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ブリヂストン、綾瀬はるかさん、宮里藍さん、スマイルジャパンが共演した「ブリザック 新CM」発表会

発泡ゴム開発は「ヘチマ」がヒント

2018年9月13日 開催

綾瀬はるかさん、宮里藍さん、スマイルジャパンが共演した「ブリザック 新CM」発表会

 ブリヂストンは9月13日、乗用車用スタッドレスタイヤ「BLIZZAK(ブリザック)」シリーズをPRするTV-CMを制作。9月15日からのTV放映開始を前に、CMキャラクターの綾瀬はるかさんなどをゲストに招いた新CM発表会を都内で開催した。

 なお、新CMは9月15日からのTV放映に先立ち、ブリヂストンのWebサイト内にある「CMライブラリ」や「公式YouTubeチャンネル」で配信が行なわれている。

BLIZZAK VRX2「しっかり曲がるしっかり止まる」篇(30秒)
BLIZZAK 「突然の雪でも安心感」篇(15秒)

 発表会では2種類の新TV-CMが上映された後、ゲストとしてCMキャラクターの綾瀬さんが登壇。さらに「チームブリヂストン・アスリートアンバサダー」を務めている元プロゴルファーの宮里藍さん、アイスホッケー女子日本代表「スマイルジャパン」の久保英恵選手、床亜矢可選手、床秦留可選手が加わり、綾瀬さんからCM制作のエピソードなどが語られたほか、綾瀬さんが出題者となり、アスリートアンバサダーが回答する「備えあれば憂いなし! スタッドレスクイズ」が実施された。

CM撮影で着用した衣装に身を包んだ綾瀬はるかさんが登場
これまでのCMで演じてきた「タイヤ先生」の白衣姿と比べ、秋や冬をイメージした少し大人のイメージになっていると語る綾瀬さん
綾瀬さんはCM撮影について「撮影が行なわれたスタジオは雪で埋め尽くされていて、まるで異国に来たかのように感じる素晴らしいセットでした」と説明。発泡ゴムを採用したスタッドレスタイヤとしてデビューし、今年で30周年を迎えるブリザックについては「長い間愛されてきたタイヤなんだなと思います。私の方がちょっと先輩です」とコメント
「チームブリヂストン・アスリートアンバサダー」を務めている4人もゲストとして登壇
宮里藍さん
「スマイルジャパン」の久保英恵選手
「スマイルジャパン」の床亜矢可選手
「スマイルジャパン」の床秦留可選手
発表会のゲスト5人
この日が初共演という綾瀬さんと宮里さん。お互いの印象について、綾瀬さんは「ゴルフをされているときは圧倒的な存在感ですが、実際にお会いするとすごく華奢な方で『この小さな体で!』という驚きがありました」とコメント。宮里さんは「ありきたりですが、本当にすごくきれいで、ますます応援したくなって、さらに大ファンになりました」と語った
ゲストの5人によって行なわれた「備えあれば憂いなし! スタッドレスクイズ」
クイズを綾瀬さんが出題し、宮里さんとスマイルジャパンの3選手が対抗する形式でクイズに解答
第1問は「2018年1月に、東京都心で気温が3℃以下になった日数は?」
第2問は「ブリザックは『Blizzard』と『Zacke』を組み合わせた造語。ドイツ語のZackeの意味は?」
第3問は「2018年の平昌オリンピックでメダル獲得総数1位になった国は?」
対抗戦形式で行なわれたクイズは、なんと3問目まで両チームがまったく同じ回答で差がつかずに進んだが、最終問題でついに答えが分かれた。綾瀬さんから出された正解は2番だったが、「でも、どれも冬の必需品なんで、どれでも正解です」と綾瀬さんが正解を追加。最後まで同点で勝敗はつかず、ドローという結果となった
クイズに参加した4人に、綾瀬さんから「ブリザック 冬グッズ」がプレゼントされた
4種類用意されたプレゼント品から、宮里さんは「ストール」、久保選手は「手ぶくろ」、床亜矢可選手は「ニット帽」、床秦留可選手は「イヤーマフ」をそれぞれ選んだ
発表会の会場では、販売中のブリザックシリーズである「DM-V2」「VRX」「VRX2」を展示したほか、各種解説パネルなどを設置

最低気温3℃で路面が凍結するケースも

 このほかに発表会では、ブリヂストンタイヤジャパン 常務執行役員 長島淳二氏から「新商品マーケティングプレゼンテーション」、ブリヂストン 常務執行役員 製品開発管掌 坂野真人氏から「新商品の技術プレゼンテーション」が行なわれた。

ブリヂストンタイヤジャパン株式会社 常務執行役員 長島淳二氏

 長島氏はスタッドレスタイヤを取り巻く環境の変化やユーザー分析の内容、2018年のプロモーション活動などについて紹介。昨今は高齢化などによってクルマの安全性が大きく注目されるようになり、衝突を回避する自動ブレーキやステアリング操作をアシストするレーンキープ技術などを自動車メーカーが市場投入しているが、ブリヂストンでもタイヤにさまざまな技術を与えてユーザーの安心・安全を足下から支えていると説明。今回のテーマとなる乗用車用のスタッドレスタイヤでは、定期的にスタッドレスタイヤを利用している降雪地域だけでなく、降雪の少ない地域に住んでいるユーザーにも「スタッドレスタイヤがなぜ大切なのか」を伝えていくことが、冬道の安心・安全につながるとの考えを示した。

 道路環境の分析では、諸外国と比べて日本は冬季の昼夜で寒暖差が大きく、路面の雪が溶け出したり再凍結する0℃近辺を上下する機会も多い特殊な状況で、凍結した危険な状態になりやすいと解説。そんな凍結路でもしっかりと性能を発揮できるスタッドレスタイヤを使うようにしてもらいたいと述べた。

 また、間近に発生した猛暑や豪雨、冬期の豪雪などについて触れ、日本各地で交通障害が発生したと語り、東京でも大雪による車両のスリップでレインボーブリッジが封鎖されたケースを取り上げ、通常はそれほど雪が降らない地域に住んでいる人でも万が一の大雪に備える必要があるとした。

 また、路面の凍結については、気象庁などが発表している気温は路面から1.5mほどの位置で計測されているため、発表されている最低気温が3℃という場合でも、路面は氷点下になって凍結するケースがあることを指摘。都市部で降雪の少ない地域でも、冬期に最低気温が3℃以下になる日数が8割以上になると紹介し、路面凍結による予期せぬスリップが発生するリスクがあると説明。同社によるテストで、通常の夏用タイヤの制動距離はスタッドレスタイヤと比べて60%増加するというデータを示し、交差点などで万が一にも制動距離が伸びると大きなリスクになることから「雪があまり降らない地域だからこそ、大雪や凍結路面に備えてスタッドレスタイヤに履き替えておくことが重要と考えます」と語った。

安全に対するユーザーの意識が高まり、さまざまな先進安全技術が新型車に投入されることになった
「はがき1枚分」というわずかな面積に、タイヤメーカーの多彩な技術が注ぎ込まれている
暖かい欧州、寒い北米やロシアなどとは違い、寒暖差の大きい日本は路面凍結の危険性が高い
急激な気象変動による被害は記憶に新しいところ。降雪地域以外に住んでいても無縁とは言えなくなってきている
東京都千代田区、愛知県名古屋市、大阪府大阪市で冬期にひと月あたりで最低気温が3℃以下になった日数。とくに1月は高い頻度で3℃以下となっており、路面凍結の危険性があるとの分析
凍結路面における夏用タイヤとスタッドレスタイヤの制動距離比較

 こうした情勢を受け、近年はスタッドレスタイヤの保有率が上昇しており、購入理由も以前はウインターレジャーでの必要から購入していた人が半数以上だったが、近年では降雪や路面の凍結に対する備えとして購入するよう変化してきているとのデータを紹介。購入者の居住エリアを問わず、凍結路面でのブレーキ性能が大きく注目されており、さらにグリップ力の持続性も注目度が高いと解説。また、ドライ路面における静粛性や耐摩耗性も求められるようになっているという。

 この分析からブリザックシリーズでは氷上性能を最優先に定め、さらに冬期のさまざまな路面に対応する総合性能も追求して開発を実施。販売中の「DM-V2」「VRX」「VRX2」の3製品を「最強ラインアップ」と表現し、中でもVRX2は氷雪路面に加えて一般路面での性能にも優れ、安全・安心で快適な運転を実現する「ブリザック史上最高性能のスタッドレスタイヤです」とアピールした。

 2017年の発売以来、購入者から氷上性能に加えて日常的な利用シーンでも高く評価され、アンケート調査では92%の購入者が「次もブリヂストン製タイヤを購入したい」と回答していると紹介した。

非降雪地域でのスタッドレスタイヤ保有率は右肩上がりとなっており、購入理由もウインターレジャーなどの利用目的が明確なところから、降雪などに対する備えに変化してきている
ユーザーがスタッドレスタイヤに求める性能の調査結果
ブリザックシリーズでは氷上性能を最優先に定め、冬期のさまざまな路面に対応する総合性能も追求
ブリザックシリーズでは「断トツの氷上性能」を常に追究して開発を実施
ブリザックシリーズの商品ラインアップ
VRX2では「氷上ブレーキ」「摩耗ライフ」「静粛性」の3点に注力して開発
アンケート調査で92%の購入者が「次もブリヂストン製タイヤを購入したい」と回答
非降雪地域でも万が一の備えの重要性をアピールし、全国のユーザーに「冬の安全・安心なカーライフ」を届けたいと長島氏は締めくくった

発泡ゴム開発は「ヘチマ」がヒント

株式会社ブリヂストン 常務執行役員 製品開発管掌 坂野真人氏

 坂野氏はブリザックシリーズに続く30年にわたるブリヂストンのスタッドレス開発の歴史について解説。スタッドレスタイヤが誕生する以前の1960年代にはスパイクタイヤの急速な普及があったが、トレッド面に埋め込まれたピンが凍結路面などに食い込むスパイクタイヤは冬期も高いグリップ力を発揮する半面、通常のアスファルト路面では硬いピンと路面がぶつかる騒音に加え、アスファルトが削られた粉塵が社会問題化。これを解消する「スタッドレス」のタイヤ開発が喫緊の課題となった。

 新たにピンなしで冬の路面に対応するタイヤを生み出すため、開発陣は凍結した路面でタイヤが滑る理由を溶けた氷による「水の膜」、低温でのゴムの硬化による「接地性低下」の2種類と分析。この対策として当初発売されたスタッドレスタイヤでは、柔らかさを高めたゴムと多数のサイプで水の膜を除去する構造となっていたが、ゴムが柔らかすぎることで走行面に不満が出たほか、低温でゴムの柔軟性が維持できず、経年劣化でも硬化していくことが技術課題となった。

 この問題を解決するために生み出されたのが、断熱性が高く温度変化で硬さが変わることなく、経年劣化も防げる空気を利用するという発想。そこで、タイヤのゴムをスポンジのように気泡を持つ「発泡ゴム」が開発された。しかし、実際にテストしてみると思うような性能が発揮できず、開発陣は疑心暗鬼に駆られるようになったというが、開発陣の1人がたわしとして使われていたヘチマをヒントに、「新品のゴムは気泡が表面に出ていないことが原因ではないか」と着想。元は温度対策として生み出された発泡ゴムだが、表面を削って気泡が路面に触れるようにすれば、スポンジのように水を吸い込むようになるのではないかと発想を転換。試してみると急激な性能向上を実現して技術革新に至ったと解説した。

スパイクタイヤの社会問題化により、ピンを持たないスタッドレスタイヤが求められるようになった
氷上でタイヤが滑るメカニズム。とくに「水の膜」の除去が開発で重視された
低温時や経年劣化でゴムの柔軟性が低下する面にも対策が求められた
発泡ゴムは、当初は柔軟性の維持を目的に開発
ゴムの表面を削って気泡をゴム表面に露出させることで、当初の狙いにはなかった除水効果を発揮。大きな技術革新につながった
発泡ゴムは柔軟性、除水の双方に効果を発揮
技術が確立された後も、発泡ゴムは製造担当、販売担当に理解を得るため苦労したという。販売面での訴求として、新ブランドとなる「ブリザック」が誕生した
発泡ゴムは歴代モデルで着実に進化

 こうして生み出された発泡ゴムは歴代ブリザックシリーズで進化を遂げ、滑りやすい路面での性能を高めていったが、先代製品になるVRXからは新たなチャレンジを開始。降雪エリアでも装着車がドライ路面やウェット路面などを走行するシーンが多いことから、それまで氷雪上性能とトレードオフになって見過ごされてきた一般路での走行性能にもこだわり、どちらも同時に向上させる開発を実施している。

 最新モデルとなるVRX2ではVRXから導入した親水性を発揮する「アクティブ発泡ゴム」が路面の水分を大きく除去できるようになったことを受け、これまで増やしてきたトレッドパターンのサイプを減らす方向に進化。ブロック剛性を高めることが可能になり、しっかりとした走行性能が発揮できるようになったほか、耐摩耗性も向上しているという。また、一般的なタイヤの切れ角となる15度~20度の範囲に合わせ、どのステアリング切れ角でもグルーブがひっかき効果でグリップ力を発揮できる「マルチアングルグルーブ」を新設。横溝はパターンノイズが発生する高周波を解析し、ピークとボトムの波長を合わせて打ち消し合うよう最適化して、高周波の騒音エネルギーをVRXから31%低減していると紹介した。

降雪エリアでも半分近く、非降雪エリアでは7割近くが「一般路」で走行していることから、VRXからは総合性能の強化にチャレンジ
VRXから導入された「アクティブ発泡ゴム」
アクティブ発泡ゴムの導入により、VRX2ではサイプを減らしてブロック剛性の向上などを実現
発泡ゴムの効果で中・低周波ノイズは有利な素性となっており、さらに横溝の位相最適化で高周波ノイズも低減
タイヤとしての総合性能を高めたVRX2を2017年に発売した