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ダイハツ、新型軽乗用車「ムーヴ キャンバス」発表会
30歳前後の未婚女性をターゲットに、なんでも“できる”バス
2016年9月8日 12:17
- 2016年9月7日 実施
ダイハツ工業は新型軽自動車「ムーヴ キャンバス」を9月7日から全国一斉に発売した。ムーヴ キャンバスの詳細については別記事で紹介しているので、ここでは女優の高畑充希さんが登場した発売イベントの前に行なわれた報道向け発表会の模様を紹介しよう。
報道発表会に出席したのは上級執行役員 開発本部長の上田亨氏、ブランド・DAN室 主査 北野恵睦氏、製品企画部 主査 大澤秀彰氏。そして質疑応答には取締役(専務執行役員)管理センター長 松下範至氏、Dブランドオフィス担当の成瀬修氏に発表会から引き続きの上級執行役員 開発本部長の上田亨氏というメンバーだ。
女性のライフスタイルに寄り添える軽自動車
それでは、最初に壇上に上がった上級執行役員 開発本部長の上田氏のコメントから紹介していこう。
「ダイハツは8月1日に新体制のダイハツとしてスタートし、来年3月には創立110周年という節目を迎えます。それを直前に控えたこの時期に発表するムーヴ キャンバスは、次の100年に向けた新しい一歩になるクルマです」「ダイハツは軽自動車市場のなかでトップメーカーとして多様化するユーザーのニーズに応えていくため、ミライースやタントという基幹車種に加え、キャストやウェイクなどラインナップを提案してきましたが、市場のニーズにさらにきめ細かく対応していくため、近年の女性の指向である“ふだんの暮らしを少しだけ変えてみる”“日常に変化を与えそれを楽しむ”といったことに着目し、そういった考えを持つ女性のライフスタイルに寄り添える軽自動車を目指して企画、開発したのがムーヴ キャンバスです」(上田氏)ということだった。
そのポイントとして挙げられたのはまずデザイン。「デザインについては女性ユーザーの心を掴むスタイリングを追求し、“こんな機能があったらうれしいな”という気持ちに応えるための機能もさまざま盛り込みました。例えば買い物をしてクルマに戻ってきたとき、食料品などは袋に入っていようとも足元スペースに起きたくないし、かといってシートにおいても不安定と置き場に悩むケースがあります。そういったことに対応したのが後席シート下に採用した“置きラクボックス”で、これは手早く安定して荷物を置くことのできる新発想のアイテムです」(上田氏)という。
「このほかにも夜間走行時に進行方向を照らすヘッドライト(ステアリング連動ヘッドライト)や、駐車や狭い道で運転をサポートするパノラマモニターなど、これは便利だと感じていただける機能を満載しています。ムーヴ キャンバスは女性のライフスタイルに寄り添う1台としてピッタリの存在に仕上がったと考えています」「今後のダイハツは低燃費、低価格、省資源を実現するコア技術の開発と多様化するユーザーのニーズに対応する商品バリエーションの拡充に取り組んでまいります」(上田氏)ということで上田氏の発言は終了した。
親との同居比率、軽自動車ユーザーに絞り込むと約8割に
次に、ブランド・DAN室 主査 北野恵睦氏からムーヴ キャンバスの商品企画についての説明が行なわれた。まずは企画背景からだ。
「ここ数年、ダウンサイジングを加速させるべく、男性ユーザーを意識した商品を相次いで投入してきた一方、女性ユーザー向け商品が手薄になっていたという状況でした。それによって弊社が本来得意とする女性ユーザー、とくに未婚女性の方がジワジワと減少してきているという状況です。しかし、今後はますます女性が中心になっていく時代なので、女性向けの新商品が必要と考えました」(北野氏)ということだった。
しかし、ひと言に女性といっても、どの層にフォーカスをするのかは重要になる。ここでダイハツが着目したのは30歳前後の未婚女性であった。
「ライフステージのあとずれ、晩婚化ということが一般化しているこの時代は親との同居比率も高まり、いわゆる大人世帯が拡大してきています。これは軽自動車ユーザーに絞り込むとさらにその傾向は強まります。同居比率は約8割で、クルマを購入するときは親と相談し費用を負担してもらうというものです。それによって自分が気に入ったクルマを少々高くても購入する傾向にあります。そうしたことからクルマの世帯内シェアも増えていて、夜間や週末は娘世代が遊びなどに使い、平日の昼間帯は親が日常用途に使うという使い分けがされています。クルマ自体のニーズに関しては、娘世代は見た目を重視、親世代は機能をより重視するというようにわけられます。これは言い換えればお洒落で使い勝手のよいクルマが求められているということになります」(北野氏)というように、こういったあたりがムーヴ キャンバスの商品企画の根本になっているとのことだった。
ユーザー層の狙いについては、「メインターゲットは大人世帯で家族構成は未婚の子と親で、世帯内の相互満足、家族円満、明るく楽しくという想いをこめて‘親子の暮らし応援、ハートウォーミングワゴン’というコンセプトにしました。セールスポイントは3つあり、ひとつは“いきいきパッケージ”、そして“ゆうゆうユーティリティ”に“わくわくデザイン”となっています。これはムーヴの基本性能にタントの機能、ココアのお洒落さという、ダイハツの軽自動車のいいところ取りベストミックスということであります」(北野氏)ということだ。
最後にネーミングとプライスについて。「ネーミングは約140案のなかから絞り込み、親と娘それぞれが同じクルマに乗りあって、自由に生活や暮らしを描き、色々な可能性を広げられるクルマということから、画を描く帆布であるキャンバス、と英語のCAN(なんでもできる)そして乗りあえるクルマを示すBUSから、canbusとなりました。プライシングの考え方についてはタントとムーヴの間にポジショニングし、選びやすい3グレード体制を基本に機能と意匠を組み合わせられるいう考え方です」(北野氏)とのこと。
デザインコンセプトは“ス・テ・キ”と“リラックス”
3人目に登場したのは製品企画部 主査 大澤秀彰氏が、商品企画について説明した。
「まずはデザインです。コンセプトは“ス・テ・キ”と“リラックス”ですおおらかでシンプルな丸みのあるシルエットや、水平基調で伸びやかなロングキャビンシルエットなどをシンプルながらこだわりを感じる造形で素のよさを演出しています。また、今回はベースのよさを引き立てる専用加飾も用意するなど、クルマへの愛着を感じさせる仕掛けをプラスしています。またランプ類は丸形を採用し、普遍的で愛らしいデザインとしました」(大澤氏)
続いてインテリアについて「インテリアはシンプルで柔らかい印象で飽きの来ない造形としています。またパノラミックで居心地のいい室内空間といたしました。インテリアに関しては、個性的な差し色を採用して愛着の湧く室内をコーディネートしました、さらに女性でも簡単に取り付け、取り外しができるシートクロスをオプションで用意しました。こちらのシートクロスは洗濯可能な素材を使っているので付け外しの容易さとあわせて汚れたときは自分で洗濯できるようになっています」(大澤氏)という実用面で優れている機能もある。
パッケージングについての特徴だが「ひとつめはムーヴクラス初となる両側スライドドアの採用です。このスライドドアに加えて後席を荷室として活用できる置きラクボックスの組み合わせで、荷物を積み、クルマに乗りこむという動線を最小限に抑える新提案の置きラクレイアウトを実現しました。続いてはダイハツ初採用となるパノラマモニターについてです。前後左右を4つのカメラで映すことで真上から見たような映像をナビ画面で確認できます。また、見通しの悪い交差点や狭い道路でのすれ違い時もナビ画面で見えていない部分を確認でき、運転をサポート致します。そしてふたつ目の特徴は軽自動車初採用になるステアリング連動LEDヘッドランプです。これはカーブや交差点を曲がるときにステアリングの操舵角度にあわせてヘッドライトが進行方向を照らすので、夜間走行時の安心感が向上します。またハイビーム時も同様に照射方向が変わります」(大澤氏)ということだった。
最後は基本性能について。「ムーヴ キャンバスは主に街乗りシーンを主眼にした扱いやすい基本性能としました。アンダーボディの最適補強やステアリングの最適制御を行ない街乗りでの安定性能を実現しています。累計販売台数100万台を突破したスマートアシストについても、ムーヴ キャンバスにはカメラを搭載したスマートアシスト2を搭載し、カメラとレーザーレーダーによって安全と安心をサポートします。燃費性能につきましてはe:Sテクノロジーを採用することで、2WDはエコカー減税、免税プラスと致しました。4WDについてもエコカー減税対象となっております」(大澤氏)というところで、この日予定されていたムーヴ キャンバスについての発表が終了した。