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マツダ決算説明会、トヨタとの米国合弁工場は知恵を出し合い“世界一効率がいい新工場”を目指す
2018年3月期 第3四半期9カ月累計で過去最高の118万6000台を販売
2018年2月7日 20:56
- 2018年2月7日 発表
マツダは2月7日、2018年3月期の第3四半期9カ月累計期間(2017年4月1日~12月31日)決算内容を発表し、都内で決算説明会を開催した。
2018年3月期の第3四半期9カ月累計における売上高は前年同期比8.5%増の2兆5479億円、営業利益は同5.1%増の1071億円、当期純利益は同6.2%増の849億円。グローバル販売台数は同2.1%増の118万6000台で、これは過去最高の販売台数としている。
2018年3月期の通期見通しは、グローバル販売台数160万台、営業利益1500億円、当期純利益1000億円などは据え置きとしたが、前提とするユーロの為替レートを実勢レベルに合わせて127円から130円に修正。これにより、売上高の見通しを3兆3500億円から3兆5000億円に上方修正している。
決算説明会ではマツダ 常務執行役員 企画領域統括補佐、財務担当の藤本哲也氏が登壇して決算内容について解説。前年同期比2.1%増の118万6000台となったグローバル販売台数は、新型「CX-5」がグローバルで販売に貢献したことに加え、中国市場での好調な販売が台数成長を牽引したと説明。また、防府工場でも新型CX-5の生産がスタートするなど、クロスオーバー系車種の生産拡大も台数増をサポートしているという。
マーケット別の状況では、日本は対前年比5%増の13万9000台を販売し、登録車シェアは同0.1%増の4.7%。新型CX-5が順調に販売台数を稼いで台数増に貢献しているほか、2017年12月に発売された新型「CX-8」も発売約1カ月で販売計画を大幅に上まわる1万2000台の累計受注となったとアピール。さらに同12月から「デミオ」に先進安全技術を拡充したことで、日本国内で販売する主要6車種が全車「サポカーS・ワイド」に該当。より多くのユーザーに安全・安心を提供しているとした。
北米では対前年比3%減の32万1000台を販売。新型CX-5の販売が好調な一方、セダン系車種の販売環境が厳しくなっており、「Mazda6(日本名:アテンザ)」に2.5リッター直噴ガソリンターボエンジン「SKYACTIV-G 2.5T」を新搭載するなどの商品改良を実施して、「ロサンゼルスオートショー」で初公開するなどの販売施策を実施している。地域別では米国でフリート販売を抑制したことなどで同5%減の22万台の販売実績。カナダでは同5%増の5万9000台、メキシコでは同2%増の4万2000台を販売しているという。
欧州では対前年比1%減の19万3000台を販売。販売が本格化した新型CX-5は欧州各国で順調に販売台数が推移。総需要が減少となった英国では同19%減の2万4000台となったが、主要市場としているドイツでは7%増の5万台、ロシアでは同22%増の2万1000台を販売した。
中国では第3四半期9カ月累計として過去最高となる対前年比8%増の24万5000台を販売。「Mazda3(日本名:アクセラ)」「CX-4」が好調に推移して販売台数を押し上げている。また、2017年9月から中国市場に投入した新型CX-5も進化したデザインや商品力が好評で順調に販売台数を伸ばしているという。
その他の市場では、対前年比3%増となる28万8000台を販売。オーストラリアでは販売台数が同2%減の8万6000台となったが、新型CX-5や新型「CX-9」といったクロスオーバー系車種が好調で、依然としてメーカー別販売台数2位の座をキープしていることをアピールした。アセアン市場ではタイで同26%増の4万台を販売したが、関税撤廃による買い控えが起きたベトナムで同25%減の1万9000台の販売となっている。このほか、ニュージーランド、チリ、ペルーでは過去最高の販売台数を記録しているという。
対前年比で51億円増となった営業利益の変動要因では、主に米国での出荷台数が減少したこと、競争激化による販売費用の増加などから242億円の悪化。さらに開発費として34億円、その他の固定費などで33億円の悪化となっているが、為替でユーロが104億円、オーストラリアドルが100億円などがあり、計315億円の改善。これに加え、コスト改善活動の進捗と原材料費の高騰が相殺しながら45億円の利益改善となっていると藤本氏は解説した。
このほか、通期見通しは2017年11月に発表した内容から、グローバル販売台数で数字自体に変更はないものの、激しい競争の影響から北米と日本の販売台数を下方修正。一方で好調に販売が拡大している中国の台数を上方修正して増減なしとしている。
また、営業利益についても1500億円でそのままとなっているが、内訳について見直しを実施。こちらでも米国での出荷減少、販売費用の増加で20億円、その他の固定費などで30億円がそれぞれ悪化する見込みだが、為替でユーロ、ポンドなどで50億円分が改善されることで相殺となっている。
2017年3月期の1257億円から243億円増の1500億円を見込む営業利益の変動要因では、米国での出荷減少、販売費用の増加で220億円、開発費で131億円がそれぞれ悪化要因で、ユーロやオーストラリアドルといった為替変動で408億円、コスト改善活動で100億円、その他の品質改善活動費用の改善で86億円の改善という見通しが示されている。
直近で行なっている主要施策の進捗状況では、2017年12月に日本市場での販売を開始した新型CX-8により、3列シートSUVという新しい価値をユーザーに提供し、新しい市場の創造に挑戦。ロサンゼルスオートショーで初公開したMazda6では、2.5リッター直噴ガソリンターボ、気筒休止といった技術に加え、デザインをさらに進化させるといった商品力強化に取り組んでいる。この新しいMazda6によって来期は米国での販売反転を目指しているという。技術開発の長期ビジョンでは「サステイナブル“Zoom- Zoom”宣言2030」に基づき、持続的成長に向けた「SKYACTIV-X」などの次世代技術・次世代商品の開発を推進していると藤本氏は語る。
販売面では環境変化に対応するため、来期以降に米国でのオペレーション改革、販売網に対する投資などを強化していくという。生産面ではタイにあるパワートレーン工場に「エンジン機械加工工場」を新設し、エンジンの年間生産能力を3万基から10万基に拡大。エンジンやトランスミッションを現地で一貫生産する体制作りを進めている。
このほかに藤本氏は、トヨタ自動車とのアライアンスについては、1月10日(米国時間)に発表(関連記事:マツダとトヨタ、16億米ドルを投資して米国アラバマ州に合弁新工場建設)しているとおり、米国のアラバマ州ハンツビル市に合弁新工場を建設予定。さらにデンソーを加えた3社によるEV(電気自動車)共同開発の新会社「EV C.A. Spirit株式会社」でのEV技術開発をはじめとした将来的な電動化対応も計画どおり進捗しているとコメント。「自動車市場を取り巻く環境の変化に対応しつつ、成長に向けて主要施策を着実に実行してまいります」と締めくくった。
藤本氏による決算説明の後に行なわれた質疑応答では、アメリカにトヨタと合弁で建設を予定している新工場を成功させるためどのような取り組みを予定しているかを質問され、これについてはマツダ 総務本部副本部長兼財務企画部長 亀村直樹氏が回答。
亀村氏は「まだ会社自体は設立準備をしている段階で、近々に設立になると思います。トヨタさんといっしょにお互いのいいところ、知恵を出し合いながら成功に持っていこうということで、まだ具体的なことは言えませんが、トヨタさんが持っているいろいろなノウハウやリソースを参考にさせていただいて、一方でマツダが持っている小型車を効率よく生産していく技術といった、お互いに出し合っていいところを合わせて『世界一効率がいい新工場』を造っていこうということで、日々準備を進めている状態です」と述べている。