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トヨタとドコモ、5Gの活用で第3世代ヒューマノイドロボット「T-HR3」遠隔操作に成功

12月6日~7日の「DOCOMO Open House 2018」でデモを実施

2018年11月29日 発表

トヨタが2017年11月に発表した「マスター操縦システム」(左)と「T-HR3」(右)

 トヨタ自動車とNTTドコモは11月29日、5G(第5世代移動通信方式)によるロボット制御のトライアルを行ない、遠隔地間(約10km)を想定した実験環境の一部区間に5Gを活用。トヨタが開発した第3世代ヒューマノイドロボット「T-HR3」を制御することに成功したと発表した。

 トヨタが2017年11月に発表したT-HR3は、トルクを制御する「トルクサーボモジュール」と操縦者の全身の動きを検知する「マスター操縦システム」を採用。T-HR3が受ける外部からの力を操縦者が感じながら操作できるようになっており、家庭や医療機関などさまざまな場面で人々の生活をサポートするパートナーロボットを目指して開発されている。

 そのためにはT-HR3とマスター操縦システム間で発生する制御信号の通信遅延をできる限り少なくすることが必要で、これまでは比較的通信遅延が少ない有線接続で実験を進めてきた。しかし、より実用性の高い環境で使用可能になる無線化に向け、5Gの特徴の1つである低遅延性をT-HR3の制御に活用するべく、ドコモがこれまでに培ってきた5Gの知見を活かしてトライアルが行なわれることになった。

トライアルの概要

 神奈川県横須賀市にあるドコモR&Dセンター内で実施された今回のトライアルでは、5Gの周波数帯として28GHz帯を使用。操縦者が動かすマスター操縦システム側に「5G基地局」、パートナーロボットであるT-HR3側に「5G端末」を設定し、「ボールを両手で挟んで持つ」「ブロックをつまむ、積み上げる」「人と握手をする」など、力の伝達が必要となる動作を5Gの通信を介して制御。有線接続時と遜色ないレベルでT-HR3が制御できることを実証した。

 なお、実証にあたっては遠隔地間(約10km)の5G区間以外で発生する通信遅延をドコモR&Dセンター内で再現するため、事前に東京のお台場エリアと東京スカイツリー間を有線接続した場合の遅延時間を計測。実測した遅延時間を遅延付加装置で通信に付与している。

 今回のトライアルに関連して、12月6日~7日に東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開催されるイベント「DOCOMO Open House 2018」(参加無料で事前登録制)で、東京ビッグサイトの会場と東京スカイツリー間で遠隔制御するデモンストレーションが実施予定となっている。