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トヨタ、WRC復帰初年度はドライバーズ選手権4位でシーズンを終える

シーズンを終えたチーム総代表の豊田章男氏コメント全文

2017年11月20日 発表

ヤリスWRC 10号車(ヤリ-マティ・ラトバラ、ミーカ・アンティラ組)

 2017年FIA世界ラリー選手権(WRC)の最終戦となる第13戦ラリー・オーストラリアが11月19日(現地時間)に終了。18年ぶりにWRCへ復帰したトヨタ自動車は、初年度にシーズン2勝を記録。ドライバーズ選手権の最上位4位、マニュファクチャラーズ選手権3位でシーズンを締めくくった。

 オーストラリア東海岸のコフスハーバーを中心に行なわれた第13戦ラリー・オーストラリア。TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは、エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(ヤリスWRC #11号車)が総合6位でフィニッシュ。総合2位につけていたヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(#10号車)は最終SSでコースオフしてリタイア。

 同大会の結果は、ヒュンダイ「i20 クーペ WRC」のティエリー・ヌービル/ニコラス・ジルソー組が優勝。2位はフォード「フィエスタ WRC」のオット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組、3位はヒュンダイ「i20 クーペ WRC」のヘイデン・パッドン/セバスチャン・マーシャル組となった。

 これにより、2017年シーズンのドライバーズランキングは、フォード「フィエスタ WRC」のセバスチャン・オジエ選手が232ポイントで2017年のチャンピオンを獲得。2位はヒュンダイ「i20 クーペ WRC」のティエリー・ヌービル選手(208ポイント)。3位はフォード「フィエスタ WRC」のオット・タナック選手(191ポイント)。

 トヨタはヤリスWRC 10号車のヤリ-マティ・ラトバラ選手(136ポイント)の4位が最高位。

 一方、マニュファクチャラーズランキング1位はM スポーツワールドラリーチーム(428ポイント)、2位はヒュンダイ・モータースポーツ(345ポイント)、3位はTOYOTA GAZOO Racing WRT(251ポイント)、4位はシトロエン・トタル・アブダビ・ワールドラリーチーム(218ポイント)となった。

ドライバーズ選手権でトヨタ最上位の4位となったヤリ-マティ・ラトバラ選手

 最終戦でリタイアとなったラトバラ選手は「もちろん、このような形でシーズンを終えたくはありませんでしたが、これもまたラリーというスポーツです。今は前向きな気持ちになれなくとも、すべての経験から学べることはあり、決して無意味ではないと思います。パワーステージではチャンスを求めて全力でアタックしましたが、全開で走ればこのようなことも起こり得ます。リタイアする前まではよい戦いができていましたし、今朝も序盤は1位との差を縮めることができました。しかし、結果を残すことができずチームに対して申し訳ない気持ちでいっぱいです」と述べるとともに、2017年シーズンに関しては「今年、チームは自分の予想を大きく超える素晴らしい体制を整えてくれました。心から感謝をしています」とコメントしている。

 2017年シーズンが終了して、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのチーム総代表 豊田章男氏のコメントが公開されているのでここに全文掲載する。

 世界ラリー選手権での我々の戦いを1年間、応援してくださったファンの皆様ありがとうございました。18年ぶりに復帰した我々にとって、皆様からの「がんばってね!」や「帰ってきてくれてありがとう」といった声援は何よりの励みになりました。私自身も4月にツール・ド・コルスに行き、沿道のファンの方々が、目の前を通り過ぎるヤリスWRCにドライバーにも届きそうなくらいの大きな声で「GAZOO!」と叫んでくれている姿を見て大変感激いたしました。モータースポーツはファンの方々があってこそ…と、改めて感じます。

「もっといいクルマをつくりたい…そのためには、世界中の様々な道でクルマを鍛えたい…」。

 そういう想いでWRCへの復帰を果たしました。シーズンが始まる時、トミ(マキネン代表)と約束したのは「最終戦が終わった時のヤリスが一番強くなっているようにしよう」ということでした。トミをはじめチームのみんなは本当に心をひとつにして、この1年を戦い抜き、そして学び続けてくれました。また、自身がチャンピオンドライバーであったトミだからこそのクルマづくりやチームづくり、そしてドライバーとのコミュニケーションがとても効果的であったとも思います。初優勝のスウェーデンでは首位で最終日を迎えたラトバラ選手にトミは「最後まで全開で行け!」とアドバイスをして送り出しました。トミにしか言えない言葉だったと思います。またラッピ選手が初優勝を果たし、共にクルマをつくりあげたハンニネン選手が初の表彰台を獲得したフィンランドでは、選手達よりも嬉しそうな顔をトミはしていました。トミが、ドライバー達とも気持ちを通じ合わせ、共に戦ってきたからこその表情だなと思いながら、その瞬間を見ていたことを印象深く覚えています。そんな彼の下、全力を尽くしてくれたチーム員全員に、心から感謝しています。

「ありがとう、そして、お疲れ様でした!」。

 言うまでもなく、スウェーデンとフィンランドで優勝できた時は、最高に嬉しい瞬間でした。しかしながら順位が振るわなかったラリーこそ、我々自身にまだ力が足りないと道が教えてくれたラリーだと思います。最終戦オーストラリアでも最後の最後に表彰台を目前にしたラトバラがストップしてしまいました。まだ我々には足りない何かがあるのだと思います。そうした経験を繰り返せることが私どもにとっては、より嬉しいことでもありました。ここで学んだことは、WRCチームだけでなく、量産車開発をしているメンバーにも、すでにフィードバックされています。次に我々がつくるクルマには、世界の道とヤリスWRCが我々に教えてくれたことが盛り込まれてまいります。こうして、この道を走り続け、もっといいクルマを追い求めていきたいと思います。

 来年は、新しいドライバー、コ・ドライバーも加わることが決まり、さらに高みを目指す1年にしてまいります。もっといいクルマづくりにも、学びにも、終わりはありません。全力で戦ってまいりますので、引き続き、応援いただきますよう、よろしくお願いいたします。