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【オートモビル カウンシル】ホンダブースで歴代オープンコンパクトスポーツを展示

ホンダコレクションホールでもめったに見学できない「スポーツ360」も出展

2016年8月5日~7日 開催

 幕張メッセ(千葉県千葉市)で8月5日~7日に開催されている「オートモビル カウンシル2016」に、ホンダもブース出展をしている。ホンダブースのコンセプトは「新旧の小型スポーツカーの展示」ということで、「スポーツ360」「S600」、そして最新の「S660」の3台が展示されている。

 見どころになるのは、1962年の第9回 全日本自動車ショウで発表された軽自動車のスポーツカーであるスポーツ360だ。ホンダの“Sシリーズ”において、軽自動車規格のモデルはこのスポーツ360と現在発売されているS660だけということで、S660の先祖と言える存在だと説明されていた。

 スポーツ360は当時の軽自動車の規格に合わせて作られたクルマで、エンジン排気量は356ccの直列4気筒DOHC。最高出力は33PS/9000rpmと、当時としては圧倒的な高性能を誇っていた。そして駆動方式はスポーツカーらしいFRとなっており、非常に魅力的な存在であった。

ホンダ スポーツ360
1962年にデビューしたが、発売されることなく終了したスポーツ360。この車両は2012年になってS600のボディの一部や「T360」のエンジン、そしてスポーツ360のオリジナルパーツなどを使い復刻されたもの

 ただ、実際に市販されたのは、欧米への輸出も意識して排気量やボディサイズが大きくなった「S500」だった。そのため、スポーツ360はショーモデル用に作られた1台のみという幻のクルマとなり、ショーモデルもいつしか失われた。

 そんなスポーツ360の発表から50年が経過した2012年に、本田技術研究所の「技術伝承プロジェクト」によって復刻車が製作された。今回展示されているのはそのクルマである。

 車両はツインリンクもてぎ内にある「ホンダコレクションホール」に所蔵されているが、この博物館の展示車は過去に市販されたクルマが中心になっているので、試作車であるスポーツ360はなかなか展示場に置かれることはないという。それだけに、今回のオートモビル カウンシル2016での展示は貴重なものと言えるだろう。

スポーツ360のオリジナルエンブレム
スポーツ360のインパネまわりとシート。エンジンは9000rpmまで回る仕様となっており、車重は510kg
タイヤはBFグッドリッジで、サイズは6.20-12のバイアスタイヤだ

 S600は、S500がデビューした数カ月後に発売された排気量アップモデル。S500が44PS/8000rpmだったところを57PS/8500rpmとされた。外観上ではフロントグリルを大型化して、バンパーのデザインも変更された。のちにクーペモデルも発売され、世界中でヒットしたクルマになった。レースにおいては鈴鹿サーキットで開催された第2回 日本グランプリでデビュー。1000cc以下の「GT-1クラス」で1~4位を独占する速さを見せた。

ホンダ S600
S600はエンジンの排気量アップに合わせ、冷却効果を高めるためフロントグリルを広げた。普段はホンダコレクションホールで展示している車両
S600のエンブレム。ベースがスポーツ360だけに、デザインは同じ傾向
エンジンは606ccの水冷直列4気筒DOHCで最高出力は57PS/8500rpm。車重は715kg。当時の価格は50万9000円
展示車ではブリヂストン製タイヤを装着。サイズは6.15-13で、ホイールサイズは13×4J

 そして現行モデルのS660。Sシリーズの最新モデルだが、唯一となるミッドシップレイアウトを採用し、現代のコンパクトスポーツカーの理想を示す存在としている。

 ホンダブースはこの3台のみの展示だが、そこで表現しているのはホンダSシリーズの54年に渡る歴史なので、会場に来た際は駆け足で見学するのではなく、1台1台から歴史の重みを感じ取ってほしい。

ホンダ S660
キャビン後方にエンジンをレイアウトし、Sシリーズ唯一のミッドシップ車となっている
ほかのSシリーズと比べてすっきりと普通っぽいエンブレム。サイドにエンブレムはなく、車名エンブレムはリアのみに配置
歴代Sシリーズと比べてデザインはまるで違うが、タイトな車内で操作系パーツに囲まれる感覚は同じ。シートに座るだけでワクワクするテイストを受け継いでいる
半世紀に渡る時代の流れがはっきり出るのがタイヤチョイス。S660はミッドシップなので前後異径サイズとなり、フロントは165/55 R15、リアが195/45 R16