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【2017 NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レース】ダラーラCEOがスーパーフォーミュラ次期マシンの開発開始を示唆
ヨコハマ 秋山開発本部長は2017年の新タイヤについて解説
2017年4月23日 08:45
- 2017年4月22日 開催
日本の最高格式のレースシリーズとなるスーパーフォーミュラを主催するJRP(日本レースプロモーション)は、スーパーフォーミュラのレースが開催される週末の土曜日に、サタデーミーティングと呼ばれる記者会見を開催している。
4月22日~23日開催のスーパーフォーミュラ開幕戦「2017 NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レース」においても、予選日の4月22日にサタデーミーティングを開催した。
サタデーミーティングにはスーパーフォーミュラの現行シャシー「SF14」コンストラクターであるダラーラ(DALLARA)のCEO(最高経営責任者) アンドレア・ポントレモーリ氏も登壇。「SF14の後継シャシーは、SF14と同じプロセスで進めている」と述べ、SF14の後継シャシーの開発に着手していることを示唆した。
スリック、ウェットそれぞれで構造を変更した新タイヤを投入した横浜ゴム
今回開催されたサタデーミーティングでは、横浜ゴムのモータースポーツ部門となる、ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル 開発本部長 秋山一郎氏が登壇し、横浜ゴムがワンメイク供給しているスーパーフォーミュラ用アドバンレーシングタイヤの2017年型についての説明を行なった。
──秋山さんから今年のタイヤの狙いを説明してほしい。
秋山氏:横浜ゴムとして、スリックタイヤとレインタイヤをそれぞれ昨年のモデルから変更している。スリックタイヤに関しては構造変更を行なっており、コンパウンド(筆者注:タイヤのゴム部のこと)に関しては不変で、昨年ミディアムと呼んでいたモノをそのまま利用している。レインの方は、前後とも構造変更を行なっており、コンパウンドに関しては(昨年の)菅生戦から使っているソフトと呼んでいたモノに一本化した。昨年ミディアムと呼んでいたものは、発熱に課題があるなどして難しいと判断したので、ソフト側に統一した。
スリックタイヤに関しては、限界付近で唐突に限界がくると指摘があったので、それを改善することを狙っている。コーナリング特性を見る限り、それは狙いどおりになっている。レインに関してはウェットグリップを上げることが目標で、それに加えてフロントはアンダーをなくし、リアはトラクションを向上させている。全体的にウェットグリップは上がっているが、富士のテストでは気温が低すぎてまだ完全には試せていない。
──確認だが、構造を変えたというが、スリックとウェットではそれぞれ違う構造に変えたということか?
秋山氏:そうだ、構造は異なっている。
──新しいタイヤにしてチームからの評価はどうか?
秋山氏:クルマの状態にもよるが、概ね唐突さがなくなってコントロールし易くなったという評価をいただいている。剛性で硬い、柔らかいを一言では言えないが、高荷重域での剛性は上がっている。ただ、コーナーで荷重が抜けるときの挙動に関しては、ドライバーさんの腕の見せ所が残っていると思う。
──今シーズンはこのスペックのタイヤで最終戦までやるということか?
秋山氏:基本的にはそうだ。昨年もてぎ戦でやった2スペックに関しても、運用面では課題があった。ただ、タイヤサプライヤーとしてはそういう可能性があるのであれば前向きに検討していきたい。
──先ほどのセッションで、2選手が鈴鹿サーキットのコースレコードを破っているが想定内か?
秋山氏:そうだ、レコードは破りたいと思っていた。テストで35秒台が出ていたので、感触としては持っていた。午後の予選で公式なタイムがでることを期待している(このサタデーミーティングは予選前に行なわれている。予選では中嶋一貴選手がコースレコードでポールポジションを獲得)。
──レース中にタイヤ1本を換えないといけないというルールに対するチーム戦略の推奨パターンは?
秋山氏:1本交換というレギュレーションが非常に難しい。特にトップの方にいる人が難しく、中位より下は1周目に入って摩耗状態の進んでいないタイヤを利用するという選択はあるだろう。特に予選で下位になったチームはタイヤもあまっているだろうから最初に換えるのがセオリーだと思う。1本交換は難しいとは思うが、作業にかかれる人数が限られているので、その範囲内ではありかもしれない。
SF14の後継シャシーに向けてSF14と同じような開発プロセスを進めているとダラーラCEO
会見の後半ではスーパーフォーミュラの現行シャシーであるSF14のコンストラクターであるダラーラのアンドレア・ポントレモーリ CEOが登壇し、スピーチを行なった。ポントレモーリ氏は「スーパーフォーミュラは最高レベルのフォーミュラカーシリーズの1つで、そんなシリーズでパートナーを務められることを誇りに思っている」と挨拶。初めて訪れたというスーパーフォーミュラの感想などを語った。以下は、報道関係者との質疑応答になる。
──現行シャシーのSF14はすでに4年目だが、今後に関しての計画を教えてほしい。
ポントレモーリ氏:JRPをはじめとしているパートナーと議論している。今後はSF14のときと同じような仕組みで進んでいくことになると思う。ダラーラには3つの機能がある。1つはカーボンファイバーを利用したシャシーを製造することとレーシングカー製造のコンサルティング。2つめはCFD(筆者注:コンピュータ流体力学)や自前の風洞施設を利用した空力開発、そして3つめが製造に入る前のドライビングシミュレータ。
SF14のときには、弊社のイタリアのオフィスにホンダ、トヨタそれぞれのドライバーに来てもらい、シミュレータで性能を確認してもらい、それにより性能のレベルを変えた。現在我々は次のシャシーに向けて同じプロセスを進めている。
──アジア市場に向けた戦略を教えてほしい。
ポントレモーリ氏:現在アジアではスーパーフォーミュラのみだが、ご存じのとおり弊社は世界で一番大きな商用ベースのフォーミュラカーメーカーで、スーパーフォーミュラのほかにも、F1のハースへのシャシー供給、インディ、インディライツ、F2、GP3、F3などさまざまな取り組みを行なっている。
我々にとって次の大きな市場はル・マンだと考えていて、特にアジア市場には注目している。また、F3は世界で使われている規格で、やはりアジアでは今後需要が増えていくのではないかと思っている。