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旭化成、米セージ オートモーティブ インテリアを約791億円で買収

自動車分野向け事業の戦略的拡大を目指す

2018年7月19日 発表

旭化成株式会社 代表取締役社長 小堀秀毅氏が米セージ オートモーティブ インテリアの買収について会見

 旭化成は7月19日、カーインテリア向け繊維製品の開発・製造・販売を手がける米セージ オートモーティブ インテリア(Sage Automotive Interiors, Inc.)を約791億円で買収すると発表した。

 セージ オートモーティブ インテリアは、自動車内装材に用いる各種繊維製品の開発・製造・販売を手がけ、内装材に関する総合提案力、高いデザイン力、加工技術などにより、自動車メーカーおよび部品メーカーに対して高いプレゼンスを有しているという。

 この買収については、セージ オートモーティブ インテリアを100%保有するClearlake Sage Holdings, LLCとの間で合意したもの。旭化成の自動車分野向け事業の拡大を加速させるために、セージ オートモーティブ インテリアの事業を取り組むことを検討し、2017年10月から両社で協議を始め、合意に至ったという。

 なお、取得価格となる約791億円(約7億米ドル)にセージ オートモーティブ インテリアの純有利子負債を加えて算出した買収金額は、10億6000万米ドルとなる。

買収の概要

 旭化成は、成長する自動車内装市場でのポジションを強化し、自動車分野向け事業の拡大実現を目指すとして、買収による下記の3つの効果を見込むとした。

・自動車メーカーおよび部品メーカーに対するアクセスを強化し、自動車市場の動向やニーズを迅速かつ的確に判断

・セージ オートモーティブ インテリアの有するマーケティング力・デザイン力と、旭化成の有する繊維製品、主事製品、センサーなどのさまざまな製品・技術を組み合わせて、車室空間に関する総合的なデザイン、ソリューションを提案・提供

・セージ オートモーティブ インテリアの営業・製造・マーケティング拠点を、旭化成のグローバル展開にあたっての経営インフラ・リソースとして活用

 買収の背景として、旭化成は現中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」において、マテリアル領域の重点分野の1つとして自動車分野向け事業の拡大を図るとともに、領域内横断で「自動車メーカーおよび部品メーカーとのコネクト(関係)強化」「グローバル拠点の確立」などに取り組んでいるという。

 自動車産業においては、「Connected(コネクテッドカー)」「Autonomous(自動運転)」「Shared(シェアリング)」「Electric(電動化)」の頭文字を取った「CASE」に代表される新たなトレンドによって変革が起きており、自動車分野向け事業に大きな成長機会が生まれていると分析。車室空間にはこれまでにない快適性やデザイン性が求められており、内装市場の中長期的な拡大が見込まれているとした。

 なお、買収は各国競争法当局への届け出および当局からの認可取得などの手続きを経てクロージングになる予定として、今後速やかに手続きを進め、詳細が決定次第アナウンスするとしている。