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トヨタ、「マスター操縦システム」で遠隔操縦できる第3世代ヒューマノイドロボット「T-HR3」発表
「トルクサーボモジュール」でT-HR3にかかる力を操縦者にフィードバック
2017年11月21日 20:06
- 2017年11月21日 発表
トヨタ自動車は11月21日、第3世代のヒューマノイドロボット「T-HR3」を発表した。このT-HR3は、11月29日~12月2日に東京ビッグサイトで開催される「2017国際ロボット展」に出展を予定している。
これまでトヨタが開発してきた第1世代、第2世代のヒューマノイドロボットでは、指の動きなどをプログラムで再現して楽器の演奏などを行ない、位置制御の正確さを追求してきた。新しく発表されたT-HR3では、家庭や医療機関などの現場で人に寄り添って働き、生活を安全にサポートする「パートナーロボット」を目指して開発。身長は1540mm、重量は75kg。
操縦は、「マスターアーム」「マスターフット」「ヘッドマウントディスプレイ」「データグローブ」の組み合わせで構成される「マスター操縦システム」で行ない、操縦者はT-HR3が装備するステレオカメラで撮影された映像をヘッドマウントディスプレイで立体映像として見ながら、自分の腕や足に固定したマスターアーム、マスターフットを動かして離れた場所からT-HR3を操縦できる。
第3世代に位置付けられるT-HR3のコア技術となるのは、トヨタが多摩川精機、日本電産コパル電子と共同で開発を進めた「トルクサーボモジュール」。トルクサーボモジュールは高感度、高剛性な「Cr-N薄膜トルクセンサー」と「モーター」「減速機」などをコンパクトに一体化したもので、意図したトルクを出力できるようにモーターを制御。このトルクサーボモジュールはT-HR3にある関節の29カ所に使われているほか、マスター操縦システムでも16カ所に配置しており、これによってT-HR3が関節を滑らかに動かせるようになることに加え、T-HR3が外部から受けた力を操縦者にフィードバック可能としている。
このほかにもトルクサーボモジュールを備えることで、T-HR3が周囲の人や物体から受ける外力を検知でき、全身を使ってバランスを維持する「全身協調バランス制御」を実現。T-HR3にかかる力を操縦者も共有することで、遠隔操縦でも自分の分身のような感覚で動かせるようになるという。
発表のなかでトヨタ自動車 パートナーロボット部長の玉置章文氏は、「トヨタはクルマだけでなく、様々なモビリティにより、『すべての人に移動の自由を』提供することを目指しており、T-HR3もこの想いに沿って開発した。パートナーロボット部は、『かしこさ』だけでなく、安心感を与えてくれるような『やさしさ』を兼ね備えたロボットを開発することに全力で取り組んでいる。T-HR3の最先端技術は、今後のパートナーロボットの発展に貢献する画期的な開発であると考えている」と述べている。
マスター操縦システム主要諸元
マスター操縦システム | |
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サイズ(全長×全幅×全高) | 1500×850×1450mm |
重量 | 170kg |
可動部 | 16軸 |
付属品 | データグローブ/ヘッドマウントディスプレイ |