変更。718 ボクスターは先代比で35PS/100Nm増となる水平対向4気筒 2.0リッターターボエンジン(300PS/380Nm)を、718 ボクスター Sは35PS/60Nm増となる水平対向4気筒 2.5リッターターボエンジン(350PS/420Nm)を搭載し、それぞれに6速MTまたは7速PDK(オプション)を設定する。

水平対向4気筒 2.0リッターターボエンジンを搭載する「718 ボクスター」。6速MT仕様は658万円、7速PDK仕様は710万4000円。ボディサイズは4379×1801×1281mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2475mm
718 ボクスターのインテリア

 デザインに関しても刷新され、エクステリアではパーキングライトとインジケーターライトを収めた新デザインのフロントライト、ターボエンジンを搭載していることを示す大型化されたフロントエアインテーク、リアアクスル前方の各エアインテーク内に設けられた2つのルーバー、左右のテールランプをつなぐように備わるポルシェロゴとアクセントストリップ、LEDを採用したブレーキランプなどが特徴になっている。

 また、インテリアでは新デザインのダッシュボードパネルを採用するとともに、「918 スパイダー」と同じデザインとなる直径375mmのスポーツステアリングホイールを装備。さらにこれまで日本仕様には設定のなかったマルチメディア・システム「PCM(ポルシェ コミュニケーション・マネージメントシステム)」が大幅なバージョンアップを受け、ボイスコントロールのSiriを含めた「Apple CarPlay」にも対応した。

こちらは水平対向4気筒 2.5リッターターボエンジンを搭載する「718 ボクスター S」。6速MT仕様は852万円、7速PDK仕様は904万4000円。ボディサイズは718 ボクスターから全高が1mm低くなる以外は同様
ルーフを閉じているところ

 なお、ボクスターとケイマンの価格について、これまではケイマンの方が価格帯が高かったが、718 ボクスターと718 ケイマン(4月28日受注開始)ではこれが逆転。718 ボクスターは658万円~~904万4000円、718 ケイマンは619万円~865万4000円となっている。

会場に展示されたガルフカラーの「917」
ポルシェ ジャパンは若手アスリートをサポートする「ドライビングアスリート契約」を行なっており、南野選手とも契約を結んでいる

自動車を運転する歓びと楽しみを提供することがポルシェの使命

ポルシェ ジャパン株式会社 代表取締役社長 七五三木敏幸氏

 記者発表会の冒頭で登壇したポルシェ ジャパン 代表取締役社長の七五三木敏幸氏は、「今回発表させていただく718 ボクスターは、ポルシェ ジャパンはもとより本国ポルシェにとって極めて重要な戦略的なモデルとなる。1993年1月のデトロイトモーターショーで発表された初代ボクスターは、当時純粋なコンセプトカーであったにも関わらず、非常に高い反響を呼んだ。これを受けて1996年に販売が開始され、瞬く間に多くの熱烈なファンを生み出した。1990年代前半に経営的に難しい局面を迎えていたポルシェにとって、ボクスターはまさに起死回生のニューモデルとなり、生産システムの全面的な刷新も合わせてポルシェの復活、成長の旗印となったモデルになる」「ミッドシップレイアウト、操作性に優れた電動幌を装備しながら剛性に優れたボディなど、当時ほとんどライバルが存在しなかった初代ボクスターは、私どもポルシェ ジャパンの基礎を築くうえでも極めて重要なモデルだった。2.5リッターのフラット6エンジンは高回転型で、5速MTおよび5速ティプトロニックSと組み合わせることによってスポーツカーとして独特で痛快なパフォーマンスを発揮したことを思い出す」と、当時を振り返る。

 そして今回の718 ボクスターについては、「そんなボクスターも本日まったく新しいコンセプトを持つ718 ボクスターに生まれ変わる。当初2.5リッターのラインアップのみだったボクスターのラインアップは、1999年に3.2リッターのSモデルを加えベースモデルの2.7リッターへの拡大、そしてコードネーム986から987へ、そしてこれまで販売してきた981へと着実な進化を続け、今回の718 ボクスター(コードネーム:982)へとバトンが受け継がれることになる」とコメント。

 一方、「欧州においては、2020年末までに一部の例外をのぞいて二酸化炭素の排出量を95g/km以下にするという非常に厳しい規制が施行される見込みになっている。すでに日本でもおなじみになっているPHV(プラグインハイブリッド)だが、こういった厳しい規制をクリアするモデルを遅れなく皆様にお届けすることが我々に課せられた社会的責任。一方、A地点からB地点へ高い効率で移動することだけを追求するのではなく、自動車を運転する歓びと楽しみを、お選びいただいたすべての方に提供することが私どもポルシェに課せられた大きな使命だと考えている。そのため、環境対応はもちろん対応していくが、これに加えてポルシェにとって企業アイデンティティとも言えるモータースポーツへの参戦、そしてそこからもたらされる技術的フィードバック。これは非常に重要だと考えている。3週間後には、ル・マン24時間レースを迎える。2連覇をかけて参戦する919ハイブリッドなど、モータースポーツの現場で培ったテクノロジーを市販車に活かすことはポルシェの変わりない姿勢。本日発表する718 ボクスターは、もちろんそれらのテクノロジーが脈々とこのクルマに活かされている」とアピールした。

ポルシェ ジャパン株式会社 広報室 木内洋治氏

 製品のプレゼンテーションは広報室の木内洋治氏が担当。

 718 ボクスターのエクステリアでは、フロントフードとフロントウィンドウ、ソフトトップのみ先代から受け継ぎ、それ以外はすべて刷新。新デザインのバイキセノンヘッドライトを装備するとともに、4灯式のデイタイムランニングライトを備えたLEDヘッドライトをオプションで設定した。サイドビューでは新デザインのドア、V字型アームを持つドアミラー、リセスカバーのないドアハンドルを採用したほか、ホイールは718 ボクスターでは18インチ、718 ボクスター Sでは19インチを標準装備し、さらにオプションで20インチを設定。これらのリアホイールは先代からリムが0.5インチワイド化され、横方向のスタビリティ強化が図られているという。

 また、もっとも変更を受けたのがリアまわりとなっており、LEDを採用した4灯式ブレーキランプをはじめ、ブレーキランプを結ぶ黒いアクセントリアストリップ、空力に優れたリアスポイラーなどが与えられている。

エクステリアデザインのハイライト

 パワートレーンについては、718 ボクスターが最高出力220kW(300PS)/6500rpm、最大トルク380Nm/1950ー4500rpmを発生する水平対向4気筒 2.0リッターターボ、718 ボクスター Sが最高出力257kW(350PS)/6500rpm、最大トルク420Nm/1900ー4500rpmを発生する水平対向4気筒 2.5リッターターボという新開発のエンジンを搭載。

 いずれも部分負荷領域で排気のバイパスバルブを閉じ、イグニッションタイミングを遅延させつつスロットルをわずかに開くことで、エンジンへの供給空気量と過給圧を増大させるという「プレコンディショニング」、フル加速中の一時的なアクセルOFF時に、燃料噴射を停止しながらスロットルは開き続け、過給圧の低下を防ぐことで再度のアクセルON時のレスポンスを高める「ダイナミックブースト」という機能を採用しているのが特徴。さらに718 ボクスター S向けのユニットでは、新しい911 ターボ系と同様の可変ジオメトリー式ターボチャージャーが採用されているのもポイントになっている。

 なお、プレゼンテーション後に行なわれた質疑応答では、新型ボクスターの直接的なライバルはどのモデルなのかという質問も。これについて、メルセデス・ベンツ「SLK」、BMW「Z4」という欧州勢とともに、レクサス(トヨタ自動車)「RC F」や日産自動車「GT-R」もそれに該当すると説明されている。

搭載エンジンについて
4気筒エンジンの実力はWEC参戦車両で実証済み
エンジン出力は先代から大きく向上
採用技術について
新開発ターボチャージャーを搭載
ターボチャージャーにまつわる新機能
クーリング技術について
0-100km/h加速と最高速
シャシーについて
ステアリングについて
オプションのPASMスポーツシャシーを選択すると車高が20mm低くなる
ステアリングに備わるスポーツレスポンスボタンでモード選択が可能
PSMスポーツモード
ブレーキまわり
ニュルブルクリンク北コースでのタイムアタックで、先代から16秒短縮の7分42秒(718 ボクスター S)をマークした
インテリアとコネクティビティ
Apple CarPlayに対応
ナビゲーションも進化した